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2004年12月27日

「新選組!」から、突如、話が変わりますが、前に書いた、

倫理研(情報社会の設計と倫理についての学際的研究)第1回:議事録

やっと全部読み終えたので、感想。

アリとキリギリス

イソップの有名な寓話は、もともと、キリギリス目線で、堅気のアリさんたちの冷たさを教えるお話。アリのように堅実な生活を送りなさいという教訓は、後世の後付けだと、どこかで聞いた記憶があります。

このアリとキリギリス。何に対する比喩なのか、色々な解釈がありうると思います。

アリ=農業・工業(製造業)
 キリギリス=サービス業・情報産業

という解釈も成り立つかも知れないし、盛り場や娯楽施設(広告が跋扈する空間)は、家庭と職場の間の、ある種、猥雑な「第三空間」とでも呼ぶべき場所だという考え方(この考え方、北田暁大さんの広告論で知りました)に従えば、キリギリスは、典型的な「第三空間」の住人なのかもしれません。

いずれにせよ、コンピュータを介したネットワーク上のコミュニケーションを、キリギリス的な人たちが活用するのは当然のこと。

情報社会というのは、たぶん、アリさん的な人たちまでもが、そこにアクセスするようになってきた、ということなのだと思います。

だから、何かやろうとしても、アリさん的な冷たさに遭遇することがあるし、アリさんたちが意外な凶暴さを発揮する、サイバーカスケードという現象も起きる……。

「倫理研」は、いわば、「サイバー・アリさん」の誕生に際して、「サイバー・キリギリス」の皆さんが、これからのことを相談しているのかな、と思いました。

啓蒙とポピュリズム

東: ちょっと議論を戻しますが、一部の専門家がネットそのほかを使って創発的な啓蒙活動を行う。それはいいとして、しかし、全体的な価値形成に移行しようとするとポピュリズムしかない。

倫理研の議論は、現状をきれいに総括しているけれど、先のビジョンが見えない、そういう印象を与えるのは、このあたりだと思います。「啓蒙か、さもなければポピュリズム」。これでは、従来のアリさん対策と何も変わらないではないか、と。

まあ、そうですよね。

「啓蒙」は、アリさんの家を戸別訪問して、施しを受けるということだし、「ポピュリズム」は、お祭りの日に、お賽銭や屋台の所場代で稼ごうという話。今までだって、ずっとそうしてきたではないか、と。

音楽で言えば……

ところで、

私は、何を読んでも、すぐに話を音楽に置き換えて考える癖があるですが、これは、音楽で言うと、芸術かポピュラーか、という話だと思いました。

 ちょっと議論を戻しますが、一部の専門家がネットそのほかを使って創発的な芸術活動を行う。それはいいとして、しかし、全体的なメガヒットをねらうとすると、ポピュラー音楽しかない。

そういう、音楽産業の話と同じだ、と思ったわけです。

政治には、まだポピュリズムの余地があるのかもしれないけれど、音楽には、ネット発のメガヒットというのは、まだ例がないし、たぶん、この先もないだろうから、さらに事態は切迫している気がします。

そして、さらに、個人的な意見としては、ネットを離れて考えても、この先、クラシックとかジャズのような、従来のアート系音楽は、どんどん先細りして伝統芸能化するだろうし、20世紀型のポピュラー音楽も、そろそろ、難しいのではないかな、という気がしています。たくさんの人が同じものを聴く状況が、どんどん、成立しにくくなっていると思うからです。

倫理とインターフェース

コンピュータのネットワークを介したやりとりでは、情報を取り出すインターフェースの問題が、これから、どんどん大きくなるのではないかな、という気がします。

パソコンとケータイでは、利用者の意識がかなり違うという話は、議事録にも出ていましたが、もしも、ユビキタスとか情報家電ということになったら、もっと多様になるだろうし、各人の好みや条件を検知して、情報の見せ方をカスタマイズするような試みも出てくるだろうし……。

(Amazon.comが、履歴を利用して、ユーザーごとにお薦め商品を切り替える、なんていうのは、その萌芽的な試みかも。)

音楽の場合でも、同じソースを、受け手の使うデバイスや好みに応じて、最適な形にリミックスして出力する、みたいなことが、考えられると思うのです。

そうなったら、ポピュラリティの意味が、今とは、かなり違ってくるはずですよね。全員が、同じものを見ているわけではないのだから。

それでもなお、例えば、選挙の広報や演説のような政治的コミュニケーションでは、専用端末、特定のフォーマットでの出力しか認めない、みたいにして「公平性」や「同一性」を確保するのかどうか。

倫理が問われるとした、その時かなあ、という気がしました。

2004年12月26日

始まってしまいました、「新選組!」総集編。在りし日を偲ぶ、みたいな不思議な思い出みてしまいますね。

しかし、さすがに1時間半だと、細かい話はすっぱりカット。これは、DVDを買えと言うことか。(笑)

2004年12月19日

「♪勇は〜……」

往生際が悪いですが、しつこく「新選組!」

三谷幸喜ラスト・インタビュー公開されています。(泣)

ちょっと気になったのが、

僕が歴史に興味を持ったのも大河ドラマからです。当時は、まだビデオがなかった時代なので、雑誌を見て登場人物の似顔絵や平安時代の鎧(よろい)の絵を描いたり、自分なりの図表を作って楽しんだものです。

ここに、さりげなくまぎれこんでいる、「平安時代の鎧」という言葉。

年代から考えて、平将門(加藤剛@「風と雲と虹と」)のことなのかなあ、と。

「風と雲と……」は、大河ドラマ初の「平安時代もの」。天皇への反逆、という微妙なテーマを取り上げたのは、NHK的に冒険だった、と聞いた記憶があります。

少なくとも、私にとっては、全編を通して観た最初の大河ドラマ、思い出深い作品でした。

これまで、三谷さんがこのドラマに言及したのは、見たことがないので、違うかもしれないのですが……。

いずれにせよ、「風と雲と……」と「新選組!」、意外に、色々と共通点があるような気がするのですよ。

どちらも、関東の「田舎侍」が、京都で挫折して、戻ってくる話。どちらも、天子様にお仕えしていたはずなのに、最後は逆賊。どちらも、「鬼(鬼神)」のイメージだけれど、ドラマの中では、笑顔が印象的な、素朴で優しい男。周囲に担がれて、後戻りできない歴史のうねりに巻き込まれる……。

そして……、どちらも、テーマ曲に歌が入る。(大河ドラマのオープニングの音楽に歌を入れたのは、「風と雲と虹と」=山本直純作曲、が最初なのだそうです。)

あと、細かいことだし、偶然の一致かもしれないのですが、

源さんが野外で撃たれるシーン。私は、将門のこめかみに矢が突き刺さった場面(未だに目に焼き付いている)を思い出しました。「刀の人」将門も、最後は、戦場で、離れたところから、撃たれて(射られて)死ぬのでした。

そして、最終回「はしのえみ問題」。(笑)

私は、「風と雲と虹と」で、佐久間良子(将門の妻)が赤ちゃんをあやす場面(明らかに吹き替えだった)へのオマージュと解釈しています。(NHKは、その当時から、母親の授乳シーンであれば、オッケーだったのですね。)

まあ、それだけのことです。勝手な思いこみだし、まったく、どーでもよいマニアックな話。

そんなことはともかく、総集編、楽しみです。(泣笑)

2004年12月18日

カーテンコール

本日午後の最終回再放送は、外出予定で観ることができないので、その代わりと思って、録画しておいたものを見直したのですが、

「新選組!」最終回、「完」のあとの、涙なしに観ることの出来ない、いわゆる「カーテンコール」その1、とても丁寧に作ってありますね。

今更ですが、テーマ音楽は、2コーラスあって、1コーラス目はオーケストラのみ。2コーラス目は歌つき。各コーラスは、Aメロ(マーチ風の「ラ、ラ、ラ、ララララ〜」)、Bメロ(ちょっと柔らかい感じになるところ)、サビ(「愛しき〜」以下)という風になっている。

「カーテンコール」は、まず、ストーリーを振り返るわけですが、イントロが初回冒頭の「ご用改め」の行軍、Aメロと同時に、黒船=「多摩篇」のはじまり。

Bメロの流れるようなメロディに入るところは、江口@龍馬が、スーッと両手を横に開いて(勝海舟と話している場面)、まるでオーケストラを指揮しているみたいに見えるし、サビ直前の決めのフレーズ(「ダッダダダ、ダダダッ!」)は、リズムとシンクロして、佐藤浩市へズームアップ(めちゃくちゃカッコイイ!)。

以下、「京都編」に入り、懐かしい顔が色々見えて、「新選組誕生」と同時に、2コーラス目、「ラララ〜」と声が入る。

……Bメロとともに山南さん切腹(再泣)。

で、で、で、「愛しき〜」と歌い出すところが、「お手前方!」@二条城庭先の、あの、最高に美しい、隊士勢揃いの図!!! ……見事すぎます。

そして、ここからは、隊士たちが順番に出てくる、本当のカーテンコール。あとは、じっくり画面を見て下さい、ということですね。(涙にかすんで、よく見えないけれど……。)

いや、参りました。

2004年12月13日

『局長!』

「主人はいるか」「…店長?」

いいもの、見せて頂きました。(^^)

ふと気がつけば……

5年前、あれだけこぞってPDA(Palm)を使ってた人達は一体どこへ行ってしまったんだろう?

少なくとも私の場合は、先日、PHSをいわゆる「京ポン」(AH-K3001V)へ機種変更して、treo90でメールやウェブを見ることも、ほぼ、やらなくなってしまいました。

でも、スケジュール管理に使ったり、DOCを読んだりという部分は、もう、揺るがない感じ。

WindowsからMacへ変わったり、同期相手をPalmDesktopからiCalに変えたり、変遷はありますが、

今月9日で、treo歴、3年目に入りました。

2004年12月12日

終わった……

なんだか、一足早く大晦日が来たような気分。

子供の頃からテレビが大好きだったわけですが、去年の後半くらいから、どうも、観ることが、ぐっと少なくなっております。

時間的に忙しくなってきたとか、年齢的に(昨日で39歳(涙))、多くの番組の対象層から外れてきているとか、色々あると思うのですが、どうも、ダメなのです。

で、そんな中で「新選組!」。もう最後の力を振り絞って観ましたよ。

毎週日曜日の夜8時、テレビの前に座って放送開始を待ちかまえるのは、これは、もう、三十数年間、楽しませてくれたテレビへの、最後のご奉公。

……というと、ちょっと大げさですが、

「花神」(中村梅之助さん!)とモロにかぶる時代のお話だし、若者群像は、「黄金の日々」(市川染五郎(当時)!)っぽい雰囲気だったし、最後の多摩の人たちの無念は、「獅子の時代」(菅原文太!)の世界へつながっているし、わたくし的には、きれいに、大河ドラマの輪が閉じたかな、と大満足しております。

「それなりに」……ではなく「ありがとぅ〜!」

ですね。

2004年12月06日

Bloglines

オンラインRSSリーダの雄、Bloglines が多言語対応となり日本語もサポートされた。

と、Focus of Interest - Blog -で紹介されていたので、登録してみました。

アカウントを取得したら、「Myフィード」の編集。

ブログサイトは、一括登録できるんですね。

PulpFictionLiteからリストを書き出して、Bloglinesの編集画面、「OPMLファイル」というところに指定したら、そのまま読み込んでくれました。

これは、良さそう。

RSSリーダーって、便利ではあるのですが、

更新チェックのたびに、全サイトをガーッと巡回しているようなので、大げさに言うと、「良心の痛み」みたいなのを感じていたんです。

結局、これ、各サイト(の所定ファイル)に、数時間とか数十分ごとにアクセスしているということですよね。

そういう定期的な更新チェック作業は、サーバ側で一括してやるほうが、無駄がないし、先方への負担も軽減されるのでは、と思ったりしています。

(RSSの具体的なしくみは、推測で書いていて、誤解しているところがあるかもしれないですが……。)

はてなアンテナのRSS専用阪みたいな感じでしょうか。見た目は、随分、違いますが……。で、色々カスタマイズできて、多機能。

2004年12月05日

「井の中の蛙、大海を知らず」

「……されど、天の高さを知る。」

遂に、あの時のワインのコルクが登場してしまいました。

第1回まで遡ったということは、もう、手札はないってことですよね。

あと1回

2004年12月03日

民主主義が「保守的」に見える世界に、私たちは踏みだそうとしているのかもしれません。

ルールをつぎつぎと創発するネットワーク運動に対して、保守主義の立場から民主的な価値を守ろうとすれば、「民主主義という価値を守るべく、人々に非民主的な形で命令しなければならない」というわけです。

例えば、音楽著作権をめぐる混乱は、直接的には、

「利ざやを稼いでいる中間団体が、醜いまでに、既得権を守ろうとしている(ように見える?)」

ということなのだろうと思います。

でも、その背後には、世界観のズレのようなものがありそうな感じがあって、

その違和感は、なるほど、上の引用のようにまとめることができるのかな、という気がしました。

「作者の権利を守れ」という主張(の背後には民主主義的な人権思想がある)が、「人々に非民主的な形で」、強制されてしまっている、と。

そういう「民主的=保守的」(=学級委員的?)な主張をしている人が、本気でそう信じているのか、それとも、タテマエとして言っているだけなのか、なんとも不透明ではありますが、

でも、

仮にタテマエだけの主張であったとしても、きちんと反論しておくことは、必要なはず。

(「本音はこういうことだろう?」というのを暴くだけでなく。)

哲学者(倫理学者)や社会学者や評論家、情報産業の現場の人たちが集まって、正々堂々と理論武装する、そのための勉強会ということのようです。

共同研究のナマの議事録なので、決して読みやすい書き方になっていませんが、とても大切なことが議論されているように思えました。

倫理研(情報社会の設計と倫理についての学際的研究)第1回:議事録

議事録が、はてなダイアリーのグループ機能を利用しているというのも、ちょっといい感じ。

ただし、おそろしく長いです。私もまだ最初の基調講演しか読めていません。

サイバー保守主義?
(切り込み隊長BLOG)

と合わせて読むのが、吉かも。

おにぎり for Mac

上の何頁にもわたる長大なログとか、あとでゆっくり読みたい長めのブログ記事とかをクリッピングするのに、最近、重宝しています。


all these contents are written in Japanese
by 白石 (Tomoo Shiraishi: tsiraisi@osk3.3web.ne.jp)