2001年4月30日〜5月3日

diary

2001/05/03 (Thu.)

  • 軟弱なエピローグ

     ……というわけで、palm - musicはおしまいにします。

     が、5/1の書き方は、舌足らずというか、多くの方を驚かせてしまったようなので(どうもすみませんでした)、なんとなく往生際が悪いようになってしまいますが、少しだけ補足します。

     えっと、まず、やめる理由ですが、私(白石)個人が何らかのトラブルに巻き込まれているとか、そういったことが原因でサイトを閉じる、というのではないです。ご心配をおかけしたのは、本当に申し訳なく思っております。そういうことは、まったくありません。

     そうではなくて、おしまいにするのは、自発的な判断です。

     ほとんど直感的に、「やめよう」と思った、というのが正直なところです。実は、私自身、なぜそういう直感が働いたのか、よくわかりません。色々、もっともらしい説明もできそうですし、あれこれ、考えてはみたのですが、どれも「後付けの言い訳」になりそうな気がして、いまひとつ、自分でも、納得していません。

     ただ、こういうことは言えそうです。

     palm - musicは、一応、「Palmで音楽!」というスローガンを掲げるサイトであるわけですが、私個人の気持ちとしては、「PalmOS搭載機の音声・音楽機能の充実」というのとは、少し望むところが違ったのかもしれない、と、今感じはじめています。

     現在、(私がわざわざ言うまでもなく)、パームをめぐる環境は、とても急激に動いています。そして、いわゆる「AV機能」というのは、企業さん側の都合などもあって、PDA市場を戦い抜く上での有効な「武器」のひとつになっているような雰囲気があります。

     実際、オーディオや動画は、新奇な面白いことであるのは違いないですし、それもあって、新しいクリエはよく売れているんですよね。

     でも、(多少、それらしく振る舞って頑張ってはみたものの……)、私は、そういう「市場の動向」には、興味を持てない気質の人みたいです。

     今振り返ると、私が興味を持っていたのは、変な言い方ですが、「手のひらの上の音いじり」みたいな部分だったような気がします。(P-KeyやTheremini、PiesoPower!などがその好例でしょうか。あと、MelodyEditorをチョボチョボ操作している時にも、そういう「音をいじる快感」があるように思いますし、TapStepMusicも、操作感としては、これらに通じるところがある気がします。もちろん、私ごときが語るのはおそれ多い日本のパームウェアの金字塔ですが……。)

     そして、そういう「手のひらの音いじり」は、音の文化の問題として面白いテーマかもしれないという、学者のさもしい根性から来る漠然とした予感も、ほんとにかすかにですが、あったりします。(80年代音楽文化の象徴だったウォークマンのように、ただ「聴く」だけでなく、PDAだったら能動的に音をだすこともできるわけで、研究課題的に言えば、「音具としてのPDAの可能性」みたいなことになるでしょうか。)

     でも、PDA市場におけるパーム陣営の戦略としては、ほとんど価値を認められてはいないみたい……。

     そして、私の好きな素朴な「音いじり」の上空で、「AV機能是か非か!」、「PDAの本来の姿とは!」といった派手な空中戦が展開されているのを見ると、言葉は悪いですが、勝手にやってくれ、という気持ちになってしまうんです、申し訳ないですが……。

    「戦争してる最中にお笑い番組やるのは不謹慎やというけど、戦争して、殺し合いするのは、よっぽど不謹慎なんとちゃうの」

     湾岸戦争(もうあれから10年……)の時の笑福亭鶴瓶のこのコメントは名言だ、とか何とか、上岡龍太郎が、さかんに言い募っていたことがありましたが、ちょっと、それに近い気分です。

     ……あまり景気のいいお話にはなりませんでしたが、わたくしがパーム戦線を離脱いたしますのは、そのような事情によるものであると、ご理解いただければ幸いであります。

     昨日も書きましたように、PMUG要員として、後方支援に回る所存。ドイツなどの徴兵制では、兵役を拒否して、変わりに「Zivildienst」(社会奉仕、と訳せばいいのでしょうか)をする、という選択肢があったと記憶しますが、それに似た気分です。

     ……ということで、ひとまず脱出でございます。みなさん、ごめんなさい。

     申し訳ないですが、でも、そういうことで……。


diary

2001/05/01 (Tue.)その2

  • 「敵役」としてのAV機能

     パームの新製品レビューのような文章を綴る時に、音や動画を「敵役」に仕立てると、話の展開がスムーズになっていい感じ、と思える局面がしばしば、あるようです。音や動画は、目立ちますし、興味のない人の反感を煽るのが、とっても簡単だからなのでしょう。一口で言えば、AV機能は、「イジメ」の標的になりがちです。

     そうそう、これなのよ、これ!動画が見れるのも凄いし、音楽が聴けるのもいいけど、やっぱ基本はこれでしょう!これなくして、なんのハンドヘルドマシン!

     「iPal1144 これなんだよ、これ!」に掲載された上の一文を見て、私は正直、少なからぬショックを受けました。

     PDAの基本が「手帳の置き換え」であることは賛成です。動画や音楽をPDAで楽しみたいというユーザーの数や欲求は、必ずも多数派ではないと思います。

     でも、はたしてこの文脈で、AV機能に言及することが、本当に必要だったのでしょうか?

     私が知る限り、動画や音楽を楽みたいと考えるユーザーは、礼儀正しく、いわば謙虚であることが多いように思います。少なくとも日本のパーム・コミュニティにおいて、動画や音楽の魅力に魂を奪われて、PDAの本分を忘れているというような例を、私は知りません。(ウケ狙いのネタとして、そういう役回りを演じる人はいるかもしれませんけどね。)

     この先、そういう「本分を忘れた」ユーザー層が台頭することが予測されるのでしょうか? だとしたら、一大事ですから、確かに、声を大にして叫ばねばなりませんね。小田嶋絵里さんともども、頑張ってください。

     でも、「PDAの基本」を語る時に、返す刀で動画や音楽を切り捨てるような書き方は、やはり少々、気になります。

    …こーゆーのをPalmOS各社はもっともっと宣伝すべき!これがなかったら、ただのコンピュータなんだから!

     ひょっとすると、この部分がポイントなのでしょうか。つまり、上の文章は、パームのいわゆる「ユーザー」に向けられたものではなく、「パームOS各社」へのメッセージ

    安易に音楽や動画を「売り」にしちゃダメだよ

    ということなのでしょうか。それならば、理解できる気がします。「目立つ」というだけの理由で、安易に音や動画を売り物にする企業がいるとしたら、確かにそれは困りものです。

     PDAで音や音楽をどういう風に扱えばいいのか、実はまだ誰も決定的な答えを見つけていないような気がします。

     クリエ PEG-N700C は果敢にオーディオ機能を搭載しました。でも、オーディオの取り回しは、まだまだ面倒ですし、メモリプレイヤーを快適に使うための環境(オンライン販売やストリーミング配布を含む)は、なかなか整わないようです。

     PDAを音声操作する可能性については、ひょっとすると、そのために役立つかもしれないいくつかの技術やアイデアが散発的に提案されつつあるに留まっています。

     HandEra 330には、音声メモ機能が付けられたと聞いています。でも、何故かイヤホンはないみたい。

     そして、パーム専用の各種MIDI音源は、小さなベンダーが作っている例が多いせいか、需要の見極めがつかなのか、国内市場に出てくるには、まだ少し時間が必要な様子です。

     PDA(パーム)における音の扱いは、まだ、試行錯誤が始まったばかりなのだと思います。そして今は、少しずつ経験を積み重ねていく時だと思います。私は、成り行きをいましばらく静かに見守りたい気がしています。

  • おしまい

     ……ということで、なんとなく「まとめ」らしき文章を綴ることができたので、「palm - music」は、本日只今をもって、おしまいにしたいと思います。

     1年9ヶ月の短い間でしたが、ありがとうございました。

     コンテンツは、(たぶん)このまま残します。

     Palm&Music User Groupのほうは続けますので、そちらでお会いしましょう。

     では、さようなら。


2001/05/01 (Tue.)

  • F1の村のパン屋さん

     音楽の話じゃなくて、ごめんなさい……。えっと、iWeekは、皆さん、是非来て下さいね。

     ……マンセルの話、なんか静かに盛り上がっていますね。

     そういえば、彼が散々ポカやって勝てなかった1991年から、やっとのことで年間チャンプになった92年の夏まで、私はドイツで、留学生をやっていました。

     住んでいたのは、マインツというライン川沿いの町(ワインとビールが美味しかったです)。ホッケンハイムへは日帰りで行ける距離だったので、シューマッハの初の母国グランプリになった92年のドイツGPは、寮の仲間数人で、電車を乗り継いで見に行きました。

     ホッケンハイム−−世界中のレースファンが知っている地名ですが、実際に行ってみると、本当に何もない小さな村なんですね。

     レース前日の予選最終日、各駅停車しか止まらない駅に降りると、あいにく、サーキットへの臨時シャトルバスが出た直後で、人影はありません。タクシーも来そうにないし、学生でお金もないので、私たちは、30分くらいかけて、トボトボ会場まで歩くことにしました。

     でも、これがハイキング気分で、結構、楽しかったです。途中で小さな可愛らしい教会を見つけて、記念写真を取ったりしながら……。

     そして、おやつ代わりにしようと、みんなで街角の小さなパン屋さんに入ったら、おばあさんが独りで店番をしていました。

    私 「ほんとに静かな町ですね。レースの時は、うるさくてかなわないんじゃないですか」
    (サーキットから徒歩15分くらいのこのお店まで、F1カーのエンジン音が聞こえていました)

    おばあさん「いえいえ。年に一度のお祭りですから、楽しみなんですよ。」

     「お祭り(Fest)」という言い方が、とても印象に残っています。なんだか、とてもホッとしました。

     このレースは、確か、マンセルとセナが終盤、森の中ですごいバトルを展開したような記憶があります。そして、年間総合優勝を決めたのは、次の9月冒頭のハンガリーGP。私は、8月末に帰国してしまっていたので、このシーンは、日本で、フジテレビで、古館さんの中継で観戦していました。

     あの、おばあさんは、今も元気で、次の「お祭り」を楽しみにしているのかな。

    P. S.
     スーパーサブ、パトレーゼとか、脇役もなかなか良かったですね、当時。


2001/04/30 (Mon.)

昨日もまた、曜日を書き間違えていました。失礼しました。

そして、今日も、リンク先の間違い。百鬼丸さん、ご迷惑おかけして、すみませんでした。そして、ご指摘、ありがとうございました。

  • 久しぶり

     ナイジェル・マンセル……懐かしい名前を久しぶりに聞きました(笑)。……という話ではなく、今、大阪で5/4-6に行われるマックのイベントiWeekのことです。

     ぱむりん&PUGOでブースを出展します。そこでは、音楽関係の展示・デモをやろうというようなことになっています。そして、その関係で、今日は、久しぶりにパームのMIDI演奏の用意をしていました。

     今更ですが、MIDIデータは、コンパクトでいいですね。

     クリエやVisorで扱っているオーディオ・データ、MP3やTRAC3の場合、1時間のデータで30MB以上になりますが、MIDIのカラオケやクラシック曲のデータだと、PalmVx の8MBのメモリに、8時間分くらいが楽に収まってしまいます。

     これは、文章で言えば、レイアウト付きで画像たっぷりのPDFと、文字データだけがべたに並んだテキスト書類を比較しているようなもので、かなり乱暴な議論ではありますが、ちょっと感動してしまいました。パーム本体の他に音源機材などが必要ですし、電源を確保しないといけなかったり、全体としての手間はかかるんですけどね。

2001/04/29 (Sun.)

  • マグマ誕生

     そうですか、あれから1年が過ぎたのですね

     そういえば、私は、大阪の茨木市というところに中学生の頃から、20年くらい住んでおります。Licaさんが勤めておられるイケショップ茨木店(が入っているマイカル茨木)は、仕事の行き帰りにふらりと立ち寄ることができる場所にあります。

     マイカルで本やCDを買ったついで、ペット(今、うちにインコがいます)の餌を調達したついでに立ち寄ることができるのは、とても便利なのですが、おかげで、PUGOでは、私が「イケショップにハマッテいる」という風評があるとか(笑)。

    HandEraは、確かに興味ひかれますね。
    でも、ここ(HandEraグループ)に参加してしまうとあれよあれよという間に買ってしまいそうなので、未だためらい中。
    [追記 AM 1:30]
    最初にアップロードした際、「HandEraグループ」へのリンクが、グループへの自動登録用URLを参照してしまっていました。私のミスです。申し訳ありませんでした。


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