仕事の記録と日記

白石知雄

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2003年12月29日(月)

大阪フィル「第九の夕べ」(フェスティバルホール)。納会的な雰囲気の演奏会ですが、指揮の広上淳一さんは、常に最前を尽くそうとする人。合唱にも、かなり明快な表現を求めていたようでした。


2003年12月26日(金)

唐澤まゆこソプラノ・リサイタル(イシハラホール)。フランスの印象派を外した社交的な歌を、楽しげに、表情豊かに歌う演奏会。CDリリースに合わせたプロモーションでもあり、選曲も、バックアップ体制も、周到に準備されたものだったようです。CD解説・司会は小沼純一さん。


2003年12月23日(火)

藤森亮一によるバッハ無伴奏チェロソナタの演奏会(京都府立府民ホール・アルティ)。深入りせず、あっけないくらい軽々とバッハをこなしてしまう人でした。


2003年12月20日(土)

午後、岡田佳子さんの演奏生活20周年記念のピアノ・リサイタル(いずみホール)。ポーランドで音楽祭や音楽院を開くなど、行動力のある方のようです。モーツァルト、ベートーヴェン、グラナドス、ラヴェル、ショパンという盛りだくさんのプログラム。演奏も、「こう弾きたい」という意図が明確でした。その分、やや凝りすぎで、流れが悪くなるところもありましたが。

演奏会評の記録を更新。『ムジカ・ノーヴァ』に、中西誠ピアノ・リサイタルの演奏会評を書きました。


2003年12月18日(木)

神戸市室内合奏団定期演奏会(神戸文化ホール中ホール)。この団体は、ゲルハルト・ボッセを音楽監督に迎えて、とことん彼とつきあうことに決めているようなので、あとは、善し悪しというより、ボッセのスタイルが好きか、嫌いかという問題になるような気がします。モーツァルトの協奏交響曲は、指揮(ボッセ)、ヴァイオリン(東京芸大教授、岡山潔)、ヴィオラ(N響首席奏者、川崎和憲)と、舞台前面にベテランが並ぶ構図になりました。


2003年12月15日(月)

今井信子ヴィオラ・リサイタル(京都府立文化芸術会館)。バッハとテレマンの無伴奏ソナタ。バロックの速い楽章を正確なテンポで弾こうとして、追い立てられるような、せわしない印象になってしまうのは、戦後のいわゆる「新即物主義」の(あまり嬉しくない)名残りかなと思いました。各組曲のサラバンドは、奇をてらわない集中した演奏でした。

演奏会評の記録を更新。『音楽現代』に、関西歌劇団「アドリアナ・ルクヴルール」公演(グラビア口絵)、ザ・カレッジ・オペラ「沈黙」公演、萩原次己バリトン・リサイタルの演奏会評を書きました。


2003年12月13日(土)

大須賀かおり(ピアノ)、甲斐史子(ヴァイオリン)のデュオ「ROSCO」による現代音楽演奏会(バロックザール)。タケオ・キクチに身を包んで大暴れする、ファッショナブルな実験音楽。アンサンブルの質も高く、是非、また関西でも、演奏して欲しいです。


2003年12月12日(金)

松村英臣ピアノ・リサイタル(阿倍野区民ホール小ホール)。とにかく、最後のシューベルトの変ロ長調ソナタが、こだわり抜いた素晴らしい演奏でした。主調からどんどん逸れてゆくシューベルトの転調や、偏執的でバランスを書いた反復・変奏を、音楽的な「事件」として、聞き手の耳に届けようと本気で努力している人が、21世紀の日本にいたのだということに、誇張でなく驚き、感動しました。今回は、変ロ調で統一されたプログラム。モーツァルトでは、細部にこだわる余り、流れが滞り、重たくなってしまうところはありましたが、バッハ「平均律」のC. P. E. バッハを思わせるきまぐれぶり(変ロ長調)や、孤独(変ロ短調)の演出も、面白く聞かせていただきました。

楽曲解説の記録を更新。いずみホールでのジョイント・コンサートの解説を書きました。


2003年12月11日(木)

バリトンのマティアス・ゲルネによるシューベルト「美しき水車小屋の娘」(イシハラホール)。柔らかい声で、人を引きつける表現力のある人でした。


2003年12月10日(水)

佐藤一紀ヴァイオリン・リサイタル(バロック・ザール)。プーランクの皮肉っぽいソナタ、ピリオド奏法によるバッハ「シャコンヌ」、ベリオ「セクエンツィアVIII」等々という、凝った選曲。才気ある人だと思いました。曲をまとめる持久力に欠けるのが惜しい。


2003年12月8日(月)

演奏会評の記録を更新。『京都新聞』に、クイケン四重奏団の批評と、12月のお薦めコンサートを書きました。


2003年12月7日(日)

ネクスト・マッシュルーム・プロモーションによるマラソン演奏会「ヘルムート・ラッヘンマンの肖像」(京都ドイツ文化センター)。「左翼」で「前衛」、精巧な特殊奏法を楽譜に記載しつくす「作曲家」ですが、「教条主義」や「攻撃性」や「支配欲」とはほど遠い、長身で物静かな人でした。第1部開演が13:00、第3部終演が21:00過ぎの長丁場。演奏は、2月のクセナキス特集をはるかに超える好演が続きました。


2003年12月6日(土)

午後、大竹道哉ピアノ・リサイタル(ムラマツリサイタルホール新大阪)。モーツァルト、ベートーヴェン、ウェーベルン、ブラームスの変奏曲を集めたプログラムで、時計のように正確に、音楽が刻まれてゆく演奏でした。


2003年12月5日(金)

船橋美穂さんのピアノ・アンサンブル・シリーズ(びわ湖ホール小ホール)。ゲストのトマス・クリスティアン氏のヴァイオリンは、圧倒的に正確な運弓と、ジプシー・ヴァイオリン風の威嚇するようにうねるアクセントなど、ユニークなものでした。R. シュトラウスの変ホ長調ソナタ、コルンゴルト「空騒ぎ」、レスピーギとクライスラーの小品など、曲目も多彩。


2003年12月2日(火)

「音楽クリティック・クラブ賞」選考会(いずみホール)。


2003年12月1日(月)

山下泰夫ピアノ・リサイタル(イシハラホール)。ベートーヴェンの「悲愴」、「ワルトシュタイン」、「熱情」。10年前と同じプログラムとのこと。演奏の善し悪しを超えて、こういう力強いスタイルを絶対に崩さないのだ、という強い覚悟を示した演奏会だったのだと思います。



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by 白石知雄 (Tomoo Shiraishi: tsiraisi@osk3.3web.ne.jp)