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◆ 社名の歴史 ◆
「青磁社」という名の出版社は私たちで3代目となります。 第一次青磁社は昭和初期に歌集出版などを手掛けていました。 第二次青磁社は昭和40年代頃に詩集出版をメインに、やはり歌集も出版していました。 歌集出版にゆかりある社名を引き継いだ使命を、今後十二分に果たしていく所存です。


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◆ 新刊のご案内 ◆

▼『弓なりの海』
北野幸子第一歌集
A5判変形上製・178ページ
2500円(税別)


外海のうねりに乗りて冬鳥はつるりと湾の喉(のみど)を潜る

導かれるままに海辺へ立っているような気がするから不思議だ。常住の人ならではの責任を引き受ける目が働いているからだと思う。対象をしっかり見つめている視線は柔らかなのに、強い。見慣れた風景であっても一切手抜きをしていない歌だ。

定まらず流れず葛湯のやうにゐていつしか季は水無月となる

常住するということは、たくさんの人に見守られつつ、それだけ隠れるところがないということでもあろう。人生におけるさまざまな場面での身の処し方や自身のこころとの折り合いの付け方が感じられる。・・・さいとうなおこ「跋」より

▼『風に押されて』
田中とし子第二歌集
A5判変形上製・198ページ
2500円(税別)


墓石に刻まれてある命日は被爆の日より秋が多かりき
遺族席にわれは座りて炎天に立ちつづけゐる数多の参拝者

母と、一族が体験した広島の原爆。その記憶を受け継いでいく時間の流れが、静かな光を帯びて歌われている。自らの発病の歌など、逆境を詠んだ歌も多い。しかし、苦しみを超えて、平穏な一日や身辺の風景に滋味を見いだしていく姿勢は、つねに貫かれている。淡々としているように見えて、強い。コントラバスを弾く夫など、ともに生きる人々の姿も、とても魅力的である。

E線を押さへるきみの左手の指輪はづされ匣(はこ)にをさまる ・・・吉川宏志「帯文」より

▼『風に押されて』
田中とし子第二歌集
A5判変形上製・198ページ
2500円(税別)


生来の気質か、あるいは長年商家を切り盛りしてきた習慣(ならい)か、田中さんの歌には気負わない上質なユーモアが滲む。そのユーモラスな視点に切り取られる世界の豊かさは、読む者の気持ちをも解きほぐしてくれるようでもある。書家であるという一面も、そういった豊饒さに寄与しているのかもしれない。・・・「帯」より


▼『邂逅や』
西村美智子第一歌集
A5判上製・196ページ
2500円(税別)


夕川に風が浮かべし花筏吾(あ)を載せて往け春の湊へ

戦後、高等女学校の生徒が顫えるようにしてのめり込んでいった短歌。その後、永らく歌から遠ざかっていた著者が母の死を契機とし、約六十年ぶりに作歌を再開しまとめた第一歌集!・・・「帯」より

▼『ガラス越しの海』
西川啓子第一歌集
四六判上製・188ページ
2500円(税別)


作品をたどってゆくと、家族それぞれの存在が、作者にとって大切なものであることがよくわかる。歴史上の事件や社会の問題も、身の回りの人の存在を意識することによって深く受け止められているのである。

円錐の内なる枝を見せながらひかりの揺れる時は過ぎたり

そこには作者の時間があり、作者周辺の人の時間がある。読者もまた、作品を読むことによって他者の時間につながることができる。・・・真中朋久「跋」より

▼『さうか、さうか』
野上洋子第二歌集
A5判変形上製・250ページ
2500円(税別)


死に近き母の頭にわが頭よせて眠りぬ窓には満月

この集におさめられてある作品群は、一見、華やかな機知にあふれるものである。著者の作風は、明らかに中世女歌の流れの中にある。ということは、常に溌溂としていることを要求される。間もなく逝かんとしている母親の頭に、みずからの頭を寄せて眠るということは、その死に、近づけてわが身を置くということに外ならない。賑やかにしているけれど、歌の本質が寂しさにある、ということを無意識ながら著者は知っているのだと思う。・・・小見山輝「跋」より


▼『帰り花』
横井初恵第一句集
B6判並製・220ページ
2200円(税別)


髪剃つて我も仏弟子望の月
名を呼べば河馬が鼻出す春の水
蝌蚪一つ右へ泳げばみな右へ
ゆくゆくはここに眠らん甘茶寺
高層に住むや大夕焼の中
この星の嘆き聞こゆる大暑かな
送り火や京都すなはち大霊場
龍の玉龍太の紺でありにけり
数ふるをとうにあきらめ年の豆
カトレアの一花にかける命かな

古志所属の著者第一句集。

▼『さくらんぼ』
澤田美那子第一句集
四六判上製・226ページ
2200円(税別)


初鰹銀の光を包丁す
鼾にも風姿ありけり夏の月
寒山が酢を舐めてゐる暑さかな
芋虫の憤怒の心伸び縮み
干蛸は烏賊より愉快秋の風
さびしさに水面破つて秋の鯉
美しく枯れし藜は誰が杖に
人ならば壮年の色寒の鰤
豆の花時計に音のありしころ
見上げて花見下ろして花吉野建

古志所属の著者第一句集。

▼『草色の手帳』
藤原勇次第一歌集
四六判上製・220ページ
2500円(税別)


あるときに家計簿としてえらばれき草色表紙の父の手帳は

この父の死とその体験を視線の基底に据えて、本歌集ではいわゆる社会詠と呼ばれる、多くのテーマが意識的に取り上げられ、詠われている。
原爆のこと、イラクへの自衛隊派遣のこと、原発のこと、そして何より戦争体験の過酷さなど、それら社会へ向けられる目は、単なる正義感というよりは、父の戦争体験が、視線の基軸に据えられることによって、静かな緊張感とリアリティを獲得していると言えるだろう。・・・永田和宏「解説」より


▼『ユリカモメの来る町』
中埜由季子第四歌集
四六判上製・166ページ
2500円(税別)


 創刊七十二年となる「歩道」は結社理念の純粋短歌を堅持してそれぞれが確かな作歌の道を進んでいる。その一人中埜由季子は、歌歴もながく、歌壇の評価も高いが、常に挑戦し新しい方向を探り、自己を投影した人の作らない意欲的な作品を発表している。

抑へがたき感情透けて愚かなるわが声留守番電話にひびく

など、本歌集はその成果の凝縮したもので、具眼の士の静鑑を希うものである。・・・秋葉四郎「帯文」より

▼『とはに戦後』
東淳子第八歌集
菊判上製函入・220ページ
2000円(税別)


たしかに〈戦争〉は終った。しかし、〈戦後〉という時間に終りはあるのか。終止符を打てぬものが時の流れであるならば、われわれの戦後は、今も終りなく続いていよう。歴史にのこした戦争の数だけ、われわれは戦後を背負っているとも言えよう。
戦後も死後も、その〈後〉という終りのない時間をしかと受けとめ、確認することが、私の〈今〉を生きることにつながる。
私の作歌は、戦後の時代や社会、とりわけ父達戦死した者の無念をすくいとるささやかな手段でありたいと思う。・・・著者「後記」より

▼『わたくしが樹木であれば』
(2刷)
岡崎裕美子第二歌集
四六判変形上製・194ページ
2200円(税別)


小池昌代氏推薦

人と獣とのあいだをさまよいながら歩くうたびと。岡浮ウんは、あやふやで危うい、しかし充実しきった途上を生きる。
かつてわたしたちの前に、棒のごとき裸身ですっくと立った彼女の歌。第一歌集『発芽』の芽は、その後、外側でなく彼女の内側深くへと成長し、自らに裂傷を負わせたかに見える。
亀裂によって樹の肌に、玉のごとく滲み出た樹液は、今、迷いも矛盾も含みとって、厳かに濁り、即物的な重力を付け始めている。所々には刃物のような覚悟も垣間見えて。
いよいよ岡浮ウんは歩み始めたのだ。沼ならば一層、深い沼のほうへ。・・・小池昌代「帯文」より


▼『夏野』
大室ゆらぎ第二歌集
四六判変形上製・186ページ
2500円(税別)


藪とか草木の茂みのような場面がしきりと出てくる。作者の身体はそこに入っていけない。しかし身体を離れて、たましいはそこに自由に入っていける。作者の歌はそこに生まれる。
植物、動物、生き物の世界。森羅万象の息づきうごめくところ。生まれ死に、死んでまた生まれるところ。たましいが微かに揺れて、そのあえかな現象に歌のこころは響きあう。観念的であっても、韻律さわやかに揺れて、イメージするものはうつくしく、短歌として確立された様式美がある。こういう歌集は昨今稀れであろう。
かわりばえのしない日常生活に、ギリシャ・ローマの古典などがふと影を添えてくる。その陰影の刻む知的輪郭があざやかだ。これはまぎれもなく「新古典主義」の一巻である。 ・・・小池光「帯文」より
第43回現代歌人集会賞

▼『スーパーアメフラシ』
山下一路第二歌集
四六判変形並製・176ページ
1700円(税別)


このままなにも知らずにボクタチは滅んでしまうアズマモグラさ
わたしはロボットではありません。わたしには番号があります

山下が自分なりに想像をめぐらせた「ボクなき後の日本社会」は、もはやディストピアSFの世界である。その想像力はあくまでポップだから、甘くて苦い。この『スーパーアメフラシ』という爆弾は、果たして届くべき場所に届いて爆発してくれるだろうか。「自分のことは言われていない」と思っているあなたが一番危ないのだ。この歌集の恐るべきところは、他者を告発する点にあるのではない。自分もろとも自爆して、現代日本を覆うくだらない大衆根性をぶち壊してしまおうともくろんでいる点にある。
軽いけれど要注意可燃物で、無味乾燥だけど毒がある。山下一路の短歌は、想像力の火薬庫だ。・・・山田航「解説」より

▼『石川信雄著作集』
石川輝子・鈴木ひとみ編
A5判上製・308ページ
2800円(税別)


昭和短歌史の遺産

歌集『シネマ』で知られる奇才石川信雄、その全貌が集約された著作集。昭和の初期に前川佐美雄の『植物祭』と共にモダニズム短歌の先駆者となる役割が、ここに初めて明らかになる。戦時下の中国にあって、土屋文明の『韮菁集』の結実に寄与する経緯もあった。帰国してからの戦後に、あらためて新芸術派として立ち直り、純粋詩に殉死した功績は、いわば前衛短歌の運動を先取りした営為としても忘れてはならない。これほどフランス文学の魅力を摂取した歌人はいない。本書が上梓されたことによって、昭和短歌史の書き変えが必要になってこよう。・・・篠弘「帯文」より


▼『屋根にのぼる』
山下洋第三歌集
四六判並製・276ページ
2300円(税別)


前歌集から10年、著者待望の第三歌集。

▼『大阪ジュリエット』
橘夏生第二歌集
四六判上製・196ページ
2500円(税別)


橘夏生が、どうしても書かなければ生きられなかった歌の数々を収めた集である。この歌集はまず〈川本くん〉の挽歌のために編まれた。その作者を支える〈理解ある優しい夫〉との〈生〉の様相が次にうたわれ、そして最終的には、作者の人間としての自立のための〈母との訣別〉がうたわれなければならなかった。・・・水原紫苑「栞」より

透明な悲傷感がどの一首にも結晶していて、詩歌としての凝縮度は高い。単なる嘆きの歌ではなく、そこには当事者でありながらも、どうしようもなくウタビトでもある橘夏生の矜持が貫かれ、表現の水位は高い。それを支える熱量と技量も卓抜だからだ。・・・藤原龍一郎「栞」より

▼『ノアの時代』
岩井謙一第五歌集
四六判上製・136ページ
2000円(税別)


旧約聖書にノアの物語がある。
私は長らく人類が滅びるとしたら核戦争であろうと思ってきた。しかし今は気候変動によってそれは起こると考えるようになった。その時もう一度箱舟が造られたとしたら、すべての種を乗せたのち、地球を支配してきた人類はノアと同じく箱舟に乗るのであろうか。それとも別の選択をするのだろうか。・・・著者「あとがき」より


▼『たどり着けない地平線』
池田行謙第一歌集
四六判上製・214ページ
2500円(税別)


ほんとうは存在しないものとして水平線ははっきりみえる

歌集名もふくめ、「線」と称される地形への関心が強い。見えている、というか脳が認識している「線」は、いつも「何かの途中」にいる人にとって、たどり着けない場所、伝わらない願い、すれちがう思慕……あらゆる局面での、片思いの象徴のようである。・・・佐藤弓生「栞」より

旧姓で呼べばあなたは旧姓の顔をしてここはまだ汽水域

池田さんの歌は、波に洗われた小石が陽光をまとっているような透明感がある。
美しい普遍性とともに、言葉は手放され、自然の受容力へと明け渡される。そして言葉がその可能性を無限に広げていく姿を、作者と私たちはただ静かに見守るのである。・・・吉村実紀恵「栞」より

彗星がまっすぐ飛べなくなるような寓話を考えながら待ってる

どんなに世界が眩しくても、あるいは痛ましくても、池田さんは目をつむらない。そこから、こんなにもひりひりした言葉が生まれてくるのだ。・・・大森静佳「栞」より

▼『二つぶ重いやまひだれ
――癌闘病歌日記』(※やまひだれの表記は部首の病だれ)
岡部史著
四六判並製・214ページ
1000円(税別)


翻訳家であり食文化研究家であり作家であり歌人でもある著者。1997年に子宮体癌と診断されるが紆余曲折の末、誤診と判明する。その後、2009年に再び子宮体癌を診断。その悪戦苦闘の闘病生活を短歌と文章で綴った一著。

*朝日新聞「患者を生きる」(2016/2/9より五回連載)
で紹介されました。

▼『からだにやさしい』
宿久理花子第一詩集
A5判変形並製・104ページ
1500円(税別)


血が、もりあがる。

他者と身体のはざまから自在に口語を呼び集め、手なずけ、嬉々と遊ばせ、疾走させ、鞭打つ。

のびやかな語りと不意に襲ってくる白熱(ラッシュ)、愛の不穏と、禽獣の眼のやさしさ。

生まれたての世界の皮膜に、なみなみとした言葉の地平をひらく、「ユリイカ」新鋭詩人の第一詩集。・・・君野隆久「帯文」より

第21回中原中也賞最終選考作品


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