赤字は相手( 相対性理論の専門家)のメール、黒字はこちらのメールです。
>は相手のメールの引用です。

はじめまして。私、一般相対論を専門とする○○というものです。 現代物理学に何クセをつける話しは個人的には好きなので (私は、現代物理の基礎理論は正しいと思っております)、 どこを間違えているのか、という興味のもとであなたの ホームページを拝見しました。 いくつか間違いの指摘をしたいと思います。 全文に対しては時間の都合上で来ませんので、とりあえずは ブラックホールがらみのところです。
1)シュワルツシルドは質点を仮定していません。 一般相対論の方程式を、静的な場合で、球対称性を持つ真空解を 求めただけです。これは一般相対論を仮定したとはいいません。
2)物理学者は盲目的にブラックホールを受け入れているのではありません。 太陽系近傍での実験、および、観測の結果、一般相対論の予言する 物理現象はほぼ99%の確かさで、確認されています。 言い換えれば99%の精度で、一般相対論はよい近似理論になっている ということです。残りの1%は実験誤差のため生じるものです。 (現代物理で最も精度の悪い実験、観測は重力に関するものです) で、99%正しいんだから、一応、一般相対論は正しい基礎理論である、 と考えた上、そこから帰結されるブラックホールの存在を認めているわけです。 もちろん残り1%の可能性は物理学者には否定できません。現に、 その可能性を検証しようという試みはあります。 大事なのは、現段階で実験誤差の範囲で一般相対論と食い違う結果は 見つかってない、ということです。
3)ニュートン力学からと一般相対論からのシュワルツシルド半径の結果が 等しくなるのは偶然です。 あなたも書いているとおり、「結果が同じとは全くおかしい話」なので 偶然だと表現されるわけです。
4)「シュバルツシルトの解を数学的に考える」部分について(あなたは) 全面的に考え直されたほうがよいでしょう。 特異点は時空に属する点ではない、ということが理解できていますか? 特異点が何であるかを理解することは数学的には非常に難しい内容を 伴います。ただ、あなたが理解しておられるような「点」のイメージでは ないことだけでも、理解して頂きたい。
5)特異点定理を誤解しているようです。 ホーキングたちの特異点定理は宇宙の初期の段階で(宇宙が一様、 非一様にかかわらず)、必ず、特異点が存在してしまう、というものです。 ブラックホールの特異点に関するものではないです。質量の集中と 特異点との関係ではないです。
6)その他 相対論を批判する(なんでもそうですが、批判する場合)には、よくその理論を 理解してから問題点を指摘しないといけません。あなたの文章を(はじめだけですが) 読む限り、啓蒙書からの知識はあるようですが、それ以上の知識は 持っておられない様です。相対論じたいが難解な理論である印象が 世間にはあるようですが、決して一部の限られた人しか理解できないわけでは ありません。シュッツの教科書や松田、二間瀬の教科書は 非常にわかりやすく書かれていますので、一度、きちんと勉強されては いかがですか。シュワルツシルド解の導出なんかは頭のいい高校生なら 出来るぐらいのものです。もし、きちんと勉強された上で同様の批判的精神で 問題をお考えになられれば今とは全然違うものになるだろうと思われます。 あと、物理学は科学ですから、合理性、論理性が最大限に要求されます。 矛盾があればそれを(合理的、論理的に)指摘した人はそれだけの成果を 得るわけですから、ごく最先端の分野を除いて(少なくとも標準的な教科書に 書かれていることは)、矛盾するところはないです。
あなたのホームページの内容を読む限り、わからないからおかしい、という 感情的な批判である、印象を受けます。 あなたの膨大なホームページの全てについては見てませんが、 はじめの部分だけでも、気になった点を書かせて頂きました。 科学を志すものとしては正しい知識を広めたいと思いますので、 私も時間があればご質問には答えたいと思います。
-----------------
以上の文章は省略、改変なされないことを条件にあなたのホームページの 中で使用されても構いません。

やっと専門とされる方からのお返事ををいただきうれしくおもいます。 それではあなたの御指摘に対して私の考えを書かせていただきます。
>1)シュワルツシルドは質点を仮定していません。
> 一般相対論の方程式を、静的な場合で、球対称性を持つ真空解を
>求めただけです。これは一般相対論を仮定したとはいいません。
シュワルツシルドは質点を仮定していないとのことですが、 このようなことは私のまったく認識していなかったことです。 もしあなたの言われるとおりであれば私はホームページを通じて 謝罪しなければいけません。 事実関係を確認したいのですが、私は本業の方が忙しくなかなか 書籍類を探して購入する暇がありません。もしシュワルツシルトの解の 正確な導き方をお知りであれば、その部分を教えていただけませんでしょうか。 それが不可能であればこの件に関しての私の返事はかなり期間が かかると思いますのでご容赦ください。
>2)物理学者は盲目的にブラックホールを受け入れているのではありません。
> 太陽系近傍での実験、および、観測の結果、一般相対論の予言する
>物理現象はほぼ99%の確かさで、確認されています。
>言い換えれば99%の精度で、一般相対論はよい近似理論になっている
>ということです。残りの1%は実験誤差のため生じるものです。
>(現代物理で最も精度の悪い実験、観測は重力に関するものです)
>で、99%正しいんだから、一応、一般相対論は正しい基礎理論である、
>と考えた上、そこから帰結されるブラックホールの存在を認めているわけです。
>もちろん残り1%の可能性は物理学者には否定できません。現に、
>その可能性を検証しようという試みはあります。
>大事なのは、現段階で実験誤差の範囲で一般相対論と食い違う結果は
>見つかってない、ということです。
この件に関してですが、あなたは一般相対性理論の正当性について 書かれているのだと思いますが、私は一般相対性理論が間違っているとは どこにも書いていないつもりです。 ほぼ正しいものとして取り扱っています。また一般相対性理論を 修正すべきであるとは考えていますが、そのような場合においても宇宙の局所に おいてはほぼ問題なく適用できるが宇宙全体の問題に適用するには不十分である と考えているだけです。 私が問題にしているのは一般相対性理論の解を解いたというのは数学的には 近似解を求めただけであると言うことです。 ブラックホールのような究極の状態をこのような近似解で 正当化するのは無理であり、特異点がブラックホールには常についてまわる(このように私は 認識しているのですが、間違っていますか?)ということはブラックホールという現象を 一般相対性理論からは正確には導き出せないことを証明したのと同等であり、 ブラックホールの問題は純粋に数学の問題であると考えています。
>3)ニュートン力学からと一般相対論からのシュワルツシルド半径の結果が
>等しくなるのは偶然です。
> あなたも書いているとおり、「結果が同じとは全くおかしい話」なので
>偶然だと表現されるわけです。
一般相対性理論のようなややこしい理論を解いた結果が、ニュートン力学で得られる結果と全く 同じというのはやはり「おかしい話」であるという認識は同じなのですね。 これについてはいろいろ言いたいこともあるのですが、数学的に正確な話は私にはできませんので やめにしておきます。
>4)「シュバルツシルトの解を数学的に考える」部分について(あなたは)
>全面的に考え直されたほうがよいでしょう。
> 特異点は時空に属する点ではない、ということが理解できていますか?
>特異点が何であるかを理解することは数学的には非常に難しい内容を
>伴います。ただ、あなたが理解しておられるような「点」のイメージでは
>ないことだけでも、理解して頂きたい。
実際に特異点がどのようなものであるのか、時空に属する点ではないとあなたが言われることも 全く理解できません。 私は理解する必要はないと考えています。なぜなら特異点は存在しないと私は考えているからです。 存在しないものを理解することは不可能であるし、それを理解したというのは何の意味も持たないと思います。
>5)特異点定理を誤解しているようです。
> ホーキングたちの特異点定理は宇宙の初期の段階で(宇宙が一様、
>非一様にかかわらず)、必ず、特異点が存在してしまう、というものです。
>ブラックホールの特異点に関するものではないです。質量の集中と
>特異点との関係ではないです。
「宇宙論と統一理論の展開 佐藤文隆編」岩波書店 の中に 「5.重力崩壊とブラック・ホールの物理学 佐藤文隆 P19-26」 という論文があります。その中に 「現実の重力崩壊は星の回転が起因して球対称から大きくずれてくる。このような一般の 重力崩壊の結果どのような最終状態になるのかという問題がここ10年ほどの間に集中して 研究されたテーマであった。”特異点定理”と”KERR時空唯一性定理”がそこで得られた 重要な成果とされている。PenroseとHawkingにより証明された特異点定理はある段階まで 重力収縮すればその先に必ず特異点があらわれるという、動的過程の時間的発展に関するものである。 ある段階とはtrapped surface ができることで、球対称の場合にはSchwarzshild 面に星がはいることである。」とあります。 佐藤文隆氏と言えば、日本における宇宙論と相対性理論の権威者ではないのでしょうか。 あなたの言っておられることと全く違いますがどちらが正しいのでしょうか。
>6)その他
> 相対論を批判する(なんでもそうですが、批判する場合)には、よくその理論を
>理解してから問題点を指摘しないといけません。あなたの文章を(はじめだけですが)
>読む限り、啓蒙書からの知識はあるようですが、それ以上の知識は
>持っておられない様です。相対論じたいが難解な理論である印象が
>世間にはあるようですが、決して一部の限られた人しか理解できないわけでは
>ありません。シュッツの教科書や松田、二間瀬の教科書は
>非常にわかりやすく書かれていますので、一度、きちんと勉強されては
>いかがですか。シュワルツシルド解の導出なんかは頭のいい高校生なら
>出来るぐらいのものです。もし、きちんと勉強された上で同様の批判的精神で
>問題をお考えになられれば今とは全然違うものになるだろうと思われます。
> あと、物理学は科学ですから、合理性、論理性が最大限に要求されます。
>矛盾があればそれを(合理的、論理的に)指摘した人はそれだけの成果を
>得るわけですから、ごく最先端の分野を除いて(少なくとも標準的な教科書に
>書かれていることは)、矛盾するところはないです。
> あなたのホームページの内容を読む限り、わからないからおかしい、という
>感情的な批判である、印象を受けます。
私は相対性理論を一切批判していません。 尊敬すべきアインシュタインが考え出した尊敬すべき理論であると評価しています。 良くお読みになればわかるはずです。 私は確かに一般相対性理論を正確には理解できていません。 ただし「知らないという知」があります。 自分のわかる範囲内でのみ議論をしているつもりです。 あなたは一般相対性理論は簡単に理解できて、解を求めることも高校レベルでできる ように思っておられるようですが、あまりにもそれは甘い考えではないでしょうか。 重力崩壊が一般相対性理論によって完全に解かれているとされているのは、球対称で それも静的な場合のみです。 完全に解かれているとされている解ですら、球対称であるとか静的であるとか、 現実的にはあり得ない近似的なもののみです。 これで完全にわかったつもりになってよいのでしょうか。 私には思い上がりとしか思えません。 先ほど引用した佐藤文隆氏の論文の中に 「問題はこの定理を重力崩壊に関係させる部分であり、その点は数学的証明ではなく次のような ”哲学的仮定”からきている:特異点が現れれば、そこではEinstein理論は不定になり物理的 議論ができなくなる。したがって、この理論の枠内におさまる議論をしようと思えば、特異点が たとえ存在しても、外部に影響をおよぼさないようになっておればよい。こうした仮定をcosmic censorship仮定と呼んでいる。」 「ブラックホールという言葉は広くは崩壊星を総称する述語として現在用いられているが、 より限定した意味では上記の仮定のように事象の地平面が存在する特別な時空構造を表す述語 として用いられる。そのような用語でいうなら崩壊星の時空がブラック・ホールになるというのは cosmic censorship仮定にすぎない。そしてブラック・ホールにならない場合を総称して”裸の特異点”と呼んでいる。一般の重力崩壊の結果はブラック・ホールか?裸の特異点か?この問題は現在でも 結論の得られていないことを注意しておく。」 このようにブラック・ホールとは正しいかどうか全く不明な cosmic censorship仮定によっています。 あなたが思われるほど確固たるものではないということを、 正統派とされる日本の権威者が言っている現実をあなたはどのように評価されるのでしょうか。

>5月28日にそちらへメールを送らせていただいたのですが、
>届きましたでしょうか。
>もう一度、同じ内容をお送りしますので、ぜひご意見などを
>教えてください。
今回はじめて届きました。
>>1)シュワルツシルドは質点を仮定していません。
>シュワルツシルドは質点を仮定していないとのことですが、
>このようなことは私のまったく認識していなかったことです。
>事実関係を確認したいのですが、私は本業の方が忙しくなかなか
>書籍類を探して購入する暇がありません。もしシュワルツシルトの解の
>正確な導き方をお知りであれば、その部分を教えていただけませんでしょうか。
どの教科書にものっているはずですが、簡単なものには初学者を 混乱させない様にとの配慮で直観的な理解に頼っているものもあります。 ですから、もし、対称性とかいう話まで理解なされたいのならかなりの 努力が必要とされます。 いくつか簡単なものをあげておきます。
1)「相対性理論」 冨田憲二、丸善パリティ物理学コース、p58
2)「一般相対論」佐々木節、産業図書、p89
3)「相対論入門(下)」シュッツ(江里口、二間瀬 訳)、丸善、p159
4)「相対性理論」小玉英雄、培風館物理学基礎シリーズ6、p211
もし、きちんと基礎事項も含めて理解なされたいのなら4)を勧めます。 3)非常にわかりやすいです。1)、2)は二つもそれぞれ、特色があって よい本です。上の4冊ならどれを読んでも十分な内容が書かれています。
>>2)物理学者は盲目的にブラックホールを受け入れているのではありません。
>> 太陽系近傍での実験、および、観測の結果、一般相対論の予言する
>>物理現象はほぼ99%の確かさで、確認されています。

>この件に関してですが、あなたは一般相対性理論の正当性について
>書かれているのだと思いますが、私は一般相対性理論が間違っているとは
>どこにも書いていないつもりです。
一般相対論が正しいとすればの必然的帰結です、ということいいたかった。 他の相対論的な重力理論においても、同様なブラックホール解は存在しますので、 相対論的であることの普遍的結論かと思います。
>ほぼ正しいものとして取り扱っています。また一般相対性理論を
>修正すべきであるとは考えていますが、そのような場合においても宇宙の局所に
>おいてはほぼ問題なく適用できるが宇宙全体の問題に適用するには不十分である
>と考えているだけです。
宇宙全体に適用する根拠は、宇宙のどこもが同じ性質を持っているであろうという 物理学者の審美的哲学によるものです。もちろん、これは実証されたことでは ありません(最も、遠方の銀河の観測などから、強い指示はあります)。 見えない部分も含めた宇宙全体(宇宙のトポロジー)に適用することには 不十分かも知れません。これらを具体的に確かめる方法も現在の所ありません。 だからこそ、研究が行われているのです。
>私が問題にしているのは一般相対性理論の解を解いたというのは数学的には
>近似解を求めただけであると言うことです。
数学的には厳密解です。物理的には近似的状態を解いたことになります。
>ブラックホールのような究極の状態をこのような近似解で
>正当化するのは無理であり、特異点がブラックホールには常についてまわる(この
>ように私は
>認識しているのですが、間違っていますか?)ということはブラックホールという
>現象を
>一般相対性理論からは正確には導き出せないことを証明したのと同等であり、
>ブラックホールの問題は純粋に数学の問題であると考えています。
上に述べたとおり、相対論的な重力理論を考える限りブラックホールというのは 普遍的な概念ではなかろうかと思われます。
>>3)ニュートン力学からと一般相対論からのシュワルツシルド半径の結果が
>>等しくなるのは偶然です。
>> あなたも書いているとおり、「結果が同じとは全くおかしい話」なので
>>偶然だと表現されるわけです。
>一般相対性理論のようなややこしい理論を解いた結果が、ニュートン力学で得られ
>る結果と全く
>同じというのはやはり「おかしい話」であるという認識は同じなのですね。
係数まで含めて同じである必然性はないということです。次元解析からは すれば、定数倍の相違は見られても不思議はないということです。
>>4)「シュバルツシルトの解を数学的に考える」部分について(あなたは)
>>全面的に考え直されたほうがよいでしょう。
>> 特異点は時空に属する点ではない、ということが理解できていますか?
>>特異点が何であるかを理解することは数学的には非常に難しい内容を
>>伴います。ただ、あなたが理解しておられるような「点」のイメージでは
>>ないことだけでも、理解して頂きたい。
>実際に特異点がどのようなものであるのか、時空に属する点ではないとあなたが言
>われることも
>全く理解できません。
>私は理解する必要はないと考えています。なぜなら特異点は存在しないと私は考え
>ているからです。
>存在しないものを理解することは不可能であるし、それを理解したというのは何の
>意味も持たないと思います。
特異点は一般相対論の解として存在しているではないですか?幽霊が存在しないの とは意味が違います。解として存在が帰結される以上、数学的に研究する手段が あるわけですから、理解も可能なはずです。理解したことは一般相対論の 数学的構造の理解を助けるために大きな役割をするはずです。 では、数学的な存在である「特異点」がもし物理的に存在するとしたら どんな風に見えるのか? これがわからないから、宇宙検閲官仮説なるものも でて来るのでしょう。
>>5)特異点定理を誤解しているようです。
>> ホーキングたちの特異点定理は宇宙の初期の段階で(宇宙が一様、
>>非一様にかかわらず)、必ず、特異点が存在してしまう、というものです。
>>ブラックホールの特異点に関するものではないです。質量の集中と
>>特異点との関係ではないです。
>「宇宙論と統一理論の展開 佐藤文隆編」岩波書店 の中に
>「5.重力崩壊とブラック・ホールの物理学 佐藤文隆 P19-26」
>という論文があります。その中に
>「現実の重力崩壊は星の回転が起因して球対称から大きくずれてくる。このような
>一般の
>重力崩壊の結果どのような最終状態になるのかという問題がここ10年ほどの間に集
>中して
>研究されたテーマであった。”特異点定理”と”KERR時空唯一性定理”がそこで得
>られた重要な成果とされている。
>PenroseとHawkingにより証明された特異点定理はある段階まで
>重力収縮すればその先に必ず特異点があらわれるという、動的過程の時間的発展に
>関するものである。
>る段階とはtrapped surface ができることで、球対称の場合にはSchwarzshild
>面に星がはいることである。」とあります。
>佐藤文隆氏と言えば、日本における宇宙論と相対性理論の権威者ではないのでしょ
>うか。
>あなたの言っておられることと全く違いますがどちらが正しいのでしょうか。
これは私の記憶違いでした。 宇宙の時間発展を逆にしたら重力崩壊と同じです。その場合にも当然 特異点は現れます。記憶違いを起こした理由を述べておくと、 ペンローズは重力崩壊に関して特異点が現れることを証明していた。 逆の発想で宇宙初期の特異点の存在もいえるであろうとホーキングが考えた。 その、一般化されたのがいわゆる「特異点」定理である。 ということで、宇宙初期の部分が頭に残っていたのでした。 訂正します。ちなみに、佐藤さんは私の指導教官でした。
>私は相対性理論を一切批判していません。
>尊敬すべきアインシュタインが考え出した尊敬すべき理論であると評価しています。
>良くお読みになればわかるはずです。
>私は確かに一般相対性理論を正確には理解できていません。
>ただし「知らないという知」があります。
>自分のわかる範囲内でのみ議論をしているつもりです。
>あなたは一般相対性理論は簡単に理解できて、解を求めることも高校レベルでできる
>ように思っておられるようですが、あまりにもそれは甘い考えではないでしょうか。
>重力崩壊が一般相対性理論によって完全に解かれているとされているのは、球対称で
>それも静的な場合のみです。
>完全に解かれているとされている解ですら、球対称であるとか静的であるとか、
>現実的にはあり得ない近似的なもののみです。
>これで完全にわかったつもりになってよいのでしょうか。
>私には思い上がりとしか思えません。
「完全」に理解するのは恐らく人間が亡びるまで無理でしょう。 そんな完璧な理解が高校生で可能であるなんていうことはいってません。 しかし、一般相対論の基礎としてある哲学は複雑なものではありません。 この部分に関していえば、十分高校生で理解できるものです。 例えば、佐藤さんが私より深く相対論の理解をされていても、私の 論文の内容は知らないわけですし、わからない所がなくなったら 相対論学者は御役ごめんです。私の書き方が悪かったのかも知れませんが 一般相対論のごく基本的な解であるシュワルツシルド解ぐらいなら 高校生で十分導き出せる数学的内容であるということがいいたかっただけです。
>このようにブラック・ホールとは正しいかどうか全く不明な
>cosmic censorship仮定によっています。
>あなたが思われるほど確固たるものではないということを、
>正統派とされる日本の権威者が言っている現実をあなたはどのように評価されるの
>でしょうか。
この上に書いてあった文章を省略しましたが、もう一度佐藤さんの書かれた文章を 読み直してください。「ブラック・ホールとは正しいかどうか全く不明な cosmic censorship仮定によっています」ということは出来ないと思いますが。 ちなみに現在ではブラックホールの言葉の意味は事象の地平面に覆われた部分と して使われることがおおいです。 多くのことが、佐藤さんの文章が書かれて以降、明らかになっています。 とくに、cosmic censorship仮定に関してはいまだに解決はなされていませんが、 多くの状況証拠が上がっており、引用されている佐藤さんの文章から ずれた解釈がでて来ていることも確かです。 一般相対論は「基礎理論」ですから道具としての役割も持っています。 あなたの書かれた内容からは「完全な理解」をしてからでないと、 道具として使ってはならないと、いう意見が見えて来ます。 教科書程度で出来る理解は「道具としての理解」であって 道具の改良、構造分析は、その先にある「研究」ということになります。 上の方にあげた4つの教科書を一度きちんと読まれて、 「道具としての理解」をしてみてください。わたしだって、 計算する際には横に教科書をおいておきます。いちいち覚えておくことなど 出来ないほどの内容があるわけですから。「理論」を理解することは そこにある哲学を理解することであって、すべての知識を知ることでは ないですからね。

早速のご返事ありがとうございます。 色々言いたいことは山ほどありますが、私にとって一番はっきりさせないと いけないのはシュワルツシルドの解が質点の存在を仮定して 解かれたものであるかどうかと言うことです。 なぜなら私のホームページの読者に対して もし間違っているなら謝罪しなければいけないのは この点にあるからです。 特異点が本当に存在しうるのかどうかというような議論はおそらく 水掛け論に終わりそうなのでやめにします。 (もし希望されるなら受けて立ちます。) さて、シュワルツシルドの解についてあなたに質問をし あなたに一般相対性理論の教科書を紹介していただきましたが、 直ぐに本屋へ行き全て購入しました。 非常に難解であり私にはその数式を到底理解することが できないことがよくわかりました。 しかし、これは十分に予想されたことであり、私には何の支障もありません。 なぜなら私は一般相対性理論は少なくとも局所的には正しく、 かつそれを解く上での仮定条件を定めた範囲内においては、 正しく解かれているであろうと考えているからです。 私の興味はただ一つシュワルツシルドの解が質点を用いて 解かれているかどうかだけなのです。 あなたの示された教科書の中で、 「相対性理論 冨田憲二著 丸善株式会社」  のP58にシュワルツシルドの解を求める章である 「3.4 球対称真空解」があります。 この一番最初に、 「最も簡単な重力場として、球対称な重力場を取り上げよう。 特に、真空の領域に注目し、そこでの質点の運動を調べることにする。」 とあります。さらにP60にはシュワルツシルドの解を示した後に、 次のように記載されています。 「線素(3.29)は、無限遠方(r→∞)でミンコフスキー時空の線素に一致する。 ミンコフスキー時空からのずれを表す2m/rの項が、十分遠方で、 質点の重力ポテンシャルの働きをしていると考えると、M=mc^2/Gが、 質点の質量を与える。そこで、この時空は、質量Mをもつ質点のまわりの 球対称な真空重力場を表すものと解釈できる。」 ここに示されている内容は明らかにシュワルツシルドの解が、質点の存在を 仮定条件として解かれたことを表しているのではないですか。 私にはそのようにしか理解できませんが、その他の解釈があるのでしょうか。

>「線素(3.29)は、無限遠方(r→∞)でミンコフスキー時空の線素に一致する。
>ミンコフスキー時空からのずれを表す2m/rの項が、十分遠方で、
>質点の重力ポテンシャルの働きをしていると考えると、M=mc^2/Gが、
>質点の質量を与える。そこで、この時空は、質量Mをもつ質点のまわりの
>球対称な真空重力場を表すものと解釈できる。」
まず、この文章の直前までの、導出の仮定で「質点」の存在は 仮定されていますか? 球対称性から線素の形が決定され(3.22,3.23)、アインシュタイン方程式を 書き下したデイングルの公式を用いて(3.24a-d)、 真空であるということから、具体的に解を導いてますね(3.26,3.27)。 それを、まとめたものが(3.29)式で、途中には「質点」を仮定してません。 さらに、そのすぐあとに、「バーコフの定理」に触れられています。 要は、球対称で、無限遠で平坦に近付く解はシュワルツシルド解だけ だということです。その解釈においてニュートン重力との対比から 「質点」的解釈が可能である、ということです。 3.2節ぐらいから読んでいればそのことが読みとれるはずですが、 時間にゆとりがないとおっしゃてましたので、いきなり3.4節を読むと そのような誤解が生まれるかも知れません。 特異点が本当に存在するかどうか、という問題においては、 まず、あなたに特異点の定義を知ってもらわなければなりません。 これは、かなり高度な数学を用いますので、御理解なさるには かなりの時間と努力が要求されるかと、思います。 それを認めてもらえるのなら、数学的には特異点の存在は 明らかです。物理的に存在するのかといえば、私は「no」と 多分答えるでしょう。おそらく、量子論的な効果が効いてきて、 古典的な特異点の描象を当てはめることができなくなると予想されるからです。 もっとも、現在の段階では量子重力理論は満足のいく形で存在してませんので はっきりとした結論をいうことはできませんが。 非常に難解であるという、先入観を持っていませんか? シュッツの本を買われたのでしたら、じっくり読んでみて下さい。 非常にわかりやすく書かれています。もちろん、練習問題は すべて解いてみるというぐらいの努力は要求されますが。 いきなり、アインシュタイン方程式を解く部分だけを見ても 当然面食らうだけです。必要な数学は2階常微分方程式を解ける、 ベクトル、行列の計算ができる、ぐらいです。

もう一度よくあなたの推薦された教科書を読んでみました。 シュワルツシルドの解は元々球対称で静的な星の外部に作る重力場を求めたものであり、 バーコフの定理によりその星は球対称でありさえすれば膨張や収縮をしても変化しない のであり質点であるという仮定は必要ないということですね。 確かにあなたの言われるように私に少しの誤解はあったようです。 私のホームページでの記載に多少の変更は必要かも知れません。 しかし基本的な私の考え方の変更は必要ないと今も考えています。 r>2Mの通常の星では、確かにあなたの言われるように シュワルツシルドの解は質点を仮定していないようです。 しかしr<2Mにまで収縮しブラックホールになると 必ず特異点が現れると考えているのですから、 シュワルツシルドの解をブラックホールに適用する場合には、 質点を仮定しているのと同じではないでしょうか。 ブラックホール以外の天体であればシュワルツシルドの解を そのまま適用するのはよいと思いますが、 問題は本当に天体が収縮していくとブラックホールにまで たどり着くのかどうかということにあると思います。 これら教科書を読むと、「星がある程度まで収縮するともはや それに抗する力がないために、星の半径rは2M以下にまで 収縮しブラックホールとなるはずである。」 というように記載されているように思います。 バーコフの定理から星が作る周囲の重力場は星の半径が どのようなものであって同じであると考えて星の半径rを 任意に設定できるパラメーターのように取り扱い、 r>2M、r=2M、r<2M というような場合分けをし、それでどのようになるのか ということを調べているのではないでしょうか。 r>2Mの場合シュワルツシルドの地平面はもし存在したとしても星の内部にあり 静的であるシュバルツシルドの解は適用できないわけですから、 この解が適用できない状態からシュバルツシルドの地平面が外部に露出し 適用できる状態にまで変化するときの 状態を動的に解明しなければいけないはずです。 その作業を怠ったままrの値だけを変化させるのはおかしいと思います。 もしこのように取り合っているのなら、非常に不正確な方法であると考えます。 私の解釈に間違いがあるなら教えてください。 r=2Mを越えてさらに収縮するのかどうかを正確に評価するには、 私は次のようなハードルを乗り越えなければいけないと考えています。 「ミンコフスキー時空からの観察によって有限時間内に星の半径が r<2Mにまで収縮することを一般相対性理論の 動的な厳密解として得ることが可能である。」 少なくとも上記のような解が求められているのでなければ、 ブラックホールは単に絵に描いた餅にすぎないと思います。 私の求めているような解が既に得られているのであれば是非教えてください。

さて、
>シュワルツシルト座標を用いると外からやってきた粒子は
>r=2Mに達すると、t=∞となり、粒子が無限大の座標時間かかって地平面に
>達すると考えられています。そのために元々のシュワルツシルトの解では
>r>2Mの場合にしか適用できず、従って、特異点が生じる、r<2Mの場合は
>考える必要がないために一般相対性理論から特異点が導かれるという問題は
>生じなかったはずです。
と、お考えのようですが、確かに無限遠方で見れば永久に粒子は 地平線の中には落っこちません。これは、物体が光速に近付けば 時間の流れが遅くなるように見え、結局、止まっている人から見れば 光速で動く人は永久に生き得るように見えると言う事と 同じ事です。別の座標で見る事はいつでも可能ですから、 他の座標で見れば、確かに中に落ちていくことがわかると言う事です。 だからと言って、遠方の人には永久に落っこちないと言う事実は変わりません。 よく言われる例ですが、2次元の球面は一つの座標ではることができません。 極に対応する部分が必ずできてしまい、そこで、メトリックが特異になるからです。 だからといって、極が、特異点ではありません。曲率は発散しないから 違う座標系で見れば、普通の点ですよね。 同じ事が、事象の地平面でも起きていると考えられます。 地平面では曲率は発散しません。ですから、少なくとも時空にとって 特異な面ではありません。ならば、うまく座標とってやればいいだけです。 それがクルスカルスゼッケル座標です。 で、r=0の点は曲率特異点になっています。したがって、 度のような座標で計算しても、そこの曲率は発散します。 座標変換で要請される事は微分可能せいと縮退しないと言う事です 特異点は座標変換などで生じたり生じなかったりする物ではなく 時空の性質の一部なのです。
>また特異点の存在が一般相対性理論から導かれる当然の帰結であるとすれば
>どうして特異点の存在を否定するような「検閲仮定」というものを考え出すのでし
>ょうか、
じつは、わたしは、検閲官仮説にはあまり理解を示さない立場の人間なのですが、 特異点が裸で存在すると、物理的な法則が、予言能力を失ってしまい、 困る、と言う事らしいです。私自身は特異点生成の反作用や、量子論効果により、 特異点の物理的存在はあまり信じていません。あくまでも、 特異点の存在は、古典相対論の範囲での数学的に証明された存在だ と言う事ですね。時空の数学的モデルの一つとしての一般相対論が 持つ、数学的な性質の一つが特異点の存在だと考えれば よいのではないのでしょうか。
>この「検閲仮定」は特異点が存在するということが矛盾を生じるのでそれを
>我々の宇宙に影響を与えない事象の地平線で隠してしまい
>あたかも特異点が存在しないように扱おうというものではないのでしょうか
>片方では特異点は確かに存在すると言いながら、
>やはり特異点が存在すると困るという態度は全くの矛盾だと思います。
上に述べたとおり、特異点の存在は数学的に証明された事実です。 で、困った困った、と言う事で、一つの願望の現れとして 検閲官仮説が導入されているのです。決して矛盾した態度ではないと思います。 もう一度、冨田さんの本を読み返して見てください。(7。1節) そこでは、名前こそでていませんがオッペンハイマーシュナイダー解の紹介が なされているのです。練習問題として、星の表面の運動ホウテイ式を導いて 度のような運動をするのか計算されて見る事をお勧めします。 決して難しくはありません。

私は絶対的に特異点を認めないという立場に立っており、 特異点が生じるような座標変換などはごまかしであり 間違ったものとして、排除すべきであるという立場をとっています。 それが数学的に正しいと信じていますので、 これ以上あなたと議論しても永遠に妥協する余地はなさそうです。 ただ一般相対性理論よりブラックホールが導かれると 信じている人たちの中でも特異点の取り扱いについては 意見がわかれるという事実を確認できたことと、 あなたに一般相対性理論の教科書を教えていただいたおかげで、 私に細かな誤解があったものの、 大筋においては自分の考えにより確信が持てたということが 私にとっては大きな利益でした。 これまでのあなたとの議論とそれについての考えを詳しく 私のホームページに掲載させていただく予定にさせていただきます。 あなたの氏名やアドレスは伏せさせていただきますが、希望があれば掲載します。 BACK