邪馬台幻想記 考察

 幻想の時代を、現代より想う・・・。



邪馬台幻想記の文化レベル

 基本的に文書のやりとりがされているので、文字は既に完成しているとみてよい。
 おそらくは魏から伝わった漢字中心と思われる。
 ナシメが安志国からの文を持ってきたところを見ると、国王クラスの間では文書のやりとりは普通に行われるくらいらしい。
 ただし、現在のところ一般識字率は不明。

 武器はまだ青銅器のような外観の物がほとんどである。
 おそらくは鋳物であり、それほどの強度はないのだろう。
 ただし、邪馬台国総隊長ヤマジが持っている戦斧はどうも鉄器のような外観である。
 鉄器技術がようやく出来つつあるというところであろう。
 なお、陰陽連は板金鎧を製造する技術を持っているらしい。

 建築物は邪馬台国連合は木造建築であるが、宮殿を見るとその完成度はかなり高い。
 さらに、かつて卑弥呼が神事を行っていた祭壇(第一話)というのは、この時代からは考えられないほどの高層建築である。
 みたところ、五六階くらいの高さはありそうである。
 おそらく邪馬台国の総力を結集させた大工事だっただろう。
 一方の陰陽連の石造建築が根幹になっている本部は、ギリシャの石造建築からローマのアーチ技術まで取り入れたとんでもない代物である。
 また、幹部に用意されている長椅子、幕などの技術もずば抜けている。
 これから、陰陽連が大陸渡来という可能性が大いに考えられるのだが。

 服飾に関してはずいぶんと色彩豊かであるため、彩色しやすい木綿が普及していると考えられる。
 絹製品があるかどうかは不明。
 壱与の身体によく合った正装があるところを見ると、製服技術もかなり高いらしい。
 装飾品は、壱与の耳飾りを見るところ、かなり細かい細工まで可能のようだ。
 なお、壱与の格好を見る限り、どうも今は夏のような気がしたのだが、花が咲き乱れているところを見るとどうやら春らしい。
 邪馬台国は気候がかなり温暖なのだろう。
 そうすると・・・・・・・・・暑くないのだろうか、紫苑。


各国の位置関係

 基本的に邪馬台幻想記の邪馬台国は九州説を基準にしている。
 投馬国など、魏志倭人伝で書かれた国々とそう離れているわけではなく、魏志倭人伝での行程記述を平行に呼んでいったことになる。
 北九州のほぼ全域は国がしっかり存在して(陰陽連につぶされているけど)いることになる。
 そうすると、陰陽連の本部はどこになるのだろうか。
 最高機密となっているくらいなので、そう簡単に解るところではないだろう。
 今後の展開を考えると、陰陽連本部が畿内、高天の都が富士となると日本列島を横断するようになって楽しいのだが、
 常世の森に紅真が入った情報をシュラがほぼリアルタイムで受け付けていることから南九州という考え方の方が納得できる。
 第十七話(最終話に非ず!)では、紫苑に倒された紅真の所に平然とシュラが来ていたことからもその可能性が高い。


邪馬台国の将来像

 気の早い話である。
 紫苑と壱与がその後どうなるのだろう。
 神事をもって国を治めていた卑弥呼と違って、壱与は未婚であることを強いられる理由は見あたらない。
 史実によれば、卑弥呼の死後後継者をめぐって争いがあったとのことなので、むしろ正統世継ぎが生まれる方が歓迎されるかもしれない。
 その相手として紫苑が当てはまるかどうかだが、現状では可能性はかなり高いと思われる。
 壱与の近辺には同年代と思われる人間が紫苑しかいない。
 一方で、紫苑自身は邪馬台国連合とは別の独立国家月代国の王子であるので、仮に身分的な問題が取りざたされてもさほど問題はない。
 もっとも、周囲の人間の紫苑に対する言葉遣いから推測すると、今のところは紫苑が元陰陽連であったことは知られているが月代の王子であったことはほとんど知られていないらしい。
 それを抜きにしても、紫苑は既に邪馬台国内で壱与の直属の側近として認められている。
 でなくば、女王自らが操る馬の前にちょこんと座っていられるはずもない(大笑)。
 ただ、結婚することになっても、女王が壱与であることは変わらないだろう。

かつてない主人公、紫苑

 紫苑のようなキャラクターは、実はジャンプでは珍しくない。
 仲間と馴れ合うことをせず、どこか皮肉めいた物言いをして、どこか影のあるキャラ。
 つまり、熱血主人公の傍から少し離れたところにいるクールなキャラ、としてである。
 大概の場合、主人公を食いかねない人気を得るキャラクターになるのだが(例、幽遊白書の飛影)、 逆にこういうキャラが主人公になることはジャンプでは極めて少ない。
 基本的に友情努力勝利を謳っているジャンプの主人公は熱血であることが多い。
 かつてないタイプの主人公紫苑くんに期待しよう。
 とにかくこのまま終わらせることはならん!

第十七話より

 断じて最終話ではない。それだけは気をつけよう。
 この話の最終コマは数年後と思われるシーンであるが、一番先頭が紫苑、左後ろにレンザ、右後ろに壱与でその脇にミル。
 で・・・、おや?
 ヤマジ隊長と、その左・・・は一般兵として、二人ほど見かけないキャラがいる。
 紫苑に似た髪型の、少女とも少年とも解らない人物と、もう一人は年若い少年だろう。
 ちなみに少年の方は、常世の森編の前に壱与と話していた少年ではないかと思うのだが。
 これは何としても続けて頂かなくては。



邪馬台幻想記メインに戻る。
夢織時代への扉に戻る。