竜を駆るもの、竜を狩るもの



酒場の壁には、英雄リジャールの一シーン。



 ドラゴン!
 アレクラストやロードスに住んでいて、その名を知らないものはいないでしょう。
 最強の幻獣にして魔獣。
 神殺しの生き物。
 しかしながらドラゴンを見たことがある者はほとんどいません。
 多くの者は昔語りに伝説を聞いたり、酒場で謳う吟遊詩人の唄から想像するのみです。
 出会った者も少なければ、ドラゴンを倒せる者ともなると限りなくゼロに近いのです。
「竜殺し−ドラゴンスレイヤー」の称号が戦士にとって最高の栄誉とされるのも必然。
 一方で、もう一つの輝かしい称号もあります。
 竜に乗り、竜とともに戦う騎士、「竜騎士」の称号が。

 ここでは、フォーセリアに生息するドラゴンや、それに関する話題を集めていこうと思います。



ドラゴンの階級


 ドラゴンは大きく四階級に分けられます。
 すなわち、卵から生まれてまもないインファント・ドラゴン
 しかしそれでさえモンスターレベルは1から5。
 駆けだしの冒険者では全滅させられる危険性を大きく孕んでいます。

 年を経てくると、本格的にドラゴンの威厳を漂わせるようになってきます。
 レッサードラゴンと呼ばれるこの時期のドラゴンのレベルは6から10。
 中には人間かそれ以上の知能を持ったものも見られるようになってきます。
 この階級のドラゴンでも倒せば、凄まじい栄誉となるでしょう。

 さらに年を経て高い知能を身につけて呪文まで駆使できるようになると、老竜エルダードラゴンと呼ばれるようになります。
 モンスターレベルは11から15。
 最高レベルの冒険者集団が全力を以て当たらねば決して倒せない相手です。
 いえ、それでも倒せる保証など無いのです。
 しかし、宝物を愛する傾向の強いこれらのドラゴンを倒せば、栄誉と共に膨大な宝物も手にすることが出来るでしょう。

 それ以上のドラゴンは神話の時代に生まれたドラゴンであり、ドレイク、またはエンシェント・ドラゴンと呼ばれる古代竜です。
 彼らは始源の巨人の体毛から生まれた存在で、神にも近い存在です。
 神話の時代、神々の身体を焼き尽くしたのは彼らドレイクの吐く炎だったと伝えられています。


ドラゴンの種類

 一般にはドラゴンは炎の精霊力を持っていますが、それ以外の精霊力を強く持ったドラゴンも存在します。
 これが元々生まれたときからの能力なのか、成長過程で身に付いたものかは解っていません。
 その精霊力に合わせた特性によって、ドラゴンはいくつかの種類に分けることが出来ます。
 各ドラゴンは、自分の持つ精霊力では傷つくことはありません。
 以下の種族に関する準公式な説明が清松先生のサイトにて書かれてあります。
 厳密なことが知りたい方は 清松先生のページQ&Aコーナー99年1月分へどうぞ。


火竜
凶暴な性格をした赤色のドラゴンで、吐く炎は全種族の中で最も苛烈です。
ロードス火竜山の魔竜シューティングスターや邪竜クリシュがこれに属します。
水竜
水の精霊力を持つ青色のドラゴンで、翼は退化して飛ぶことは出来ませんが鰭のようになった手足で自在に泳ぐことが可能です。
ロードス青竜の島のエイブラがこれに属します。
風竜
風の精霊力を持つドラゴンで、全種族の中で最も速く空を飛ぶことが出来ます。
栄光の勇者ナシェルの乗竜となったワールウインドがこれに属します。
氷竜
氷の精霊力を持つ白色のドラゴンで、それでも炎を吐くことが出来ます。
ロードス白竜山脈のブラムドがこれに属します。
闇竜
神話の時代に暗黒の神々の下で戦いその加護を受けた闇色のドラゴンで、暗黒魔法を使うことが出来ます。
マーモ島の邪竜ナースや、竜王アルゴスがこれに属します。
光竜
神話の時代に光の神々の下で戦いその加護を受けた金色のドラゴンで、神聖魔法を使うことが出来ます。
ロードス・モスの守護者たる金鱗の竜王マイセンがこれに属します。
疫竜(プレーグ・ドラゴン)
竜熱を始めとする疫病を流行らせることが出来る恐るべきドラゴンで、闇竜に近い存在ではないかと考えられます。
マーモ島の暗黒神神殿に召喚された幼竜にとりついたドラゴンがこれに属します。

フォーセリアのドラゴンたち



<竜王アルゴス>

 神話の時代、闇の神々の側について戦った最強のエンシェント・ドラゴンで、生存している唯一の竜王です。
 単体ではおそらく地上最強の存在であり、超英雄でもなければ戦える相手ではありません。
 彼は神話の時代の終焉近くに、逃亡した神々を追ってクリスタニア大陸まで出向き、そこで礎の神獣王ウルスによって封印されました。
 全身に目のある不気味な外見をしています。
 史実通りに行けば、数百年後にクリスタニア大陸において神獣たちに倒されます。
登場作品:封印伝説クリスタニア

<邪竜王グラブロルド・プレイサー>

 神話の時代に、光の神々も闇の神々も関係なく殺戮を楽しんだという文字通り”神殺しの竜”と言えるエンシェント・ドラゴンです。
 闇竜の一種ではないかと考えられますが、精神力の弱い者はその姿を見ただけで死んでしまうという能力を持っていたので、別の種類かもしれません。
 他の竜王との戦いの中で打ち倒されましたが、死の寸前に転生の秘術を使って魂を地上に潜ませました。
 そのまま彼は他の竜王や神々が滅ぶのを待って眠りについたのですが、肉体の転生に失敗して無力な牛に生まれ変わってしまい、 523年に「空に近い街」タラントで牛丼にされてしまいました。
 しかし死後間もないので、竜司祭が魂を見つけたりすれば復活させられる可能性もあります。
 その時には少なくとも西部諸国くらいは灰燼に帰すでしょう。
登場作品:アドベンチャー3タイデル騒乱!「長く大いなる沈黙」

<アクシズ>

 西部諸国の山岳地帯にあるドラゴンたちの住まう領域の中央、その聖地たるドラゴンズ・クレーターを守る、 確認されている中ではアレクラスト唯一のエンシェント・ドラゴンです。
 その周辺の山々には多くのドラゴンがそれぞれを縄張りとしていますが、彼はそれを治めているわけではないようです。
 ただし、絶大な影響力を持つことは間違いありません。
 理性的なドラゴンであり、人間に対して敵対的ではありませんが、 ドラゴンズ・クレーターに悪意を持って忍び込んだ者には容赦なくその実力を思い知らせると言われています。
 彼らが何故ここに住んでいるのかは定かではありません。

<魔竜シューティングスター>

 ロードス唯一の活火山、火竜山に住まうエンシェント・ドラゴンで、ロードス最後の太守サルバーンの呪いを受けて宝を守り続ける五色の竜の中でも最強と呼ばれた存在です。
 その実力にふさわしく、彼の守らされていた太守の秘宝はその中でも最も恐るべき”支配の王錫”でした。
 性格は典型的な火竜のそれで、凶暴にして残忍ですが、同時に人間の集団の強さも解っており、火竜山の東に広がる通称火竜の狩猟場と呼ばれる草原に入り込んだ者だけを食していました。
 しかし、傭兵王カシューを擁するフレイムが人口増加を凌ぐために火竜の狩猟場に入り込んだことで戦闘状態になり、自由都市ライデンにも攻め入ってこの都市の自治に終止符を打つことにもなりました。
 最後は、”支配の王錫”を求める黒騎士アシュラムと、傭兵王カシュー、後のロードスの騎士パーンらによって打ち倒されました。
 その戦いの全ては彼の本意ではなく、彼自身は古代王国の呪いから逃れることだけを願って死んでいきました。
登場作品:ロードス島戦記3,4

<金鱗の竜王マイセン>

 ロードスはモス地方に連なるアルボラ山地の最高峰オローナの洞窟に住まう名前のない、しかし竜王と謳われるエンシェント・ドラゴンでした。
 魔神戦争の折に、ハイランド王マイセンとウォート、ニースらによって呪いを解かれた後はハイランドの盟友となり、マイセンの名前を自分の名としました。
 聡明なドラゴンで、神話の時代に神々の側について戦った金竜であり、一説には神聖魔法をも使えるのではないかと言われてます。
 竜王と呼ばれるだけあって、下位竜たちを駆使することもできると言われており、彼の住まう洞窟の周辺には何体ものドラゴンが生息しています。
 邪神戦争終結後は、ロードスに存在している唯一の五色の竜となってしまいました。
 彼の守らされていた祭器”生命の杖”は、紆余曲折を経てヴァリスからマーモへと渡ります。
登場作品:ロードス島伝説3

<天をも焦がすコーラスアス>

 確認されている中では東部最強であろう最高レベルのエルダードラゴンです。
 オラン、アノス国境付近の山岳地帯に住んでいますが、宝物を収集する性癖を発揮して、時折地上に降りてくるようです。
 近年、ハドア・ゲラルクの魔法装置(アレクラストのどこにでも”メテオ”を降らせることが出来ます)を巡る争いでその姿が確認されました。
 この魔法装置奪取にむかったのはオラン最高の冒険者集団「見つける者たち」ですが、彼らは後年「魔女」ラヴェルナに対して、ドラゴンとは戦ったことがないと 語っています。
 そのことから、コーラスアスは「見つける者たち」とは戦闘していないと推察されます。
 ハドアの魔法装置を欲していたコーラスアスがすんなりと身を引いたことを考えると、もしかしたら彼のねぐらには今この魔法装置が眠っている可能性があります。
 なお、この事件のときにコーラスアスは周辺の村をいくつか警告代わりに滅ぼしており、オランには打倒コーラスアスを目指して仲間を募っている戦士がいます。
登場作品:シナリオ集3四大魔術師の塔「流星落ちるとき」

<黒翼の邪竜ナース>

 ロードスの子島マーモの暗黒神大神殿地下に住まう最高レベルのエルダードラゴンで、神話の時代には暗黒の神々について戦った暗黒竜の一族に属します。
 五色の魔竜としては、古代王国の知識の全てを蓄えていたと言われる”知識の額冠”を守護しており、間接的に邪神戦争の開始に関わりました。
 凶暴性よりも知恵を働かせることが得意で、黒の導師バグナードをして「姑息」と言わしめた性癖を持っています。
 近年活動期に入ってすぐに、黒衣の将軍アシュラムやバグナードによって打ち倒され、サルバーンの呪いより解放されたものの、 バグナードの所有する「竜爪の錫杖」によって再び支配されることになってしまいました。
 邪神戦争の最後にヴァリス、ハイランド連合軍と戦って不利を悟り、リザードマンたちが住まう南の孤島に逃亡しましたが、 神聖マーモ帝国の魔術師ヴァイルの陰謀と「竜爪の錫杖」によって再びマーモに召喚され、マーモ公王スパークらと対立させられました。
 しかし、持ち前の知恵を発揮してスパークを動かして自由を取り戻し、マーモから去りました。
 もう戻ってくることはないでしょう。
登場作品:ロードス島戦記、新ロードス島戦記三巻

<邪竜クリシュ>

 近年最も話題になったドラゴンで、元々はファン王国に故郷を滅ぼされた竜司祭です。
 ファン王国への復讐のために竜語魔法の達人となった彼は竜に変身してファン王国を滅ぼしました。
 その後英雄リジャールとカーウェス、ジェニのパーティーとエア湖連奇岩で戦い倒されました。
 彼の変身は当初”リボーン・ドラゴン”の呪文によるものと考えられていましたが、それにしては竜への変身があまりにも早かったため、 現在では”シェイプ・チェンジ”によってレッサー・ドラゴンに変身したものと考えられています。
 しかし彼は実際に”リボーン・ドラゴン”も修めていて、リジャールに討ち取られる前にこの呪文を使いました。
 そして20年の時が経ち幼竜として復活した彼は、リジャールの息子リウイに支配されるという数奇な運命の中で彼に同行することになります。
 数年後に彼がレッサー・ドラゴンに脱皮するとき、再びリウイと戦うことになるでしょう。
登場作品:湖岸の国の魔法戦士

<水竜エイブラ>

 ロードスはライデン沖、青龍の島に住まうエルダードラゴンで、付近の海を狩り場とする水竜です。
 穏やかで知的な性格をしていますが、彼が五色の竜として守護させられていた”魂の水晶球”を狙ったバグナードの策のために 黒衣の将軍アシュラムによって休眠期の最中に戦い倒されてしまいました。
登場作品:ロードス島戦記4

<氷竜ブラムド>

 ロードス北西、白竜山脈の主人と呼ばれるエルダードラゴンで、住む場所にふさわしい氷竜です。
 五色の竜としては”真実の鏡”を守護させられていましたが、その他の財宝を必要とした大ニースによって呪いを解かれました。
 ニースと友人関係にあったことからも解るとおり、聡明なドラゴンでしたが、太守の秘宝を求めて探索中のアシュラム一行と激突して殺されてしまいました。
登場作品:ロードス島伝説1

<ワールウインド>

 ロードス島の魔神戦争時代に活躍した栄光の勇者ナシェルの騎竜です。
 ハイランド王国に使えていたドラゴンではなく、ナシェルが自ら山中に赴いて出会い、その心を掴んだことで彼の騎竜となりました。
 かなりの年月を生きており、五式の竜には及ばないものの古代語魔法まで使えるエルダードラゴンです。
 風竜らしく、ナシェルを載せてモスを縦横無尽に駆け回った彼ですが、最後は魔神王との戦いで瀕死の重傷を負ったナシェルとともに竜の眠りに就きました。
 その魂はナシェルと一体になっているのかも知れません。
登場作品:ロードス島伝説2〜4

(バインのドラゴン)

 ドレッグノール北の沼沢地帯にあるバイン村に出現したドラゴンです。
 特に名前は解っていません。
 村に近い洞窟に住んでいましたが、ある時盗賊に卵を盗まれてしまいました。
 卵を求めて来たバイン村でシアたち一行に会い、卵の捜索を要求したことからシナリオがスタートします。
 全長が10メートル強なのでレッサードラゴンと考えられますが、リザードマン語をしっかり話す他、知能は高いドラゴンのようです。
 ドラゴンズ・クレーターから流れてきたのかも知れません。
登場作品:リプレイ5「南海の勝利者」

<ウイップテイル>

 ロードスはモス公国の一つ、竜騎士たちの国ハイランド王国に長く使えているドラゴンです。
 ハイランド王国に最高十二体いたドラゴンたちの中でも最も王族との関連が深く、英雄マイセンとその孫レドリックの騎竜となりました。
 そのためハイランドのドラゴンたちの中でもレベルの高いドラゴンと考えられますが、ファイア・ジャイアントに苦戦したことから レベル8から9のレッサー・ドラゴンではないかと思われます。
 会話をするかどうかは確認されていませんが、竜騎士との絆の深い理性的なドラゴンです。
登場作品:ロードス島戦記5王たちの聖戦「ハイランドの竜公子」、ロードス島伝説

<オッドアイ>

 ハイランド王国が抱えるドラゴンの中でも最も若いドラゴンで、竜騎士見習いミレウスの騎竜となりました。
 しかし誕生から一年と経たずに大きく成長したことや、左右の目が金と銀で魔神の幻を看過する能力があるなど、 通常のインファント・ドラゴンでは考えられないことがいくつもあります。
 このような急激な成長は”リボーン・ドラゴン”で転生したドラゴンに見られることがありますので、彼女は転生竜である可能性もあります。
 魔神王ガラドの謀略によって一度は死んだ彼女ですが、その魂は能力を残した二つの珠となって今なおミレウスに付き従っています。
登場作品:ロードス島伝説リプレイI魔神襲来、III魔神討伐

<クリスタルクロー>

 オッドアイと同じ卵から孵化した幼竜で、竜騎士見習いフォルドの騎竜となりました。
 双子の妹であるオッドアイと同様に急激な成長を見せたので、彼も転生竜の可能性があります。
 そもそも一つの卵から二匹のドラゴンが誕生するということが異常なので、この二体には色々と謎が残されています。
登場作品:ロードス島伝説リプレイI魔神襲来

<オーロラ>

 リファールの西に連なるサイアット山脈の一角で、猟師の少年チェルシーと一緒に暮らしている幼竜です。
 幼竜とは言っても体長8メートルほどになり、チェルシーを載せて炎を吐き、一緒に狩りまでしています。
 一緒に育ったということもありますが、チェルシーの言うことは何でも聞きますので知性の高い子供のような竜です。
 人を疑うことを知らない彼らを、闇の王子ジェノア他何人もの人間が狙っています。



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