彼は、カストゥール王国以前に繁栄したとされる魔法国家サテライトの魔導士です。
この国家はかつて永遠の楽園と呼ばれるほどの繁栄を誇り、神々にも劣らぬと思えるほど優れた人物を数多く生みました。しかし、闇の魔力を操り、数多くの魔物を生んで世界を席巻しようとした古代上位亜人種のベネディス族との世界規模の戦いの結果、著しい被害を受け、さらにこの戦いを通して自分たちの築いた文明の欠点を知った魔導士達は、長い論議の末、自分たちから歴史の表舞台を去り、未来に生まれるであろうさらに優れた文明に自分たちの知識を伝える日を待つことにしたとされています。
それ以後にこの王国の後を受ける形となったカストゥールの魔術師達は、伝説となったこの楽園の存在が蛮族を勇気づけるのを恐れ、自分たちの偉大さを誇示するため、消え去ったこの文明を劣った過去の存在として抹消しました。そのためこの国家については現在全くといっていいほど知られておらず、その存在すらも伝説の彼方に消えかけています。
彼は女性的な風貌で、金色長髪の青年にみえます。魔導士としての永い修業の結果、肉体・精神とも不滅に近い存在となっているのです。(というより、サテライトにおいて魔導士という最高位の称号を得られるのは、そういった境地に至る精神・魔法的能力と、優れた戦士としての肉体能力、そしてあふれんばかりの知識・良識を備えたものだけで、数十〜数百年の修行を要するものなのです。なお、全魔導士数は百数十名で、サテライトではこの魔導士達の議決が立法を司り、三権分立制が施行されていました。)穏やかな性格で、丁寧な言葉づかいをします。それでいて堅苦しい雰囲気もありません。とても熟達した完成度の高い人間性を感じさせます。他の魔導士達の大半はどこかでほとんどの時間を冷凍睡眠状態で過ごしているらしいのですが、彼は志願してサテライトの遺跡の一つである気象観測塔の管理をしていました。大人しいと同時に活動的な人間でもある彼は、ただ眠って過ごすということを好まなかったのです。
彼は以前自分のもとを訪れた旅の戦士(カーンという名です)に数年間さまざまな教授をしたことがありました。その青年は後にある村に留まって子供たちの教師となり、その子たちの一人(ブリティアという名です)が、数十年後にやってきて、彼を冒険に連れ出しました。(塔の管理とはいっても、かなり自由な仕事だったようです。)その旅の中で彼は世界の危機を救うような働きをして、英雄と呼ばれる者になりました。それ以来、さまざまな因縁や事情からたびたび冒険に出て、いくつかの英雄的な働きを成し遂げています。魔導士達のあいだの決まりごとを守っているのでサテライトの秘密を漏らすようなことはしていませんが、自分の立場を忘れているのではと思うほどの彼の活発な働きを上位にあたる魔導士たちは感心半分、あきれ半分といったふうに感じているようです。
また、サテライトの魔導士はすべて3つ以上の独自呪文を開発する義務があり、彼は10以上の独自呪文を習得していると推定されます。定かではありませんが・・・・・・。
彼は、普段から自分の肉体に強化魔法をほどこしています。そのため通常状態では、器用度・敏捷度・筋力・生命力が上記の数字+6として扱ってください。この呪文はほとんどの他の強化・防御魔法とも併用可能な特殊なもので、解除の目標値は36です。