有楽町帝撃通信局中継
一日遅れのバレンタイン騒動




長曽我部 さて、番組の花と言えば、これ。帝劇花組の皆さんによります、中継のお時間がやって参りました。
あやめ はい、今日は神崎すみれさんの登場です。すみれさん、久々の登場で張り切っているようですよ。
長曽我部 そうですか。で、今日は、どこから?
あやめ はい、赤煉瓦で有名な東京駅からです。早速、呼んでみましょう。すみれさん、神崎すみれさーん!
すみれ おっほほほほ・・・、皆様、ご無沙汰いたしましたわ。寂しい思いをさせて御免なさい。
日本芸能界に咲いた、一輪の華麗なる真紅の薔薇、神崎すみれでございますわ。
長曽我部 いやあ、いつもながら、美しくも長ーい肩書きでご登場ですね。さすがは帝劇スタア。
あやめ すみれさん。東京駅というと、この帝撃通信局のすぐそばね。今日はどんな中継をしてくれるのかしら。
すみれ ええ、皆様あまり御存知ではないかも知れませんが、実は、昨日、二月十四日は、セントバレンタインデー、と呼ばれる日で、 欧州では女性が意中の殿方にチョコレートをあげる習慣があるそうですの。
長曽我部 ほう、私は聞いたことがありません。
あやめ チョコレートをあげて、思いをうち明けるわけね。まあ、素敵。
すみれ ええ、そこで今日は、ここ東京駅で、どれくらいの殿方が、いくつぐらいチョコレートをもらったのか、聞いてみたいと思いますわ。

本来なら、昨日調べて歩きたかったのですが、何しろ謎の戦闘部隊騒ぎがありましたでしょう。
帝都は一日中騒然としておりましたの。ですから、一日遅れで今日・・・・・・、あら。
ちょっと素敵な殿方。ごめん下さい!ちょっと!
男1: なんでしょう?
すみれ あなた、昨日チョコレートは頂けまして?
男1: チョコレート?ああ、あの血を固めたようなもの。あんなものどうして僕が貰わなきゃいけないんです?
失敬な、冗談じゃない!
すみれ まあ・・・、失礼しちゃいますわ。あんな明冶時代の遺物みたいな方もまだまだいらっしゃるのですわね!
まぁ、考えてみれば、庶民の方が、バレンタインデーのような、欧米の流行を知っているわけがないと思いますけど。
長曽我部 すみれさーん。
すみれ はーい、何でしょう?
長曽我部 ひょっとして、女性なら、知っている方があるかも知れませんよ。
あやめ そうですわね、さすがは長曽我部さん。やはり、殿方より女性の方が、流行には敏感ですものね。
すみれ ああ、そうですわね。では、伺ってみましょう。誰かに差し上げたかどうか。
(コツコツと足音)
ええっと・・・、、まあ!蒸気バイクで女性が!素敵な方ですわ。ちょっと!そこのチャイナ服のあなた。
紅蘭 なんや、うちかいな?・・・ん?すみれはん?
すみれ こ、紅蘭!?どうしてあなたかこんなところにいるんですの?
紅蘭 すみれはんこそ。ははーん。今日は中継の日やね。ちょっとマイク貸したってー。
長曽我部はん。あやめはん。聞こえてはりまっかー?
長曽我部 聞こえてますよ、紅蘭さん。
あやめ はいはーい。
紅蘭 やっほー、李紅蘭でございますー。
あやめ 紅蘭、久しぶりねえ。
紅蘭 久しぶりって、昨日会おうたや・・・、そうか、放送では久しぶりなんやねー。
はー、危なー。もうちょっとで正体ばらすとこやったー。
すみれ んっ・・・!マイクをお返しになって!まだ中継中ですのよ。
紅蘭 あー、せや、せやった。んで、何の中継やってはんの?
すみれ けほっ、こほっ。昨日のバレンタインデーについてですわ。
紅蘭 あ、ああーあ、あれか・・・・・・・・・・・。
ほな、すみれはん。ウチは急ぐさかい。
すみれ あ、ちょっとお待ちになって、紅蘭。その、大きな紙袋は何ですの?
紅蘭 ああ、これは。一日遅れのチョコレート・・・・・・はあっ!!しもうた・・・。
すみれ あーら、そんなにたくさん。どなたにあげるつもりなのかしら。
紅蘭 あー、ハハハ。これはー・・・、あ!!すみれはん・・・。あんたもハート方の包み持ってるやないの。それなんや。
すみれ こ、これは、その・・・。
紅蘭 は、はーん、どうやら目的はウチと一緒やね・・・。大神はん・・・・。
すみれ お、大神少・・・。
紅蘭 こうなったら、早いもの勝ちや。(蒸気バイクの駆動音)ほな、さいならー。
すみれ お、お待ちになって!抜け駆けは許しませんことよ!紅蘭!お、おまちになって・・・!
走りすぎる蒸気バイクの音
すみれ 紅蘭に後れをとってしまいますわ・・・。
(一息に)長曽我部さんあやめさん今日はここまででございますわそれではごきげんよう。
じいや!早くお車を!お車を回して頂戴な!
あやめ あ、あらら・・・、また中途半端で・・・。でも、仕方ありませんわね。同じ人にチョコレートを・・・あ。
長曽我部 いや、しかし・・・。すみれさんと紅蘭さんがチョコレートを渡したい相手って、誰なんでしょうねぇ。うらやましいなあ。
あやめ あ、あら?長曽我部さんも、欲しい?
長曽我部 あ、いえ、私は・・・、別に・・・、帝都が天下泰平なら・・・。
あやめ まあ、そうですか。んじゃこれは〜♪
長曽我部 あ、チョコレート。
あやめ いらないんでしょ☆
長曽我部 いや、あの、あやめさん・・・。その、あの、・・・、え・・・、あやめさんなら貰ってあげても。
あやめ 欲しいなら欲しいと言いなさい。
長曽我部 ほしい・・・・・・・・・・・・・・・。
検閲音
長曽我部 いい加減にしたまえ!
長曽我部 はい・・・。
あやめ あら、検閲官の先生。先生にも準備してあるんですわよ。
長曽我部 え?私だけじゃないの?
あやめ え?ウフフ・・・、では、宣伝通信に続いて、魔物情報です。
長曽我部 あ、ごまかしちゃって・・・・。
あやめ それはね、長曽我部さん。誰の心も傷つけたくないからなの、わかるでしょ。長曽我部さん。
長曽我部 ん。
あやめ かわいい。




夢織より

 黒之巣会占拠前に二月、ということは深く考えない方がいいでしょう。
 時期的には、第八話と第九話の間になります。
 この後、大帝国劇場で繰り広げられるであろう、大騒動を想像しつつ・・・・・・・・。


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