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Rudolf陛下とその仲間たちに捧ぐ(SS)

▼太正浪漫堂番外編「冬の日の思い出」
 初出 本家45ページ 99/01/04より
Rudolf陛下とその仲間たちに捧ぐ(SS) 筆:ひでじい氏
太正浪漫堂番外編「冬の日の思い出」 筆:ひでじい氏
 ├「なるほど・・・・・・・」 筆:夢織時代
 │└「いかにも卿らしい配慮だな。」 筆:ひでじい氏
 │ └時の燃え尽きる前に 筆:夢織時代
 │  └一つ、また一つ…。 筆:ひでじい氏
 │   └「ついに・・・そうなったか・・・」 筆:夢織時代
 │    └イカルスと英爺、謎の暗殺者に襲わる、 筆:ひでじい氏
 │     └「新たな戦い・・・。」 筆:桜嵐氏
 ├「今日も冷え込むな・・」 筆:ミュラー大将氏
 │└「フフフ。こういうこともあるものだ。」 筆:ひでじい氏
 │ └♪・・・・ 筆:ミュラー大将氏
 ├(*−−*;) 筆:Rudolf氏
 │└「本当に俺でいいのか。」 筆:ひでじい氏
 ├いや、ホンマに。 筆:無法地帯氏
 │└「なかなかに男女の仲は分かりませんなあ。真神はん。」 筆:ひでじい氏
 ├今回は随分と 筆:真神樹氏
 │└真神の心を察する多くの友人の心。 筆:ひでじい氏
 ├「いやー、新年早々縁起がいいや」 筆:エズミ氏
 │└一通りの食事。一通りの酒杯。 筆:ひでじい氏
 │ └粉雪が舞い踊る中 筆:智士氏
 │  └明けて翌日の浪漫堂。 筆:ひでじい氏
 ├仲間じゃないですが(笑) 筆:かとおおお氏
 │└暖炉の側で珈琲を傾けるかとおおおの眼には 筆:ひでじい氏
 ├あけましておめでとうございます(核爆) 筆:イカルス星人氏
 │└一つのテーブルに二組の男女。 筆:ひでじい氏
 └続けて謹賀新年。(^^; 筆:桜嵐氏
  └「しかしここのところ帝劇の臨時公演が多いなあ。」 筆:ひでじい氏


ひでじい氏
陛下、お約束の品をお届けします。ごゆっくり御覧ください。僕は非常に疲れたので、これで眠ります。

謹警!!これは太正浪漫堂シリーズを読まれている方、それもかなりの通の方でなければ分からないところがあります。詳細は前を読んでください、と言いたいところなのですが消えていますので、取りあえずあらすじの分かる方だけお読みください。一応キャストはお示ししておきます。

太正浪漫堂とは帝國歌劇團が華やかに舞い、帝國華撃團が鮮やかに帝都を守護した太正の世にあった非常にお洒落な喫茶店です。そこには多くのファンや劇作家が集まりますが、彼らは当代の科学や技術、貿易、報道、芸術などのフロンティアを行く人々でもあり、帝劇に大神中尉が赴任した日に様々な事件に巻き込まれていくというあらすじだったような…。恋あり、アクションあり、知略あり、の何でもありスペシャルでした。(こんな紹介でいいのかな)


出演
 東京帝國大学法學部政治學科助教授:ミュラー
 東京帝國大学文學部史學科講師:夢織

 帝撃グラフ記者(帝都日報社会部兼務):ルドルフ

 内務省企画調整局企画調査課事務官:シュペーア
 外務省欧州局付書記官:かとおおお

 フリーライター:黒火会
    同   :クリアル

 劇作家・小説家:南 國
    同   :エズミ
    同   :武 臨
    同   :紀州人
    同   :智 士
    同   :櫻 嵐
    同   :MOS
    同   :BAT
    同   :花 丸
    同   :猫 侍
    同   :A i
    同   :み お
    同   :加山晃子 
    同   :隆 宏
    同   :冬 鳥
    同   :ジョージ
    同   :理 世
    同   :泰 久
    
 四菱重工原動機課技師:二階堂
 東京化學塗装工學課技師:ビッテン
 帝都交響楽團事務局:菫 月
 銀座写真館:鈴 掛
 商社「丸赤」外資部貿易課:シスル
 帝都放送文化部ディレクター:魔女吉
 銀座中學國語教諭:妙法寺
 東京學芸大學學生・星神:のぶっち

 東京學芸大學文學部考古學科助手:イカルス
 東京學芸大學地質研究所助手:英 爺
 京都帝國大學文學部史學科助手:無法地帯

 陸軍戦史研究所主任研究員:真神 樹


友情出演
 大帝國劇場支配人:米田一基
   同  副支配人兼総務課長:藤枝かえで


   同  花組:マリア・タチバナ
       同 :桐島カンナ
       同 :イリス・シャトーブリアン 
       同 :神崎すみれ
       同 :李紅蘭
       同 :真宮寺さくら
       同 :ソレッタ織姫
       同 :レニ・ミルヒシュトラーセ
    
   同  総務課:大神一郎
   同  施設課:加山雄一
   同  企画課:山科 聖      

ひでじい氏
太正浪漫堂番外編「冬の日の思い出」





 年の瀬を迎えた帝都。雲が重苦しく垂れ込める中、一筋の陽光が辺りを照らす。そこに一つだけ穏やかな時を刻む場所があった。ここは太正浪漫堂本館。煉瓦づくりの瀟洒な建物。彫刻や絵画に彩られた館内では珈琲や紅茶の薫りが立ちこめる中、いつもの常連客が暖炉前に陣取って夕食を談笑とともに取っていた。

 先程までは先に帝劇花組の面々が、次いで帝劇事務局が相次いで軽食に訪れ、一般客の訝る中、年末の挨拶をしてもらい、一同は照れながらも応じたのであった。存在感ある舞台女優が揃うと浪漫堂本館は一段と映える。この点、先に挨拶に来ていた帝響の方はかわいそうであった。いくら名演奏をしても、舞台を降りれば普通の人なのである。その後ようやく落ち着いた館内には年末らしくチャイコフスキーのくるみ割り人形全曲の録音盤がかかっていた。

「大神中尉、いや大神さんが帰ってきてからの帝劇公演はそんなに出来がいいのですか。」夢織はもっぱら紅茶を飲みながら南國たちの話を聞いていた。確かに大神のいる帝劇花組と事務局は生き生きと輝いているようにも見える。

「ええ、花組の意気込みが全然違いますね。言葉で説明するのは難しいんですが。」今回の「奇跡の鐘」の脚本を担当した紀州人は首を傾げながら言う。
「そうですね。以前ならマリアさんがリードしてみなさんがついていく感じだったんですが、今回はみなさんの持ち味が前面に出てそれを巧みに組み合わせていくという風でしたね。」演出のBATも不思議そうな顔をしてポットから紅茶を注いだ。

「舞台に安心と自信がみなぎっている。いい公演だったよ。今の帝劇は何をやらせても面白くなるはずだね。」今回は御役御免の南國は冷静に客席から眺めていたが、結論としてそう批評した。
「私もそう思います。何か一つになったような感じで白熱した仕上がりになってますよね。」智士も今回は観客席にいたが、押さえながら興奮気味にそう話した。

「なるほど、いわゆる大神効果だな。いずれにしても帝劇がよくなるのは一ファンとしてはいいことだ。」ミュラーは微笑して紅茶にマーテルを注ぎながら、ふとこの座にひと味足りないことに気がついた。

「…そう言えばこういうときに一番に顔を出す陛下はどこにいらっしゃられるのだ。」ミュラーは不審そうな顔で一同を見渡した。

「あ、本当。陛下がいないわね。どうしたのかしら。」エズミも不審そうにイカルスに尋ねた。
「君達同様で、いないときには何かあるものさ。心当たりはあるだろう。なあ、英爺。」イカルスがさもうまそうにエスプレッソを飲んでいる横でエズミは赤面し、紅茶を飲んでいた途中の英爺が咽せていた。

「ゴホッゴホッ…。で、イカルス、その、何か掴んでいるのかい。」涙目の英爺がごまかすためか、イカルスに話を持ちかけた。

「そうだなあ。これは黒火会さんと真神さんの話の受け売りなんだが…。」イカルスの目が細くなる。
「それで…。ほほう…。」暖炉の前に集まる一同。揺らぐ炎は飲物に、夕食に、そして面に受けた一同の顔に妖しいコントラストをつくり出していた。



 話はルドルフの家で無理やり開催された大忘年会にさかのぼる。イカルスの出した人格変換茸をえのきやしめじといっしょに食べたせいでルドルフはとんでもないことをやってしまったのだ。

「聖。俺はお前が好きだ。絶対にお前を離さない!!」真正面の聖に高らかに言い放つと、目を丸くしている聖の前でルドルフは横のワインのコルクを引き抜いた。

「へ、陛下…。それは私の愛飲している…。」ミュラーの悲痛な叫びをものともせず、ルドルフはそのまま美酒を口に流し込んでいた。

「俺は、俺は今まで自分の心を偽ってきた。俺は…。」無言の聖を前にルドルフは熱く想いを語りだした。

「すごいな、陛下。帝劇の舞台並みだよ。」目を丸くする菫月に、
「きょうは荒れるか。今のうちに二階堂さんの料理、食っておこうぜ。」と袖を引っ張るシスル。

「陛下…。確かさっきまでお酒は飲んでませんでしたよね。」MOSがひそひそ声で紀州人に話す。
「きっかけは何でもいいのさ。陛下、なかなか大胆なことを言うじゃないか。ついに積年の課題に終止符だな。」紀州人はさもありなんと頷いた。

「やったねえ。陛下。男だねえ…。」感心する魔女吉の横では飲まされた猫侍が倒れていた。
「おかしいですね。陛下はそこまで飲んでいなかったはず…。」不審に思う夢織の横でいい感じになってきた櫻嵐がまあまあと夢織を押しとどめる。
「酔ったふりしてじゃなきゃ言えないこともありますって。ハッハッハ!!」
「なるほど。そのようなものかな。」と考え込むクリアルの横で、
「そうですなあ。そりゃそうだ。」ビッテンは自分でつくったカクテルに飲まれてしまっているようだ。

「みんな、注目しないで。それじゃできるものもできないわ。」笑顔でこの場をうまく収拾したのは智士だった。
「そうだな。ここはみんな大人になろうじゃないか。陛下のためにな。」シュペーアがひそひそ声でみんなを諭す。
「こちらはきちんと掃除したし…。さあ、宴会だ。宴会。」白い手袋を外しながらかとおおおは席に着き、にこやかに座を元に戻した。

 かくて、頬を赤らめながら聞く聖を前に熱く語るルドルフと和やかな雰囲気を装いながらも不自然でわざとらしい一座という構図ができあがった。しばらくその状況が続いたが、そこに入ってきたのが南國に呼ばれて帰ってきた英爺とエズミであった。

「いよう。お二人さんを連れてきたぜ。」と言う南國に続き、
「陛下。ごめん。長く席を空けてしまって…。」取り繕ったような笑顔で英爺が入ってくる。
「本当にごめんなさい。陛下…。」エズミもにこやかにやってきたが、その瞬間雰囲気が違うことに気がついた。

「こっちだ、南國。英爺、エズミさん、こっち。」真神がこっそり手招きする。
「ち、ちょっと、英爺さん、エズミさん…。」夢織も口に人差し指を当てて呼ぶ。やってきた南國、英爺、エズミを座布団で押さえつける一同。

「な、何をするう!!」
「ちょっと!!」

「しっ!!あれを見てください!!」妙法寺が指差す。
「陛下の一世一代の大博打なんですよ。」Aiが押し殺したような声で説明する。最初様子を窺っていた英爺とエズミだったが、事態を把握するとお互いに目を合わせ、大きく頷いた。

「で、成果の程は…。」
「陛下が圧倒的攻勢を掛けておられるが、成果は未だというところか…。」シュペーアは首を横に振る。
「でも、陛下、そういう性格じゃないと思うんだが…。」なおも不思議がる英爺にあわててイカルスが言った。
「ま、まあ人間そういうときもあるさ。それより、こっちも不自然じゃないようにな。」南國、英爺、エズミは事の重大さに気がつくと、とても自然とはいえない表情で鍋の料理を食べ始めた。
 しかし酒と鍋の効果は絶大でそのうちに賑わしくなり、夜が更けるにつれ意識のある者は二階の蒲団に入り、またある者は宴席でそのまま眠るに至った。宴席で眠る者に蒲団を掛けていくのは酔っていない夢織と南國、英爺あたりの役割であったことは言うまでもない。



 ダージリンティーを傾けながら英爺は唸った。
「なるほど、そういうことか。この前の宴会の件はこれでよく分かった。それで…。」
「陛下の方はどうなったんです?」櫻嵐がにじり寄る。
「ふむ。それはこういうことだ…。」薫り高き珈琲と紅茶の香とともにイカルスの話はなおも続く。夜の帳が降りるとともに、暖炉の火が一層輝きを増していく。



「お、俺としたことが…。だから酒でいつも失敗するのだ。」ルドルフは頭を抱えた。まだイカルスの人格変換茸で心の底の想いが吹き出したことに気がついていないルドルフであった。気づけばイカルスもただでは済まないはずではあるが。

「あと一歩というところで妙に出しゃばったり、逆に引っ込んだりしてしまう。自然体というところに落ちないのだ。」もっともこの辺りのルドルフの自己批判は浪漫堂本館の連中のいくばくかにもそのまま当てはまるであろう。洒落た二階堂や上品なかとおおお、流暢な会話に秀でたイカルスを除けば大半はこのタイプの男女がほとんどなのだ。職業や趣味には熟達の浪漫堂常連もこの方ではとんと疎い者がほとんどであった。帝都日報社会部の敏腕記者で情報処理に卓越するルドルフも御多分に漏れずこのタイプである。

 あれ以降、聖に対して恥ずかしさから目礼だけになってしまうことが多くなってしまった。決してやましい気持ちを覗かれてしまったということはないと自問自答しているが、それでも押さえ続けていた気持ちが不意に出てしまった狼狽は何とも言えないものがある。仕事は忙しいのだが、やはりあまりの恥ずかしさに避けている面は否定できなかった。

「う〜む。重苦しい年末になってしまったぞ。」納会も終え、一応自宅待機ながらルドルフにも年末がやってきた。この前の大宴会が実質的には大掃除という怪我の功名をもたらしたので、掃除とは言っても自宅の散らかった原稿の整理くらいである。本当は今年の帰省は見送り、聖と近所の八幡宮まで初詣に、などとささやかな野望を抱いていたルドルフなのであるが、この前の所行がこの実現に大きく立ちはだかっていたのだ。このような気持ちを和らげ、心の整理をする所と言えばそう、あの場所しかなかった。凝った木の彫刻のドアを開け、ルドルフは暖炉の部屋へ急いだ。

「ああ、陛下。いらっしゃい。」暖炉前には真神と無法地帯が何やら書類をそろえて打ち合わせをしていた。
「ふふふ、諸君、来ているようだな。」ルドルフはにこやかに挨拶を交わしたつもりだったが、その覇気のない表情はすぐに真神に見破られることとなった。

「陛下。何かお悩みがありますね。」真神は柔和な表情でその瞳を真っ直ぐに向けた。真神と夢織はともに静かで柔和な性格ではあったが、夢織がどちらかと言えば光、表といった知を揮うのに対し、真神は影、裏の知に長けていた。人の影をすぐに読んでしまうのである。逃れられないな、と悟ったルドルフは戸惑いながらも素直に話すことにした。

「…ふむ。先日の忘年会で気まずくなったと。こういう訳ですね。もっと早くお話いただければよかったのですが…。」
「い、いや、これはそう簡単には話せないぞ。」ルドルフらしくない弱気な抗弁ではある。
「しかし、それならどうして聖さんに率直にお話にならないのですか。」
「それは心を…。」言いかけてルドルフははっとなった。聖が心を読めることをそんなに多くの人に知らせてはいけない。真神は知っているかもしれないが少なくとも無法地帯は知らないのだ。
「知られてはならないようなやましいことなのですか。」真神はルドルフの心を見据えるような眼光を放つ。裁判所判事のような瞳だ。
「し、下心も少しはあるかも知れないが、決してやましいことではない。」最初は自信がなく、しかし途中からは次第に強い意志を持ってルドルフは答えた。
「陛下、それでは答えは出ていますよ。さあ、聖さんのところへお行きなさい。今の自信で聖さんを初詣にお誘いなさい。ここでぐずぐずしている暇はありませんよ。」うって変わって優しい声で真神はルドルフを促した。

「急いでください。陛下。」
「わ、分かった。」ルドルフは今来た通路を取って返し、冬空の下に飛び出していった。

 平然と紅茶を飲む真神に無法地帯は心配して言った。

「大丈夫かいな。真神はん。男女の仲は微妙やさかい…。」
「何、大丈夫ですよ。聖さんなら。それに私が言わなければ夢織が言っていたでしょう。夢織が言わなければミュラーさんが…。それに…。」
「それに?」
「何、陛下の心の中ではすでに今の答えが出ていたのですよ。後は誰かが同意してあげればよかったのです。」
「真神はん、あんたそこまで読んどったんかいな。」
「いい加減に陛下にピリオドを打っておかないと私も今度何をさせられるか分かったもんじゃない。」真神の脳裏に忌まわしい過去が甦る。
「何か?」
「いえ、独り言です。さあ、それより先程の文献の整理を進めましょう。」外を見る真神の目に映ったのはルドルフの走る姿なのか、それとも待っている聖の姿だったのだろうか。



「聖、待ってくれ。」夕暮れに帰る途中の聖を偶然見つけたルドルフは声を掛けた。一切の憂慮も外聞も捨てて小路に立ったルドルフはこう言った。

「どうしても、どうしても聞いてほしいんだ。」
「何でしょう。」聖は少し怒っているような声で振り向いた。
「もしよかったら、いっしょに正月に近所の八幡宮まで初詣に行かないか。」

「私と…ですか。」聖は真っ直ぐにルドルフを見つめた。顔に感情は浮かんでいない。
「君じゃないと、俺は困るんだ。俺は…。」そこまで言いかけてルドルフは聖の表情が変わっているのに気がついた。

「どうして、どうして早くそう言ってくれなかったのですか。」そういう間に聖の顔が泣き顔に変わる。詰め寄るような表情で聖はルドルフに近づいた。
「聖…。」
「ルドルフさん。」聖は瞳に涙を光らせながらルドルフの胸に顔を埋めた。
「すまない。俺のせいで…。俺が早く勇気を出して言っていれば…。」寒空の中、雲の切れ間から夕日が赤く二人を照らし出す。ルドルフは聖の華奢な肩に自らのコートを掛けると優しく抱きしめた。


 明けて新年。ルドルフはスリーピースにシックなコートを着込み、マフラーをまとって聖とともに初詣に出掛けた。心なしか聖の表情が明るいのは自分の聖を想う心に偽りがないことを認めたからだろう。晴着姿の聖は輝いて見えた。衣装が、黒髪が、そして白い肌にかすかに赤みを帯びたその顔が。
 二人は明冶神宮ではなく、人気の少ない八幡宮に参拝し、一心に祈りを込めた。きょうは寒いがよく晴れている。まるで俺の心のようだ、とルドルフは思った。大神中尉帰任後の帝都は荒れに荒れている。このようなときこそ自分の手腕が試されているのだ。嬉しいが気のゆるみは許されない。

「さあ、行こうか。」自分でも信じられないほどの爽やかな笑顔が出た。
「はい。」聖はにこやかに笑いルドルフと手をつないだ。青い空は帝都のつかの間の安息かも知れなかった。

夢織時代
「なるほど・・・・・・・」

イカルスの話を、実はしっかり聞いていた夢織は、
納得が入ったというようにつぶやいた。
あの日、あわただしく出ていったあと、そうなってくれと思っていたが、
ようやく、決まったというところか。
聖のためにも、それが最良の結果だろう。
いかに聖が帝撃の面々に匹敵する霊力の持ち主と言っても、
だからこそつきまとう危険性もある。
増して、あの輝くばかりの美貌である。
この浪漫堂の面々の中でも一二を争う強さのルドルフがそばにいるのが一番いいだろう。

そこまで考えて、夢織ははたと気がついたことがある。
納得しようとつとめている自分がいること。

話を聞いていた男たちは程度の差はあれ、皆同じようだったのではないか。
この浪漫堂の華の一人・・・・誰もが聖に憧れていたのではないか。

だが、やはりそれが一番いい。
納得できる結果なのだ。

これからは、聖に動いてもらうときも安心出来るのだ。

年が明けて、帝都はまた動き始める・・・・・・・・。

*********************************
こんにちは、夢織時代です。
また一人でぶつぶつ言ってます。
ちょこっとだけ、裏につなげてみました。
夢織も続きを書かないといけませんね。
あああ・・・・正月休みがもう終わってしまう・・・・。
書きたい小説の半分もかけませんでした。

聖さんの肖像画審問員の一人でもある夢織でした。

ひでじい氏
「いかにも卿らしい配慮だな。」気づくと側にミュラーが夢織と同じようにコーヒーカップを片手に雪の中庭を眺めていた。

「ミュラーさん。さすがに何もかもお見通しなのですね。今回の件も…。」
「ああ。陛下と聖さんのために、そして帝都のために、だろう。」
「その通りです。」
「そして、卿も聖嬢に憧れていた…。違うかな?」
「!!」夢織は心の不意を突かれた驚きでミュラーの顔をはっと見た。ミュラーの顔はしかし平静で穏やかなものだった。

「…。隠せませんね。ミュラーさんには。」夢織は寂しい笑みを浮かべて再び中庭を見つめた。その横顔に紅茶の湯気が香気を運んでくる。
「卿は優しい。しかし時には自分の想いを素直に出すことも必要だ。」ほろ苦い夢織の微笑を察してか、ミュラーは目を伏せ紅茶を一口飲んだ。夢織はその中の大半がアルコールであることをその薫りから感知していた。夢織はミュラーの心遣いをありがたく押し頂きながらも、心配をかけないようにするため、話題を変えることとした。

「その陛下と聖さんには申し訳ないのですが例の件を依頼して日光に赴いていただくことにしました。帝都の状況は不穏ですね。」
「確かに大神中尉の帰還後、帝都で事故や事件が続出している。何かが起きていることは間違いない。詳しくは真神先生の報告も待たねばなるまいが。」
「大神中尉や花組のみなさんのためにも陛下と聖さんの御協力はぜひとも必要なのです。」先程までの叙情的な表情がミュラーと夢織の顔から消えていく。

「陛下と聖嬢のことだ。何とかうまくやってくれる。それよりも米田支配人とのコンタクトのことだが…。」
「本日、加山中尉が別館に訪れるようになっています。」
「調査の方は難航しているのか。」
「私の方は若干成果が挙がりました。英爺は先日の研究所調査を、またイカルスは卒論指導を隠れ蓑に極秘調査を続けています。黒火会氏も本日は参られます。」
「相変わらずみんな危ない橋を渡る…。」ミュラーは苦い顔をした。まさに浪漫堂の面々は危ない橋を渡っているのだ。甘さ、切なさ、ほろ苦さに加え、何か不気味な雰囲気も迫りだした太正浪漫堂本館は、しかし相変わらず優雅な外観を夕日に照らし出されていた。

ひでじいです。みなさんが読まなくなったここからが腕の見せ所ですね。こっそり書くのが楽しみになってきましたよ。いいですね。これ。

夢織時代
時の燃え尽きる前に

こんにちは、夢織時代です。
このページの寿命もあと一日か二日ですね。
こっそりと入れさせていただきます。
実は対降魔部隊SS第六弾の宣伝なんですが(大汗)
**********************************
「帝都の・・・闇か」

図らずも、再びそれに関わることになって、夢織は部屋でため息をついた。
荒れ果てた部屋・・・部屋というのは正しくないかも知れない。
広大な空間だ。

八年間、誰訪れることもなく放置されたこの場所は、当時の戦いの光景を、今に伝えている。

吹き荒れた嵐の爪痕。
一度凍結した床。
炎になめられた高い天井。
そして、最奥にそえられた祭壇。

だが、それだけだ。
手がかりになるようなものは、何もない。

研究室の講師室の記録から、自分の先輩に当たる前任の講師の記録を見つけ、
敵の手がかりをと思って来たのだが。
かつてここで、帝都の闇の者が集結し、そしておそらく、対降魔部隊と激突したのだ。
記録では、それがあったと思われる時期に、夢織の先輩も消息不明になっている。
研究室の助教授と講師が立てつづけにいなくなる異常事態に、
結局彼は大学に残ることになってしまったのだが。

「帰るか・・・」

ここにはもう何もないだろうと確信していたからこそ、一人で来たのだが。

「少し話をしていかぬか」
「!!」

祭壇に背を向けた直後、声がした。
祭壇の前に、黒い羽がいくつも舞った。
声はそこからする。
凄まじい妖気・・・・!!

「水地の弟子にして、渚の後輩、夢織・・・・」
「おまえは・・・・・」

妖気が極限まで濃くなったところで、そこに一人の男が姿を現していた。

「今ある、おまえたちの敵・・・そう言えばわかるか」

側頭部から黒い烏のような羽を生やした、3メートルはあろうかという男は、ゆったりと言った。
明らかに、人外の者。
だが、不思議と威厳があった。

「・・・なるほど・・・。実体ではないのだな」
「・・・我が我が霊体であることを見抜いたか。さすがだな」
「また、受けてもいない師の七光か・・・」

夢織の表情は苦い。
水地と高音の二人とは、ずっと意見を異にしていた。
師事してはいたが、それはあくまで学術的な領域についてであって、
霊的、妖的な事を習った覚えはない。

「水地は生前、弟子の何人かを選んで、仕掛けを施していた。
一人はおまえも知っている高音渚だ。彼女は・・・優秀だった・・・」
「私は彼女には嫌われていたがね」
「個人の感情と、使えるかどうかは関係ない。
京極も、かつて銀仮面を使っていた」

銀仮面・・・・。
その名はよく知っている。
太正十三年に、帝都の誰もが知っていた怪盗の名だ。

「彼も、人間にしてはよくやった」
「・・・・・・・・・私を、招きに来たという訳か・・・!」
「察しがいい。その通りだ」
「私が、受けるとでも思うのか・・・!」

吹き付けてくるような妖気に対抗せんと、裂帛の気合いを込めた言葉だった。

「並の人間が、私を前にして意識を保っていられるはずはないのだ」

夢織はびくっとなった。

「今は、それが見られただけでも良しとしよう。
いずれ、また・・・・」

再び黒い羽が舞、次の瞬間には姿を消していた。

「・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・」

夢織は、しばしその場に立ちつくしていた。

**********************************
ひでじいさん、ごめんなさい。
つれづれなるままに書いたら、こんな物が出来上がってしまいました。

対降魔部隊SS第六弾は遅れに遅れている夢織でした。

ひでじい氏
一つ、また一つ…。不安の旋律が奏でられる。それらの旋律が対旋律となり、また伴奏となって組み合わさり、大いなる第一楽章に突入しようとしていた。

真神につきまとう監視の目。夢織に忍び寄る影。ミュラーを襲う暗殺者。そして…。

「イカルス。もうここはいい。降魔による生態学的変容は確認した。地質学的にはサンプルを研究室で見ないとはっきりは分からん。」
「英爺。これは俺の考古学の範疇を超えてるな。取りあえず紋様は写し取った。後は無法地帯と夢織さんにでも見てもらうとするか。」

 山中にこだまする飄々とした声。しかし彼らは今極秘の任務に当たっていた。新たなる敵の足跡をつかむための苦闘をしていた。

「さあ、そろそろ上がるぞ。英爺。メシにしよう。」イカルスがロープをつかもうとした瞬間、

「イカルス!!誰かがロープを!!」英爺の鋭い声が飛んだ。イカルスは頭上で禍々しい顔をした男が残忍な笑いを浮かべながら猛烈な勢いでロープを切っているのを見た。

「英爺!!俺に捕まるんだ。」
「おおおお!!」イカルスに英爺が捕まった瞬間、命綱がぷつりと切れた。

「うあああああ!!!」谷底へ転落する二人は森へ吸い込まれていった。

「これで数週間後には転落死の新聞記事だな。頭でっかちの科学者などあっけないものだ。」男の顔には何らのためらいもなく薄笑いのみが浮かんでいた。

「遅いなあ。」英爺に約束をすっぽかされそうなエズミは少々おかんむりだった。昨日には英爺が帰ってきているはずなのだが、もう夕方になるというのに英爺が来ないのだ。仕事を一気に挙げて今日に備えたエズミとしては怒るのも無理はない。

「まあまあ。エズミくん。もう少し待ったらどうだい。」ミュラーと南國がなだめすかしながら時を稼いだ。そして夜の7時を過ぎようとするとき、

「ごめん。」聞き覚えのある声が浪漫堂玄関の方から聞こえた。

「もう!!遅い!!」怒りに任せてエズミが扉を開けた。そのとき、エズミは我が目を疑った。ぼろぼろの服に血の臭いを漂わせ、イカルスに担がれた英爺が静かにエズミの方へ倒れ込んできた。

「リュックを…。早く。帝劇の加山さんに連絡…。」そこまで言うと英爺は失神した。

「浪漫堂へ来れば安全…。大神中尉…。だから…。」イカルスも玄関の扉を閉めると座り込み動かなくなってしまった。

「お…お医者さんを呼んでください!!」かすれたエズミの声が絶叫に変わるまでに、南國は帝劇に、花丸は病院に向かい転がるように走っていった。智士は状況をすばやく察して奥の医務室へ救急箱を取りに駆けだした。

「この二人を奥の事務室へ。二人のリュックもいっしょだ!!」ミュラーの指示にシュペーア、かとおおお、二階堂、クリアルらがすばやく動き出す。

「容易ならない事態が…。夢織、夢織はどうした。」浪漫堂を襲った混乱の中、ミュラーの中に新たな不安がもたげつつあった。新たなサクラ大戦の中、暗闘は続く。

その日、浪漫堂本館の暖炉は主たちを失った。

ひでじいです。追加レスSSが浮かんだので僕も調子に乗って一本書きました。フフフ。また怪我ですよ。参っちゃいますね。

夢織時代
「ついに・・・そうなったか・・・」

月組隊長加山雄一は唇を噛みしめていた。
この男が動揺を他人に見せるのは珍しい。
今彼に報告しているのは、全身を黒装束に包んだ人影だ。
ただし、その黒頭巾の間から覗く瞳は、のぞき込んだ人間をはっとさせるほどの美しさがある。

「それで、イカルスさんと英爺さんの容態は?」
「安全とは言えない状態らしいわ。浪漫堂まで自力でたどり着いたのが医者も信じられないと言っていたから。確実に、殺すつもりだったようよ」
「真神さんだけではなくなってきたか・・・・」

浪漫堂のメンバーを守るために避ける人員にも限度がある。
月組にしても夢組にしても、帝都防衛が第一なのだ。
だから、特に気密に関わる者を中心にして、やはりいくらかは護衛に隙がある。
しかし、最近はどういうことだ。
かとおおおが狙われたことと言い、敵は浪漫堂の面々を狙っているような節がある。

そしてもうひとつ、加山が気にかけていることがあった。
夢織から前に言われたこと。
月組の中に、内通者がいるかも知れないという話・・・。
しかし、それを言うなら、この帝都で霊力のある人間は、多かれ少なかれ物の怪や妖怪と関わりがあると言うことにならないか・・・。
今でも先祖返りとして、妖怪の特徴を持つ子供が産まれることがある。
たとえば、黒鬼会の土蜘蛛然りだ。
それは、古代に、人と魔の区別が少なく、混血すら行われてきたこの国の風土そのものと言ってよい。

今度の敵は・・・・この国そのものが抱えているのだ・・・。

「そういえば、夢織さんはどうしている?」
「帝大の中にいるから安全だとは思うけど・・・」

「ルドルフさんと聖さんはもう日光に着いたか・・・?」

加山の問いに答える者はなかった。

**********************************
さらに一本入れてみました。
さすがにこの時間で打つのは無理があったかなあ・・・。

原稿をさぼっている夢織でした。

ひでじい氏
 イカルスと英爺、謎の暗殺者に襲わる、との報を南國から聞いた帝國歌劇團支配人米田一基は、即座に次の決断を下した。
 まず副支配人藤枝かえでを呼び、南國とともに浪漫堂本館へ向かい、イカルスと英爺の陸軍病院転院を指示した。つぎに大神一郎を呼び、イカルスと英爺のいる陸軍病院での事情聴取と病院付近の守備を命じた。最後に加山雄一を呼び、今回の政府調査團報告書の解析チームの科学者・官僚のうち、戦史研究所で比較的安全な真神を除く、ミュラー、夢織、かとおおお、シュペーア、無法地帯、そして重傷のイカルスと英爺を浪漫堂別館へ転居収容するよう命じた。

 3人にマリアを加えた4人を前に米田は呟いた。

「奴さんたち、とうとう我慢ができなくなってきたようだな。」
「我々も懸命の捜索を続けていますが、あと一歩というところです。」加山は無念の表情をにじませた。
「こちらも出動回数が多く、相手は華撃團の攪乱に出ているおそれがあります。」大神もこれほどまでに騒乱を起こせるのは政府や財界、軍部を巻き込んだ巨大な魔の組織が蠢いていると感じている。

「ここんところが山だ。がんばってくれ。」米田は3人に檄を飛ばすとマリアに向かってこう言った。

「当分能力の高い大神とさくらを遊撃戦力で使う。花組残存主力の指揮はマリアが執る。以上。」

 帝撃が動き出した。しかしこれもまた序章に過ぎなかった。

 ひでじいです。やっぱり過去は楽しいですねえ。

桜嵐氏
「新たな戦い・・・。」

 浪漫堂に英爺とイカルスが運び込まれてきた時、櫻嵐は直感で、新たな戦いの
始まりを感じとった。
 以前より、桐島カンナ嬢に試合を申し込んだりと、突飛な行動が
目立っていた櫻嵐だが、それでも他の浪漫堂の面々からは、とりあえず
普通の人間であると認識されている。
 しかし・・・。

「やっぱり・・・俺も・・・。」

 櫻嵐の家系を順に辿ると、四代前に、ある特徴を見出すことができる。
 彼の故郷、九州の山奥にひっそりと佇む、今は主を失った神の社。
 その最後の宮司を務めた人物こそが、彼の先祖、その人であった。
 そこから導き出される結論は、言うまでもない。

「この力を・・・人前に晒す時が・・・来たのか。」

 彼にとって、己の力は・・・その存在そのものが、忌むべき物であった。
 幼い頃の言われなき差別、迫害・・・それらのおぞましい思い出が
櫻嵐に己の力を封じさせていた。
 だけど・・・。
 浪漫堂のみんなの前でなら・・・そして、浪漫堂の平和のためであるのなら・・・。

「みなさん・・・お話が、あります。」

 微力でも、この人外の力・・・役に立つのなら。
 今一度、櫻嵐の魂に、勇気の明かりが灯り始めていた。


********************************

ふぎゃぁっ!?
偶然、お二人の掛け合いを発見してしまいまして、いても立ってもいられず、
勝手に話を作っちゃいましたぁ。
ごめんなさい。
でもまぁ、もうすぐ消えちゃう書き込みだから・・・いいよね☆(爆)

何だか、一頃の浪漫堂の日々を思い出し、じ〜んと来てしまいました。
それでは!

 

ミュラー大将氏
「今日も冷え込むな・・」
年始の挨拶回りから浪漫堂へ足を進めるミュラーは、浪漫堂近くの四つ角で
思いがけず真剣に話すルドルフと聖の2人を見つけた。

「男を上げたな・・。」
そう言うと、声もかけずに浪漫堂へと歩いていった。

カラン
ミュラーは浪漫堂に入ると早速いつものモノを注文した。
「君、紅茶を1つ・・今日はカップに7割ほど注いでくれ」
彼は注文すると暖炉のそばへ歩いていった。

「やあ、遅くなって申し訳ない」
彼は暖炉のそばで文献の整理をしている諸氏に挨拶した。
「今日はカップに半分じゃないんですね。」
夢織氏が訪ね、真神氏らが頷いているとミュラーは一言答えた。

「熱〜い2人がブランデーの量を減らしてくれたのさ。」
その一言で充分だった。
ミュラーはテーブルに届けられたティーカップにマーテルを注ぐと
カップを目の高さに掲げこう言った。
「男を上げた皇帝と、その前途に・・プロージット」

********************************
ひでじいさん、明けましておめでとうございます。
早速こんな物を付け足してしまいました(笑)
いや〜驚れえた。これで第4帝国も安泰だ。

もしかして、こいつも続編が延々と出来るのかなと
期待するへっぽこ大将でした。

ひでじい氏
「フフフ。こういうこともあるものだ。」ルドルフの姿を思い出しながら、ミュラーとしては珍しいことだがつい歌を口ずさんでいた。その歌はドイツかオーストリアの民謡のようであった。

「ミュラーさんの歌って重厚なんですね。特に低音がいいんですよ。」ティーカップを持った花丸が驚いたように振り返った。

「こ、これは失礼。」自分が知らず知らずのうちに鼻歌を歌っていたことに気づいたミュラーは少し狼狽した表情で丁重に一同に詫びた。

「いえいえ。お上手だということですよ。どうせですから私も一曲歌ってみましょうか。」そう言った智士が颯爽と立ち上がると、ちょうど来ていた帝響メンバーの喝采を浴びて伴奏がつく。曲はモーツァルトから始まり、期せずしてサロンコンサートの形となった。
 朗々とテノールで歌う花丸。意外にもバリトンに秀でる英爺。巧みな和声と対旋律をつけるとりなべ。切ない響きの紀州人。つややかなメゾソプラノのエズミ。涼やかな鈴掛。美しいBAT…。
 夢織や真神、二階堂らは初め驚いたが、やがて微笑とともに拍子を取った。魔女吉や妙法寺、驍橘らが唱和したりと賑やかな感じになってきた。

「なんだ?この騒ぎは?」
「すごく賑やかな感じですけど。」どうやら張本人たちが訪ねてきたようだ。浪漫堂本館は今年もこの二人の訪問を受けた。

 フフフ。誰も気づくまい。こんなところからレスSSができてることを。魔女吉さん。これはいいことですよねえ。

ミュラー大将氏
♪・・・・

あの娘が振っていたぁ〜真っ赤なスカァ〜フ〜
誰の〜為だとぉ〜思お〜っているのかぁ〜

・・・これの先は、又のお楽しみと言う事で。

ラ・セーヌは今日も流れる花売り娘はしぃ〜ってる
夜の後には花咲く朝の来ることを
・・・・・・・。

Rudolf氏
(*−−*;)
 ううっ、これは・・・ついに私が年貢を納めちゃったのね〜;なんか読んでいる間に過去の走馬灯と心臓に刺さる矢を感じていたけど;私と合っているのは勇気も出ず悶々としているのと後悔にさいなまれている所だけで後は完全オリキャラね。
 俺はもう少しだけ・・・あの時勇気を出していれば・・・ひでじい様に感謝☆(ほんまかい!)でも裏ではまだまだナンパ師だよん、ふっふっふ、怪紳士は唯一の悪人ですからね。ではまた会おう少年ひでじいくん、あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは。


 やっぱ女の子もここまで積極性のある男のほうが好きなんだろうねえ、私にゃ無理だ。んな恥ずかしい事できんもん。(あの方とツーショ撮ったのは勢い任せだから誤解しないように;)
 やはり私を好きになってくれるような女性(世界一難しい注文)募集中の馬鹿カイザーより。

ひでじい氏
「本当に俺でいいのか。」先程まで笑みを浮かべていたルドルフが真顔になり聖を見つめた。そこには縦横に機材を駆使し、剛胆さをもって真実に迫る記者ルドルフの姿はなかった。孤高の立場のつらさに耐える、一人の青年が立っていた。

 聖もルドルフをじっと見つめていた。あくまで真摯に彼の姿を、そして心を捉えようと、大きく澄んだ瞳を一心に見開いていた。しかしその眼差しが穏やかな笑みに変わるのにしょう時間は変わらなかった。彼女は短く、しかしはっきりと答えた。

「ええ。」

 ルドルフはその言葉を聞くと、少し照れたのか顔をあさっての方向に向けてしまった。しかし、その両手は自らのマフラーをそっと外し、聖の襟元に優しく添えられた。

「さあ、そろそろ行こうか。」ルドルフは聖の手をそっと取り、エスコートした。行先はよくも悪くも太正浪漫堂。かの館にいる彼らの存在がきょうの自分へと導いたような気もする。

「親友と言うのか悪友と言うのか…。」ルドルフはかすかな微笑を浮かべながら浪漫堂本館の彫刻に彩られた扉を開けた。するとロビーに華やかな音楽と歌声が響いていた。

「これは…。」
「いったい…。」呆然とする二人に夢織が近づいてきた。

「おめでとうございます。」夢織は多くを語らず、ただそう言うとにこやかな表情で二人に珈琲を差し出した。

 ふふふ。陛下。この前の陛下の容貌からこんなSSも書きましたよ。まさかこんなところで描写されているとは思いますまい。

無法地帯氏
いや、ホンマに。
男女の仲は微妙ですな。
うまくいったからよかったですが、

そうじゃない方をより多く経験してると、ね、
うまくいかない結果の方ばっかり考えてさ、
逆にうまくいくと、それ以上の段階に進めないっていう…

ま、そんな話はいらないよね。うまくいったんだし。ね。

「ところで、何で関西弁じゃないんです?」

「うむ、さすがのAT●K12といえども、関西弁だとうまく変換してくれぬでなぁ。」

「じゃあ、関西弁は話さぬと?」

「いや、PKOやなかったTPOで使い分けるとしますわ。
 標準語と関西弁の“バイリンガル”ってとこやな!」

「そうですか…」

*********************************
と、いうわけで、あけましておめでとうございます。

次ページのカキコにいち早くレスありがとうございます。
ちょっと、接続ミスがあって、アップし直したんですが、
ちゃんと聞こえましたか?

それではまた。

ひでじい氏
「なかなかに男女の仲は分かりませんなあ。真神はん。」無法地帯は黒ビールを飲みながらルドルフの方に視線を向ける。

「果断で有名な陛下にしては、今回は逡巡されていましたからね。」今回の仕掛け人である真神は紅茶を飲みながら澄ました顔で言う。優男のようで食えない人や、と無法地帯は肩を竦めた。

「陛下はあれだけの容貌なのに自分に今一自信を持ってないですからね。」Aiは首を傾げながら言う。その後ろでは暖炉の薪が勢いよく燃え上がっていた。

「何はともあれよかったですね。陛下。」帝劇公演の原稿にペンを走らせ続けていた花丸がようやく筆を休めると穏やかな表情を浮かべて言った。

「また一作書けそうか。」Aiの問いに、
「ええ。」と答える花丸の表情は浪漫堂本館の脚本家の間でも中堅の座を担う重厚さが出てきたように無法地帯には思えた。

「人のことは置いておいて…。みなさん、御自分のことも考えんといけませんなあ。」微笑で問いかける無法地帯の一言に、

「違いない!!」と一座の笑いとどよめきが帰ってきた。雪の降りしきる帝都でもここは本当に暖かい。無法地帯の飲む珈琲にもその暖かさが宿っているようである。

無法地帯さんのレスにもさりげなくレスを入れ返すひでじいでした。

真神 樹氏
今回は随分と
良い役をやらせていただきました(爆)
隠者のイメージですね。影と月夜の知恵者。…ハマり役かも(笑)
一部、あちらとの交錯があるようですけど(^^;
いやぁ、収まるべきところに収まって、まずはメデタシメデタシですか。
そうすると、次はかとおおおさんですね。
う〜ん……英爺さんに、もう随分水を開けられてしまっていますからねぇ……
こうなれば、新たなる美女にご登場頂きますか。
例えば、麻妃先生とか(激爆)
……まあ、袋叩きに遭いそうな冗談はこの位にして。
レスシリーズといきますか………

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 静かな乾杯。
 疑い無く暖かい、今ここにいない仲間に向けた祝福。
 だが、それに続いた沈黙には、一抹の寂寥感も含まれていた。
「収まるべきところに…収まりましたね」
 誰に言うとも無く、真神が独り言のように口にしたその台詞は、おそらくその場に居た男達の胸の内の、最大公約数であったに違いなかった。
「おや、真神さん。ご自分でけしかけておいて、実は貴方も聖さんのファンだったのですか?」
 冷やかすような、おどけた声が飛ぶ。これには、苦笑しながら首を振るしかなかった。
 あの二人はお似合いだ。
 お互い、何かに臆病になって「1歩」を踏み込めずにいた。あの二人を見ていると、何故かそんな風に感じられて、もどかしいよりも哀しかった。
 現在は過去からしか生まれないが、未来は現在が決めるものだ。あの二人には、過去と違う未来を手に入れられるはずなのだ……私と違って。自分はいつもあの二人を見て、そんな事を考えていたのかもしれない、真神はそう思った。
(臆病に、か……人のことは言えないな、私は)
 だが、過去に囚われているのはきっと自分だけではないのだ。生きるという事は、過去を背負うという事でもあるのだから。そしてあの一瞬の寂寥感は、未来を掴んだ仲間に置いてきぼりにされたような、そんな寂しさだったのだろう。
「幸せな男が一人増えて、帝都は一人分幸せになりました。いや、二人分かな?
 街は、そこに生きる人々の幸せが造るのだそうです。でしたら、幸せな想いが増えれば増えるほど、人の街は揺るぎ無いものになるのでしょう。幸せな想いで満たされていれば、怨念や瘴気などに侵されたりはしないのでしょうね。
 帝都の礎になる、二人の幸せに、乾杯」
 普段なら灰皿が飛んできそうな気障な台詞に、素面であるにも関わらず浪漫堂の仲間達は再びカップを目の前に掲げてくれた。
 優しい笑みを浮かべながら。

ひでじい氏
 真神の心を察する多くの友人の心。今までの自分に幸せとは言わないが、これだけの時を楽しむ余裕はなかったように思う。人間の裏、魔界の裏…。職業からか、あるいはその特筆すべき能力のせいか、真神は常に物事の裏を洞察することに慣れてしまっていた。その彼が、希望を、理想を、そして友情を…。かすかにだが信じるようになった場所。それが太正浪漫堂だった。

「米田中将のあの一言で、私も新たな生を受けたような気がするな。」

紅茶の香を楽しみながら真神は回想に浸っていた。そう、ここ浪漫堂を紹介してくれたのは米田一基だったのだ。この浪漫堂に来たことで真神の人生が再度転回したのだ。自分の信頼する友人がここにはこんなに多くいる。現実は厳しい。多くの困難な課題が真神とその友人を取り巻く。しかしそれでも今の真神にはいくばくかの自信を持って対策が講じられるのだ。

「真神さん。どうされましたか。」気づくと自分の目の前に一人の男が立っていた。自分に影響を与えた、柔和な表情と強い意志を持つ者。

「ああ、夢織さん。」紅茶から薫る湯気がほんの少しゆらめいた。


 こんな描写もやってみましたがいかがでしょうか。

エズミ氏
「いやー、新年早々縁起がいいや」
エズミはへらへらと笑うと、真神、英爺の顔を見まわした。
「これで浪漫堂にも3組目のカップルが登場ですよ。なんだかめでたいですねー」
「確かにめでたいが・・」
真神は腑に落ちない表情で、カップを持つ手でエズミを指した。
「どうして君がそこまで浮かれているんだ?」
「だって、私と聖さんは親友なんですからぁ」
「それ、君が思ってるだけじゃ・・」
「そんなことはなーいっ。あの雪の日、私たちは永遠の友情を誓い合ったんですから」
英爺は苦笑する。
「そういや、君あの頃から二人をくっつけようと余計なコトしてたよね」
「そうそう」
エズミは頷いた。
「陛下は私とは義兄妹にも等しい人だし、聖さんは大切なお友達だし。あの二人には幸せになって欲しかったんですよね、私」
「なるほどね」
エズミはルドルフの話をするときの、聖の嬉しそうな笑顔を思い出した。きっと、彼女は幸せになれるに違いない。うきうきした気分でエズミは立ちあがると、飾り棚の上から勝手にイタリアワインを取り出してくる。
「おいおい、勝手に・・」
「大丈夫、ちゃんと伝票つけとくってば。いやー、幸せな二人に、プロージットぉ!!」
意味もわかっていない単語を叫ぶと、エズミは勢いよく栓を抜いた。まだ飲み終えていない、真神、英爺のカップになみなみと桜白色の液体を注ぐ。カフェインと交じり合ったワインに二人はげんなりとした顔を見合わせた。

遅刻ですー。(^^;;
いやー、めでたいですね。
陛下と聖さん、ついに結婚かぁ。・・って、気が早い。
新居にはぜひ遊びに行きましょうね、英爺さん。(笑)

英爺さん、樹さん、お名前の無断使用陳謝です。
ではでは、失礼しますー。

ひでじい氏
 一通りの食事。一通りの酒杯。そしていつもの珈琲。一同による楽しい宴が終わりを告げた。少し上気したミュラー。微笑を絶やさぬ夢織、泰然とした紀州人、話題に事欠かぬ南国…。智士の歌声に鈴掛の爽やかな笑顔。BATの可憐さ。真神の深い頷き。
 ひと味違う魔女吉、一本気な花丸。料理を振る舞う二階堂の横で冷やかす驍橘。ビッテンと無法地帯の議論に割って入るシスル。Aiとクリアルの談笑につき合う妙法寺…。いつもの光景だが少し異なるのは、その一座の中心、暖炉の側に座るルドルフと聖を包み込むような一同の暖かい心だった。
 宴が果てると一同は最後まで残ると言い張ったルドルフと聖を無理矢理先に帰らせ、見送ることとした。残りのメンバーも一人、また一人と消え、最後に暖炉の火を落としたのはいつものように英爺であった。

「なんだかんだいっても真面目だな。お前は。」ふと後ろで声がする。
「イカルス、帰っていなかったのか。」
「ああ、俺も下で片付けていたからな。それよりも。」イカルスがニヤリと笑う。

「いっしょに酒でも飲みに行こう…と言いたいところだが、お前を特上のお客様がお待ちかねだ。早く行ってやれ。」
「ああ。分かってる。」
「酒は今度飲みに行こう。」イカルスは軽く手を挙げるとコートを羽織って姿を消した。英爺も上着にあわてて袖を通し、コートを小脇に抱えるとフッとランプの灯を消した。

「おやすみ。浪漫堂。」


「ごめん。待っていてくれたんだね。」英爺は少しはにかみながらホールに立つ影に話しかけた。
「遅い!!罰としてちゃんと送って帰ってね。」影がこちらに向かってくる。橙色のランプに照らし出されるその表情はしかし柔和だった。

 浪漫堂本館から続く石畳を英爺とエズミが歩いていた。満天の星空と淡い光の瓦斯燈が夜の街の空に光を放っていた。

「陛下、うまくいくかしら。」エズミは今回の件に喜びつつも、少し不安な表情で英爺に話しかけた。息が白くなる。
「いくさ。聖さんが選んだ人だからね。」英爺が答えた。英爺もエズミも聖が人の心が読める人だということを十分承知していた。その聖が有能なしかし一癖あると傍目には写るあのルドルフを選んだのだ。間違いはないはずだ。

「これで浪漫堂も変わるわね。」
「変わるね。でも変わらないところもある。それはみんなのつながりかな。」
「私たちは?」
「僕たちも陛下と同じだよ。変えていこうよ。」英爺はエズミの手を格好を付けて押し頂くようにすると腕を組んだ。そうしてかつて大神とさくらが歩いた石畳を同じように歩いていった。


ひでじいです。たまにはラブストーリーを書きたい病ですね。まあ、ここまで来れば誰も見ていないでしょう。万が一、エズミさん見つけられたらそのときはごめんなさい。

智士氏
粉雪が舞い踊る中
仲良く寄り添う様に消えて行く二人の影を見送って、役目は果たしたと
一心地ついたイカルスが家路につこうとしていた。

「人の心配よりも、ご自分の心配はなさらないんですか?」

不意に掛けられた声に、イカルスが驚いて見ると、とっくに帰ったはずの智士がそこにいた。

「もう帰ったんじゃなかったのかい?」
「何だか可哀想な誰かさんの事が気になったから、戻ってきたんですよ」

イカルスは少し困った様に智士を見る。

「終電もう無いんです。だから、朝まで飲みましょう?」

智士はいたずらを思い出したような表情をして見せる。

「語り合いながら?」
「そう。きっと話したい事はいっぱいあるはずだから」

そうして二人は夜の帳が降りた街角に消えていった・・・。


しかし、イカルスは後悔したに違いない。智士は思いの他ザルだった。
思惑を外したイカルスの心中や如何に?!

*******************************

横レス失礼しま〜す。
ひでじいさん、こんばんは。
上のレスSSを見ていてつい、羨ましくなったのでおまけで書いてしまいました。
っと云うわけで、また勝手に登場させてしまいましたイカルス様、
本当にごめんなさい。
お愛嬌って事で許してくださいね。
それと、実際には私はそれほどザルではありません。
ちゃんと酔っ払いますし、限度もありますから・・・。朝までは飲めません。(^^;;

それでは、また。
某HPでの秘密の写真・・・。見ちゃった(^^)智士でした。

ひでじい氏
 明けて翌日の浪漫堂。昨日とはうって変わり使い古した普段着の上によれよれの白衣を羽織った英爺が眠い眼をこすりながら、論文に目を通していた。

「ははあ。昨日いいことあったでしょう。」突然の一言に英爺は危うく飲んでいた極上のエスプレッソを取り落とすところだった。

「あ、さ、智士さんじゃないですか。」
「でも夜更かしはよくないよ。」智士の目が英爺の心を見透かしているようだ。
「そんなことはないですよ。」動揺をコンマ1秒で苦笑の底にしまい込むと英爺は笑顔をとっさに作りだしていた。

「で、首尾の方は?」
「な、何のことかな…。あはははは。」英爺得意の煙に巻く笑いである。

「いよう。なんだ、もう二人とも来ているじゃないか。」そのときイカルスが声を掛けてきてくれたことを英爺は心から感謝していた。もっとも、その感謝はエズミが櫻嵐と一緒に浪漫堂本館に入ってくるまでしか続かなかったが。

 今日もいつも通りの浪漫堂である。しかし危機はそこまで迫っていた…。

ひでじいです。みつけられちゃいましたね。ハハハ。

かとおおお氏
仲間じゃないですが(笑)

ひでじいさん、あけましておめでとうございます。
うーむ、太正浪漫堂って喫茶店でしたか。私はてっきりクラブのようなものとばっかり。(苦笑)

陛下もついにイロモノナンパ皇帝を卒業して真実の愛に目覚められましたか。めでたいことです。(笑)
ということは、新婚旅行が日光なんですね。(謎爆)

イロモノになっちゃうのでレスSSはつけられませんが、本家番外編、これからも楽しみです。

ではでは、実は聖さんを苦手にしているかとおおおでした。
今年もよろしくです〜。

ひでじい氏
 暖炉の側で珈琲を傾けるかとおおおの眼には帝都の雪景色が映し出されていた。そしてあくまで優雅なその仕草とは裏腹にその表情は厳しかった。

「奴らは何をしかける気なのだ。」かとおおおは冷たい表情で虚空に語りかけていた。不穏な事件の続発。かとおおおの帰国。そして大神中尉の帝劇配属。その後は社会部に戻ったルドルフや黒火会の活躍でも分かるように何かが闇で蠢いているのだ。この分野に極めて鋭い嗅覚を誇るかとおおおをもってしてもその正体は見えなかった。

「はっはっはっは!!いやあいいっすよね〜!!」どうやらのぶっちが酒の飲み過ぎではめを外しているようだ。その大声でかとおおおはふと我に返った。

「仕様のない奴だ。」かとおおおは半ば呆れたような苦笑を浮かべると上着から白い手袋を取りだした。その手袋をじっと注視する者。彼の名は真神 樹。

 かとおおおさんのいない間に少しづつつけていくこの醍醐味。フフフ。

イカルス星人氏
あけましておめでとうございます(核爆)

こんばんは、ひでじいさん。諸般の事情で未読処理が滞っており、え
らく遅い挨拶になってしまいました。
そうそう、年賀メールも戴きましてありがとうございました。
こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。
何だか去年初めてここで知り合ったような気がしませんが・・。
さて、それでは私もおまけを。

「幸せな男女が増えるのはいいが、不幸せになった男のことも考えて
もらいたいもんだ」真神の祝辞で乾杯をしつつイカルスは呟いた。
「あら、誰が不幸せなのかしら」
「あ、さ、智士さん」
「どうせ私は聖さんみたいにたおやかな感じじゃありませんから」
「いえ、決してそのようなことは」
「それにしても、上手くいったもんだあの二人」英爺が言う。
「当然と言えば当然だろう」
「何故だい?俺にはとんと合点が行かないが」
「だから君は朴念仁だと言うのだよ。エズミさんに以前聞いたのだが、
聖さんは人の心が読めるんだそうだ。それを聞いて一時期私が毛嫌い
された理由がやっとわかったがね」
「それとどういう関係があるんだ?」
「わからん奴だな君は。いいかね?ということは、聖さんは陛下の秘めた想いにとっくの昔から気付いていたというわけだ。
となれば、後は陛下が告白するきっかけだけ。そこで私は件のきのこを
食わせたという訳さ」
「イカルス、それじゃお前」
「そう、言わば恋敵に塩を送ったという訳さ。少しは感謝してもらいたいもんだね、全く。まあそのうち新婚家庭にでも招いてもらうさ。」
英爺は舌を巻いた。相変わらず男女の心理の機微に鋭い奴だ。
「しかし、おまえは昔から食えない奴だな」
「お褒めに預かり光栄に存じます。もっとも、自分が寂しい独り身だ
ったらそこまで気を遣ったりはしなかったと思うがね」
そう言うと、イカルスは智士の方を見て悪戯っぽく微笑んだ。

英爺さんと智士さんのお名前を拝借しました。陛下、何かくれ。
それでは、また。


ひでじい氏
 一つのテーブルに二組の男女。エズミと英爺。イカルスと智士。
 ルドルフの話、帝劇の話、カクテル、音楽、学術…。シェヘラザードの語る話のように一座を飽きさせない話題が織物のように続いた。

「しかし、英爺。お前もその能弁をもっと…。」イカルスが苦笑する。
「もっと、何だ。」英爺も話し疲れたのか、珈琲に手を出していた。
「エズミさんに使えよ。」
「な、何を…。」うろたえる英爺に顔を紅潮させるエズミ。満座から喝采が飛ぶ。

「悪友に足をすくわれたな。英爺。もっとも私も同意見だが。」気がつくとミュラーが側でブランデーを注ぎながら立っていた。

 珈琲と紅茶の中、一座の話はますます続く。

 フフフ。ここでさらに書いておきましょう。場合によっては書き換えてみたりして。

桜嵐氏
続けて謹賀新年。(^^;

こんばんは、ひでじいさん。
遅ればせながらイカルスさんに続き、私も新年のご挨拶をば。

さらにさらに、またしてもさりげなく私の分身を使っていただきまして
真にありがとうございました!
なんだか、知ったかぶったガキンチョな所が、実際の桜嵐そっくりだったです!(爆)

ぬぉっ! 電車の時間が!!
すいませんひでじいさん。今日はどうしても早めに帰宅せねばならない
もので(・・;;;; この辺で失礼(ほんとに失礼!!)します!

それでは、本年もどうぞよろしく、お願いいたします!!



ひでじい氏
「しかしここのところ帝劇の臨時公演が多いなあ。」櫻嵐は嬉しい悲鳴を上げながらも、何か心に引っかかるものがあった。

 櫻嵐の脚本はしっかりした構図で帝劇ファンにもそのよさが徐々に浸透し、今では南國、エズミ、紀州人、智士と並ぶ評価を受けるまでに至るようになった。今では他の劇場の脚本依頼も来るようになり、新人の頃とは比較にならない忙しさである。しかし、と櫻嵐は思う。この異常なまでの帝劇の人気は社会の不安が背景にあるのではないか。櫻嵐とて知らないわけではない。事件に奔走するルドルフと黒火会を。暖炉の片隅で深刻そうな表情で報告書をまとめるミュラーや夢織、かとおおお、シュペーアを。真実を洗い出そうと分野を超えて激論を交わす真神、無法地帯、ビッテン、イカルス、英爺の様子を。
 事実を冷静に見つめなければならない。その自分が夢を描く。そこに何かが生まれるかも知れないと櫻嵐は自分なりに考えを整理していた。
 南國の奇抜な構成論。エズミの心理描写。紀州人の背景整理。智士の活写論。自分なりにこれを整理して、MOSや二階堂、花丸らと議論を深める。夢織から社会の歴史を、イカルスから人類の歩みを、英爺から地球と生命の過去を学ぶ。様々なアイデアが櫻嵐の頭脳を駆けめぐるのだ。

太正浪漫堂本館。櫻嵐に取ってかけがえのない場所でもある。

こんなものでよいでしょうか。



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