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太正浪漫堂 九(SSなのか?)

太正浪漫堂 九 筆:ひでじい氏
「なんなんだ?この人は」  筆:Ai氏
│├Aiの手の模様を鋭く見抜いた者がいる。 筆:ひでじい氏
│└「マリアさんもいいが、さくらさんもいい・・・ 筆:シスル氏
”厨房は戦場か?”  筆:智士氏
│└「智士さん。すみません。」 筆:ひでじい氏
結局、またこの人に頼んでしまうのか・・・。  筆:夢織時代
│└おもいがけず二階堂のもたらした広州料理に 筆:ひでじい氏
「ふう。こんなところか。」  筆:魔女吉氏
│└「ふふふ。どうしたんです。魔女吉さん。」 筆:ひでじい氏
│ └魔女吉絶体絶命の大ピンチ。 筆:魔女吉氏
「副支配人、こちらへ・・・」  筆:藤枝すずかけ氏

ひでじい@練習帰りです。仕事の山は取りあ... ひでじい氏
ひでじい氏
ひでじい@練習帰りです。仕事の山は取りあえず越えたけど練習がきつくて…。


さて、遅れていました太正浪漫堂 九ですがようやく公開できそうですね。うまく描けるかどうかやってみましょうか。


「浪漫堂に忍び寄る悪の陰…。米田支配人はどのような手を打たれるのですか。」(シュペーア)
「メシだ!!メシ!!じゃんじゃん持ってこい!!」(櫻嵐)
「似合いますか?」(BAT)
「次回、サクラ大戦 太正浪漫堂 九「月下の宴 櫻花の知略」太正櫻に浪漫の嵐!!」(かとおおお)


「大丈夫だ。決して僕たちは負けはしない。」(英爺)



 時が経つにつれ、酒も少し入っているせいなのだろう。座は賑やかになるばかりである。中庭の散りゆく櫻花を惜しむ者。月光の白い光とランプの暖色ある光の対比を愛でる者…。

「いずれにせよ、さっきの化け物のことは真神さんに任せようじゃあねえか。餅は餅屋、とも言うしな。頼んだぜ。真神の旦那。」米田が議論を締めるように言う。
「は!!…いや、分かりました。何とか調べてみますよ。」クリスタルガラスに包まれた灰を鞄にしまいながら真神は答えた。
「やはり、ここを狙うのは常套の手段という訳だな。まあ偶然とは言え、狙ってくださいとばかりのメンバーが集まったんだからな。」ベストのずれを気にしつつ、かとおおおが言った。余談だが彼は服装にかなり気を使う。二階堂が華やかな傾向を求めるのに対してかとおおおは服装に端正さを求めるのである。この点については二階堂とかとおおおは浪漫堂のベストドレッサーの双璧であり、シュペーアを除けば、後の学者や技師、脚本家のグループは全く太刀打ちできない状況であった。
「京極の意志を継ぐ者か。やりようも意志を継いでいるな。」黒火会がワインを置いて呟く。
「しかし、期せずしてこの浪漫堂に今回の件についての関係者が集まることになってしまいました。そこで米田支配人に御相談があるのです。」ミュラーが米田の方に向き直った。
「今回の件について、米田支配人はどのような手を打たれるのですか。このままでは彼ら学者は危険な状態です。」シュペーアも米田に助言を求めた。
「俺は今じゃあ帝劇の支配人だ。何の役にも立てやしねえ。」そう言うと米田はグラスを傾けシャンパンを飲み干して、テーブルに置くとミュラーとシュペーアに言った。
「…だが、みなさんの御苦衷はお察しする。政府や軍の知人に頼んでみよう。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」夢織が米田の言葉を受けてほっとした様子で米田に礼を言った。

「それから、何かあったときは必ずこの浪漫堂に来ることだ。」米田の言葉に一同はさっきのシルスウス鋼の防御壁を思い出し、あっ、と言った。
「支配人…、あれは…。」夢織が何か言おうとしたとき、米田は口に人差し指を当ててささやいた。
「夢織の旦那、それはいいっこなしだ。今度の敵がはっきり分かるまではな。」
「分かりました。」夢織も頷く。

「それはそうと、支配人、先程から料理が凝ったものが出てくるようになってるんですが。」横で真剣に話を聞いていた大神がふっと話題を変えた。大神一流の技かも知れない。
「そう言えば洋風、和風、中華といろいろな料理が出てきてますよ。大神さん。」さくらも不思議がる。
「大神い〜。こんな料理を食べられて俺は幸せだなあ〜。」加山は笑顔で次から次へと食べている。
「それに日本人好みの味にしてあるわ。誰がシェフなのかしら。」かえでも笑顔で応える。

「みなさん、御満足いただけましたでしょうか?」新しい料理を持ってきたのはウエイトレス姿のBATである。
「BAT君、どうしたんだ?そのウエイトレス姿は。」ミュラーが豆鉄砲を食らったような顔をする。
「浪漫堂の人に無理を聞いてもらったんです。似合いますか?」
「ああ、よく似合っていますよ。」夢織は笑顔でBATを賞賛した。実は夢織の手配で制服を借りたのだ。
「ありがとうございます。あ、そうそうこの料理なんですけどね。二階堂さんが厨房でつくっているんですよ。」

「何いいいいい!!!」この発言に浪漫堂本館は震撼した。

「悔しいが、うまい。奴に水をあけられたな。」悔しがるかとおおおに、
「君も一つ芸を身につけろよ。おっと文芸はだめだな。ここのみんなは全員できるからな。」とシュペーアが言葉を交わす。

 一方、カンナと櫻嵐は二階堂のつくった莫大な料理を前に勝負をしていた。

「あの兄ちゃんの味付けは結構いけるねえ。うまいや。」カンナの前からポンポン料理が消えていく。
「今のところは料理を楽しんでいられますねえ。」櫻嵐もガシガシ食べながらカンナに応じる。
「御飯おかわりだ!!」
「望むところです!!」

 豪快に食べる二人の後ろでレニが淡々と胃薬と消化促進剤を用意していた。
「備えあれば憂いなし。」

「無茶だよ。櫻嵐さん。」ビッテンがささやく。
「絶対に無茶デース!!カンナさんに勝てるわけがありませ〜ん!!」珈琲を片手に織姫も首を左右に振る。
「ああ、櫻嵐さんには悪いが賭にはならんな。」クリアルもぽつりと言った。

「まあまあ、そう言わんと。櫻嵐さんをいっちょ応援してあげまへんか。」無法地帯が助け船を出す。
「そうだよ〜。櫻嵐のおにいちゃんもがんばってるんだよ。」アイリスも櫻嵐をかばう。
「まあ、勝負は最後まで見んと分かりませんわ。櫻嵐はんもカンナはんもがんばって!!」紅蘭も二人を応援していた。


 その頃、二階堂と花丸は、浪漫堂別館の厨房で忙しく働いていた。
「…二階堂。お前の料理が天才的だというのは認める。」レタスを洗いながら花丸が二階堂に言った。
「そうか、友よ。やっと分かってくれたか!!」紹興酒を振りかけて炎を出させながら二階堂が喜色満面で応える。
「いや、言いたいことはそうじゃない。要はなぜ俺も働かなければならないんだ?」

「いやあ、友情だなあ。」
「何が友情だ!!」

 とそこに智士が急いでやってきた。
「料理が足りません。料理長さん、二階堂さん、お願い。」その声を聞いて浪漫堂総料理長の目がきらりと光る。
「きょうは食べっぷりがいいねえ。よし私は鴨料理をやる。二階堂君は中華で頼むぞ。」
「ふふふ、そうこなっくっちゃあ!!よし青椒肉絲だ!!いくぞ!!花丸!!」
「うわあああ!!」

 厨房は修羅場と化していった。

「しかし、本当に甘党なのねえ。」エズミは目を細めながら英爺を見る。
「そ、そうかな?」英爺はフルーツゼリーを食べ終えると照れ隠しに紅茶を飲んだ。
「でも果物が好みというのはよく分かったわ。デザートも全部果物だったし。」
「エズミ君、よく観察してるじゃないか。ちょっとはその気になってきたか。」さっきまで横でマリア、すみれと話していた南國がエズミを冷やかす。
「そ、そんなつもりじゃ…。」
「恋をする女性は素敵ですわよ。」すみれも澄ました表情で言ったのでエズミはティーカップを落としそうになった。
「ハハハ…。もう何を言っても逃れられないみたい。」

 と、そこにイカルスも立ち寄った。イカルスは妙に澄ました表情で英爺に近寄り小さな声で言った。

「好きな人の前では分からんこともないが、もっと力を抜け。経験者として親友のお前に助言してやる。」
「!!」

 これを聞いた一座は爆笑した。マリアまでが笑っていた。しかし英爺とエズミには針のむしろだったに違いない。

「いやあ、うまいなあ。さあ、どんどん行こう。明日からまた厳しい仕事だしな。」魔女吉も二階堂の料理をどんどん食べながら言った。
「君も男として食っておくべきだろう。さあ行こう!!」猫侍を強引に食べさせる魔女吉。
「だから、私は女と…。」
「おお、このエビシューマイは絶品!!こっちの鳥もスパイスが効いてるぞ!!」
「だからあ〜。」
「おお、シスルさん。久しぶりです。」猫侍の話も聞かず、魔女吉はいきなりシスルに話を振る。
「ははは、まるで国際博覧会のレセプションみたいだな。まさか浪漫堂で本格中華が食べられるとは…。」

 そして、シスルはにっこり微笑みながら猫侍を見た。

「さあ、君もこんなうまいものを食わないと男がすたるぞ!!」

 猫侍の目に光るものがあった。

 こうして盛り上がる宴会場の中を颯爽と歩いてくる者がいた。そしてその者はかえでの前に立つ。
「副支配人。準備整いました。マグネシウムも御用意してあります。」
「御苦労様。鈴掛さん。」みおや晃子、加山と話していたかえでは振り向くとにっこり微笑んだ。
「鈴掛、遅いぞ。」夢織が気づいて向かってくる。
「済まない。準備をかえで女史に頼まれたので遅れたんだ。」
「準備?何のだ。」ミュラーが首を傾げる。
「それは後のお楽しみですよ。閣下。」鈴掛は片目をつぶってみせた。

「しかし聖、とんでもないことになったな。」ルドルフは聖に感慨深げに話しかけた。
「本当に、今でも信じられませんね。」聖も今日一日のことを振り返っているようだ。
「大変なことになった。俺の友人が全部関係者になっちまった。俺は記者だ。何もできないが、あいつらを護りたいんだ。」

 ここまで言うとルドルフは聖の方に向き直った。
「頼む。俺たちのために、そしてこの太正浪漫堂のために力を貸してくれないか?」
 聖はしばらく俯いていたが、やがて顔を上げて言った。
「ええ、みなさんのために、そしてルドルフさんのために私でできることがあれば。」
「すまない。」ルドルフは聖の手を取り、深い感謝の気持ちを込めて握手した。

「陛下。俺たちも逃げないぜ。」
「イカルスか。」

 ルドルフと聖が振り向くとイカルスとエズミに支えられた英爺が立っていた。

「そうです。みんなで帝撃に協力してがんばっていこうじゃないですか。」
 英爺はこう言うと、エズミに向かってこう言った。

「大丈夫だ。僕たちは負けはしない。」

「騎士の誓いじゃないが、みんなでやっていこう。」ルドルフと聖の手の上にイカルスが手を重ねる。英爺とエズミもそれに習う。

 5人の上にもやはり月がある。珈琲と紅茶、絶妙の料理に乗って太正浪漫堂の宴が続く。ここは太正浪漫堂。芸術と文化の交錯する場所。


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 何かオムニバス形式みたいになっちゃいましたがいかがでしたでしょうか。イメージとしては暖かいミュラーさんと夢織さん、手堅いシュペーアさんとかとおおおさん、冒険活劇風のイカルスさん、深い考察力の真神さんを機軸にまとめてみました。
 あと、エズミさんには申し訳ないですけど花を添えていただきました。御無理を言えるのがエズミさんくらいのものですから。感謝します。

Ai氏
「なんなんだ?この人は」
Aiはとなりでいきなり壊れてしまったシスルを見て唖然とした。
さっきまでは、なかなかしっかりした人だと思っていたのだが、かのさくら嬢を目の前にした途端、世界を真っ白に染めるかのようなダジャレを連発していた。
それを聞くさくらと大神も、ひきつったような笑顔を浮かべている。
Aiはこのふたりも中々人間が出来てるなと感心した。
「いや、ミーは紅茶がベリベリライクなんですけど、ここのカフィもいけるんですよ」
そこで一息つくのか、シスルは珈琲を一気に喉に押し込んだ。
「うわちゃたあたたたたた!」
当然の結果として、熱さのあまり悶絶するシスル。
「まあ、大丈夫ですか」
慌ててさくらが駈けより、蹲っているシスルの背中に手を伸ばす。
「ら・・・らいりょうふれす。おしんふぁいにはおよひまへん」
意味不明の言葉を紡ぐシスル。
「水、水・・・。あ、氷水がいいですね。わたし、貰ってきますからちょっと待っててください」
さくらが厨房の中へと入っていった。
その後ろ姿をやや複雑な表情をして見送る大神に、Aiは声をかけた。
「ご挨拶が遅れました。大神さんですね。私はAiという者ですここに来たのは初めてですが・・・スゴイ日に来てしまったものです。それとも、これが日常なのですかね」
そう言って、微笑しながら薄い白手袋を外しながら右手を大神に差し出す。
「いや、普段は文士さんや記者さんの集まる場所らしいですよ。今日はたまたまでしょう」
大神も同じく右手を伸ばした。Aiの手を握る瞬間、Aiの右の手の平に模様があるのを見てとったが、詮索はしない。
「それは・・・私が幸運ということですね。こうして、大帝国劇場の人と知り合いになれたわけですし、花組の舞台女優とも会えたし」
再び白手袋で右手を覆う。その瞬間、大神はその右手の模様が開いた眼の形であることを見てとった。Aiはその視線に気づいたが、そのまま右手を下ろす。
「何をなさっている方なのですか?」
大神がAiに問う。
「・・・・・・まあ、ただの暇人ですよ。仕事は・・・・・・人々に夢を与えること・・・かな?」
なんだかよくわからない曖昧な返答をして微笑む。
「と言っても、花組の皆さんには遠く及びませんけどね」
Aiが視線を巡らせると、そこにコップいっぱいの氷水を持って、さくらが現われた。
「はい、シスルさん。お水です。・・・・・・飲めますか?」
さくらがシスルの頭を優しく抱えて、その口元にコップを運ぶ。
まだ熱さで痛いのだろうが、さくらに頭を抱えられてシスルは幸せを噛み締めるような表情をしていた。
「マリアさんもいいが、さくらさんもいい・・・・・・」

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シスルさん、ごめんなさい!
せっかく浪漫堂の扉を開けていただいたのに、火傷させちゃいました。
でも、さくらに介護させてありますので、許してくださ〜い。
前回カキコしなかったから、そろそろ皆さんに自己紹介しとかないと・・・・・・。


ひでじい氏
Aiの手の模様を鋭く見抜いた者がいる。大神の横にいた夢織の温厚な瞳は一瞬鋭くなってその模様を見抜いた。
「あの模様は?…。」

 米田の横で見ていた真神は瞬時に理解していたのかも知れなかった。
「あの模様は…。」

 かえでと談笑していた加山が右の目でその模様をとらえた。
「あの模様は…?!」

 ルドルフと談笑していた聖の瞳にもその映像がとらえられた。
「あの模様は!!」

 そして青年外交官の目にもその模様は映し出された。
「何奴だ?!」

 一瞬、浪漫堂の視線が集中する。しかし、数秒後にはこともなく時が流れ始め、Aiの前には大神のさわやかな微笑のみが残っていた。

 ひでじいです。模様の部分が妙に印象に残ったのでこんなレスをつけました。

シスル氏
「マリアさんもいいが、さくらさんもいい・・・・・・」
先ほどまで何とか引き締まってたシスルの表情が、瞬く間に蕩けるように崩れ出した。そんなシスルに引きつった笑みを浮かべながらも、さくらは気丈に介抱を続けている。
「随分わかりやすい人だな・・・」
呆れたようにか、感心した風にかはわからないが一人呟いたAiは、そんなシスルをさして気に留める様子もなく辺りを見回した。それぞれの席で、皆が思い思いの格好で、思い思いの時間を楽しげに過ごしている。
訪れた誰もが幸福な気持ちになれる。・・・そんな不思議な場所、浪漫堂。
Aiは僅かに口元を緩ませ、空になったカップを指で弾き微かな音を鳴らした。
「・・・すみません、珈琲をもう一杯」

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構いませんよ、Aiさん。こんなシスルで良かったら、好きなように使ってください(笑)
火傷でもなんでも厭いません。たとえ火の中、水の中・・・って、浪漫堂が炎上!?浪漫堂に台風直撃!?ということになるのか(爆)

智士氏
”厨房は戦場か?”
追加オーダーを申し出た智士は目を丸くした。
浪漫堂総料理長は鴨のローストを均一な薄さでスライスし、オレンジソースを
掛けると鴨のオレンジソースがけの一皿が出来あがる。
一方、中華包丁を握った二階堂は中割りしたピーマンを包丁の甲で軽く潰すと
後は目にも止まらぬ早さで千切りをして行く。豚肉のスライスをおもむろに
千切りにすると後は火力の強いコンロに中華鍋を掛け、一気に青椒肉絲を
完成させる。
「す・凄い!これがプロの技なんだ!!」
次々と出来あがってくる料理の皿を前にただただ感動している智士を
「智士さん、そんなとこに立っていると邪魔ですよ。料理が運べないじゃないですか」
振り向くとウェイトレス姿のBATがトレイを抱きしめて立っていた。
「あ、BATさんごめん。つい厨房の様子に見とれてしまって」
「良いですよ。それより運ぶの手伝ってもらえませんか?」
「そ・そうだね、一人で運ぶには多いから・・・。すみません、エプロンありませんか?」
智士がそう尋ねるとウェイトレスの一人が
「すみません、男性用のエプロンは無いんです・・・」
がーん。自分の風体が男と間違えられると言う事をすっかり忘れていた智士だった。
「あ、この人はぁ」
BATが訂正しようとするが、智士はそれを押し留めた。
「いいんですBATさん。私が間違ってました。私にウェイトレスなどと言う女性らしい
風体が似合うはずも無い。でも!シェフコートなら着れるはずです!」
「・・・まさか・・・」
「ふ、板前さんにはなれないけど、追いまわしくらいなら私にだって出来るはずです!
って事で、二階堂さん、花丸さん、お手伝いします!」
「あ、智士さん!!」
「BATさん、後の事は頼みましたよ」
そう言うと智士は戦場と化している厨房へと身を投じた。
「智士さん・・・」
心配そうに見守るBATだったが、彼女は気が付かなかった。
何を隠そう智士は女のくせに給仕が不得意なので、うまい事逃げられたと
厨房に逃げ込んだのだった。
「智士!何か得意料理はあるのか?」
「田舎料理なら作れます!」
「話にならん!」
「えーそんなぁ〜。きんぴらごぼう大得意なんです。あと千切りだけならプロ級です!」
「野菜切り決定!このたまねぎとにんじん、たけのこ酢豚用だ!」
「了解!」
とりあえず役に立てそうだと包丁を握る智士だった。

にぎわう人に湧きかえる浪漫堂。ようやく普段の浪漫堂へと戻って行く。

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英爺さん、こんばんは。
そして、お名前を拝借しましたBATさん、二階堂さん、花丸さん
勝手にお名前をお借りしました事、お詫びいたします。

ふぅ、やっと浪漫堂が普段の様子になってきましたね。
何となくほっとします。
そんな訳で、ちょっとでも浪漫堂のお手伝いができればと厨房へ
入ってみました。
一応料理くらいはできるので、猫の手程度には役に立つでしょう。
それでは、この後も楽しみにしています。

ひでじい氏
「智士さん。すみません。」二階堂の面に薄く感謝の表情が見えたが、それはすっと消えて本来の飄々とした彼の表情に戻る。

「次をお願いします。」BATのさらりとした髪がなびく。何か生き生きしているなあ、などと花丸は思いながら二階堂に次のメニューを質問した。

「さあ、次は何で行く?」あり合わせの材料を駆使する二階堂もそろそろ限界かな。花丸の頭をふとそんなことがよぎる。だが、二階堂の答えは予想に反して明快だった。

「これを使うよ。」二階堂がプロパン冷蔵庫から取り出したもの、それはきのこだった。

「松茸、椎茸、しめじ、えのき、舞茸、マッシュルーム…、これだけ集めれば大丈夫だ。これと鶏をいっしょに炒めて、上からオイスターソースでつくったあんかけをする。智士さん、鶏ガラのだしの方は?」
「十分です。」智士はすばやくきのこをより分けながらだしもチェックする。

「花丸。きみはきのこをすばやくほぐして種類別にわけておいてくれ。智士さんは鶏ガラのだしをこっちの鍋に入れて…。」
「二階堂さん、何か仕掛ける気ですね。」智士がニコリと笑う。
「薬味スープと同時に出して一気に味を膨らませる。」二階堂も我が意を得たりと智士に言葉を返す。

「しかし、二階堂さんはどこでこんな芸を学んだんですか。」智士は作業に追われながら二階堂に話しかけた。

「ああ、これは中国の広州で学んだんですよ。アメリカの前は香港関係の仕事も多くて広州や香港でずっといたんです。手持ち無沙汰だったんで料理を現地の人と研究してましてね。ただ、自分なりに考えてもうすこし薄味で素材の味を引き出せば広州料理も世界に通じる物があると考えまして…。」二階堂は相変わらず飄々と中華鍋を持ちながら話す。

「それよりも智士さんこそ結構器用ですね。」
「結構は余計ですよ。フフフ…。」確かに悪戦苦闘している花丸に比べ下ごしらえは抜群に速い。

「まあ、私も手料理くらいは十分できますからね。」
「二階堂、参ってるのはこっちだよ。」花丸がきのこを洗いながら悲鳴を上げる。

「花丸、もう少しの辛抱だ。さあ、いくぞ!!智士さん、オイスターソースを。」
「分かりました。」

 浪漫堂の厨房が熱く活気を帯びてきた。これらの料理の大半がカンナと櫻嵐の胃袋に直行する。二階堂、智士、花丸の額にはそれぞれうっすらと汗が浮かんできた。

 ひでじいです。御要望にお応えしてこんなレスSSをつけましたがいかがでしょうか。


夢織時代
結局、またこの人に頼んでしまうのか・・・。

シスルとAiの二人を紹介してから、夢織はまた議論に戻った。
夢織の推論は魔物の証言だけで証拠に乏しい。
無法地帯の言い出してきた山海怪妖蒐集録に真実があるのかもしれないが、その中で彼の覚えていた部分はどうも違うものの記述のようだ。
一番真実に近いと思われる真神の推論も、まだ確証を得ていなかった。
その他古今東西、ありとあらゆる可能性をつつきあわせて、
北欧神話から八百万の神まで討議してみたが、結論は出なかった。

先の魔物の正体である。

「結局、どの可能性もある、とでも言うしかないのかな」
疲れた喉を潤すように、さめかけてしまった紅茶を流し込んでからミュラーが深々とつぶやいた。
「情報が不足しすぎていて、真実に至れん」
ルドルフと黒火会の記者二人が、仕事の癖で書き留めていたメモを閉じた。
結局、こちらに配られた手札は、ここまでに過去の記録が狙われているということや、
浪漫堂と、帝劇・・・いや、帝撃が狙われていると言うこと。
そして、先刻暴れ回った魔物だけだ。
幸い、魔物の破片というか、残骸はある程度回収されている。
正確な分析にかければ何かわかるだろう。
確か、ビッテンか二階堂が良い分析機械を持っていたはずだ。
後で彼らに頼んでおこう。
真神に頼んで、回収した魔物の灰を少し分けてもらった。
世界の魔物の中には、体内の放射性同位元素率に特徴を持つ種類もあるらしい。
ドイツかどこかの論文で読んだ内容を思い出そうとするが、どうもうまくいかない。
大学に帰ったら、年代測定用に調査した物理学の論文をあさらないといけないだろう。
「いずれにせよ、さっきの化け物のことは真神さんに任せようじゃあねえか」
米田が告げた言葉が、この場での結論となった。
また、この人に頼ってしまう。
真神の、法術や魔術その他に関わる知識は浪漫堂屈指のものだ。
今日の討議でも、一番真実に近いと思われるのが彼だ。
彼が本気で調査したら、おそらく真実に至れるだろう。
夢織は、それは疑っていない。
しかし、それは裏返せば、彼がもっとも敵の標的になりやすくなると言うことだ。
米田に向かってきっぱりと答える彼の横顔を見ながら夢織は、身代わりにすらなれない自分を悔やんでいた。


それにしても・・・・、米田の言葉には、かなりの真実が隠されているようだ。
少なくとも、この浪漫堂はただの喫茶店ではない。
増して、これだけの人々が平然と集まれる場というのが・・・。
少し、帝都の地脈も調べてみる必要があるようだ。
今日は何かと宿題が多い。
米田の口止めで、その辺は口にしなかったが。

大神が話題を取り替えたところで、夢織は初めて料理に気がついた。
気がついたところで、腹が減ってきた。
人間は食欲の前に無力かもしれない。
勝手な自己弁護を頭の中で考えつつも、この話はいったんここでうち切るべきだろうとは思った。
それなら、料理をいただくとしよう。
「ん?」
食べたところで、頭の中に疑問符がつく。
この味、実にうまいのだが・・・浪漫堂の味ではない。
というか・・・どこかで食べたような・・・。
悩んでいるところで、ウエイトレス姿のBATが新しい料理を持ってきてくれた。
似合うのではないだろうかと思っていたが、想像以上である。
夢織は、定型通りの誉め言葉しか出てこない自分の甲斐性の無さを呪った。
しかし、その呪いは直後に中断させられた。
これらの料理、二階堂がつくっただと・・・・。
それで合点がいった。
前に、二階堂が作った料理をおっかなびっくり食べたときの味が、ちょうどこれに近い。
実においしかったので、またやってくれと言っておいたのだが、どうやら実行に移したらしい。

にぎやかな浪漫堂の光景を眺めながら味わう二階堂の料理は、前よりもずっとおいしくなっていた。

*************************************
こんばんは、夢織時代です。
前回と今回の間の話を勝手に作ってしまいました。
今回はかなりの方の名前を使わせていただいてしまいました。
あわせて、ごめんなさい・・・・・・。

今回の浪漫堂は、オープンカフェのつづきのように、
温かい話ですね。
うん、やっぱり、浪漫堂にはこんな空気があう。

大学の研究室では、分析というとX線回折ぐらいしかやっていない夢織でした。
NMRは見たことはあるんだけどなあ。

ひでじい氏
 おもいがけず二階堂のもたらした広州料理に一座が沸く。意外に味はあっさりしており、米田も大いに食欲が沸いているようだ。ワインとも良く合う。談笑するミュラーと夢織、大神、さくら…。後からマリアも加わり、まさに大帝國劇場のレセプションに立ち会ったかのような錯覚すら覚える。

 珈琲で一息入れる夢織の視界には、右側で楽しげに話し合うイカルスと英爺、エズミ、そしてそれを横で聞く菫月、すみれの姿がランプに照らし出されて輝いている。イカルスと英爺、いいコンビだ。夢織は目をやや細めてその姿を見守った。
 一方、左側ではカンナと櫻嵐の大食い勝負の前に珠玉の逸品が次々と姿を消していった。紅蘭や織姫、ビッテン、無法地帯を始め、MOSや紀州人なども入り乱れ黒山の人だかりである。
 そして中央では加山やかえでを交え、アイリス、レニの間に魔女吉、Ai、猫侍、晃子、みおなどがサロンを形作っている。
 いつもはそれぞれの職場で、そして研究の場で一生懸命になってがんばるそれぞれが、こうやって文化と芸術を語り合う。それはあまりにも短い時間だが、なんと貴重ですばらしい刻なのだろう。夢織にとってはここは失うことのできない宝石のような空間に思えた。

「しかし…。」夢織は顔を曇らせる。彼らの大半は再び帝都を覆う黒い闇の存在を知ってしまったのだ。期せずして「帝撃」のあまりにも深刻な現実に向き合ってしまった彼ら。果たして大丈夫なのか。

「夢織さん、珈琲はいかがですか。」珈琲を勧める者がいる。ふと視線を上げると大神が微笑してコーヒーカップを持っていた。もし彼が帝撃隊長なら幾多の難局を切り抜けてきたはずだ。彼なら…。

「よろこんでいただきます。」夢織は丁重に受け取り新たな珈琲を口に含んだ。芳醇な薫り、そして苦み。これが自分の率直な気持ちだな。夢織は傍らのミュラーを見た。ミュラーは黙って頷いてくれた。

 ひでじいです。やはり夢織さんの文章には浪漫が似合う。こんな感じで書かせていただきました。



魔女吉氏
「ふう。こんなところか。」
魔女吉は人心地つくと周りを見渡す。
「?猫侍くんがいない。」
暖かいはずの会場に流れる寒風。
「・・・・・・寒い。」

そこで殆どいない人脈の一人、花丸様を探した。
「・・・・・・いない。」
それもそのはず、厨房で大活躍だからだ。

最近は帝都放送の企画からラジヲの声がかからない。
細細と、洋物の小説世界を「SSマガジン」で日本風にアレンジした物で食い繋いでいる。
しかも、そのページを使ったレトリック小説を掲載した後、悪い遊び作家のレッテルが貼られた。

「そうだ、イカルス師匠なら話くらい・・・」
しかし、浪漫堂重鎮イカルスには人だかり。あれが本来の姿。
「・・・・・寒い、寒いよ。」
土蜘蛛の写真を握り締め、立ち尽くす魔女吉。
なにかに付け込まれそうな、危険な雰囲気を醸し出していた。

*****************************************

というわけで、もう一波乱起こすなら、悪役に使ってください。
いたずらっ子の悪い子はお仕置きが必要です。
無理を承知で権之助坂。お願いしますぅ♪
ではでは♪

ひでじい氏
「ふふふ。どうしたんです。魔女吉さん。」魔女吉が振り向くとそこには英爺の姿があった。
「あ、極悪犯人め。」
「まあまあ、そう言わずに。」英爺は着席を求める。

「あれ、君の心の支えのエズミ君はどこに行った。」魔女吉は意地悪く言う。
「心の、はどうだか本人に聞かないと分からないが、今はBAT君を手伝ってるよ。」
「何だ。所詮代用品かい。」魔女吉はすねてしまった。

「まあまあまあ。取りあえずストロングコーヒーでも飲んで。本当は猫侍君に逃げられて話相手に振られていたんだろう。図星かい?」
「そういう言い方は好きじゃないな。」
「面白い奴を紹介しようか。お〜い、ビッテン!!」

「何だよ。英爺さん。今忙しいところなんだからさ。」ビッテンがやってきた。
「すまんすまん。こちらが魔女吉さんだ。放送局ディレクター兼放送作家。こっちはビッテン、化学工場に勤める残業の鬼だ。」
「残業は好きでやってるわけじゃな〜い!!」
「ところで、魔女吉君が元気がなくて困ってるんだ。例の奴ないかな。」
「英爺さん、いいの?あれは前にMOSさんに試してえらいことになったじゃないですか。」
「頼むよ。」
「しょうがないな。」ビッテンは内ポケットから毒々しい色をした液体の入った小瓶を取り出した。
「じゃあ魔女吉さん、ぐいっと空けな。」
「ま、待ってくれ!!これを飲むとどうなるんだ。」魔女吉の問いに英爺とビッテンは黙ってにやりとする。
「さあ、覚悟も決まったし、一気に行こう!!」
「待ってくれ、待ってくれ、ああああ!!」

 魔女吉さん、あんまり寂しそうだったのでこんなレスをつけちゃいました。ごめんなさい。



魔女吉氏
魔女吉絶体絶命の大ピンチ。
そんな時、そこに、ロンゲと愉快な仲間たちの一員が紛れ込んでいた。
背の低い男。仮に「鼓膜」としよう。
「けけけ、桐島カンナ、ロンゲ様の仇は俺が取るぜ!」
そこに素早く魔女吉は目を付け首根っこを掴む。
「お前が呑んでみろ」
首筋に両手の親指をめり込ませ、回す。
「げ、げええ!呑んじまった!・・・ってこれ何?」

そこにビッテンが顔を出す。
「これが、新薬144/1の『このキットにメッチャー=ムチャは入っていません』だ。」
「うげえええ、144倍?そ・そんなことしたら!」

奴の姿が変化し始める。
「フォフォフォフォフォフォフォ」
セミの様な人間型の生き物に変化した。(ハサミ付)

「うーん?まちがえたかなあ?」
ビッテンがトキの偽者のように呟く。
「とりあえずコンタクトしてみますか。」
英爺がその生物に絵を描いたりするが、効果が無い。
そこで魔女吉が現れる。
「私がなんとかしましょう。ピレピレポピレピレピ。」
「君の宇宙語は判りにくい。」
側から声をかけたのはイカルスだった。
二言三言会話をすると、元「鼓膜」は帰っていった。(地球以外)

「地元柄、宇宙人は慣れているんですよ。」
その場にいた全ての人が心の中でつっこんだ。
『地元って、どこ?』

秘密の多い男イカルス。しかしいろんな意味で頼れる男だった。


ひでじいさまのRESから自然なストーリーを作りました。
ではでは♪

藤枝すずかけ氏
「副支配人、こちらへ・・・」
「すみません。手間取ってしまって。何しろ突然の抜擢だったもので・・・」
「何言ってるの。前からやりたいって言ってたじゃない?でも、今回は仮採用よ。正式な採用は今後の働き次第だから、しっかりやりなさいね」
「はい。重々承知しております」
「で、どう?」
「はい、それは・・・・。」
すずかけの報告した内容は、和やかな浪漫堂の面々の笑い声にかき消されてしまって、聞き取とることはできかった。
「・・・ということですが」
「ええ。わかったわ。それでは現状待機、状況次第でまた追って指令を出すわ」
「はい。あと・・・」
「何?」
「・・・もみじさんが見えていますが・・・」(菫月さん、ありがとう!)
「・・・・・・・・・・!」
「なんだ、二人で内緒話なぞしてどうしたんだ?」と英爺はいぶかしげに聞く。
「・・・うっううん。何でもないわ。(すずかけ、いいこと!もみじは絶対に入れちゃダメよ、この神聖かつ優美な雰囲気が壊れるから。適当に返してちょうだい)」
「しかし!」
「だぁいじょうーぶ!浪漫堂名物「がんがん玉」でもつけて返せば文句は出ないわ」
「・・・・はい」
「じゃ頼んだわよ」
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きゃーっ、ごり押し成功!!ごめんなさい。でもすっごいうれしかったです!!どのようにでも使ってください。ありがとうございます。



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