思い出の有楽町帝撃通信局
浅草でのデート序章

 サクラ大戦帝撃通信局Fromお台場、第13話より

解説者: 本日ご紹介するのは、リスナーからの希望が多かった、アイリス嬢と大神少尉のデートの場面であります。
時は太正十二年七月、アイリス嬢の誕生日に浅草でデートすることになった大神少尉。
十歳とはいえ、ずいぶんおませなアイリス嬢にたじたじの大神少尉ではあります。
帝鉄のチンチン音
扉が開く音
あふれ出す人々の賑わい
アイリス よ、い、しょ、っと。うわー、すごいひとぉ・・・。ほーら、おにいちゃん、はやくはやくー!
大神 ハハハッ、そんなに急ぐなよ、アイリス。慌ててタラップを降りたりしたら、怪我をするよ。
アイリス んー、せっかくのデートなんだから、おにいちゃんがリードしてくんなきゃだめでしょー。
大神 はいはい。でも、浅草っていっても結構広いからなぁ。デートといっても、どこに行けばいいのか。
アイリス わぁー、ねぇねぇ、おにいちゃん!あのたかいのはなに?
大神 ん?あれって?ああ、浅草十二階だね。浅草名物の一つだよ。最上階には展望台があるんだ。
アイリス ふーん。アイリス、いってみたいなあ。
大神 そうだな、あそこならそんなに遠くないし・・・、行ってみようか、アイリス。
アイリス うん!いこういこう!
解説者: 浅草十二階。現在(平成)ではもうありませんが、明冶から太正にかけては帝都の観光名所として、
その名の知られた有名な高層建築であります。
内部には、当時としては珍しかったエレベーターを備えておりました。
エレベーターの駆動音
到着の鐘
扉の開く音
アイリス うわー、ひっろーい!ここがてんぼうだいだね?
大神 そうだよ。窓によって見てごらん。
アイリス わぁーあ、たかくて、めがまわるー。キャハハハ・・・、みてみて、おにいちゃん。
ひとがあんなにちいさくみえるよ。
大神 ほんとだ、でも上から見ても、さすがに浅草はすごい人出だな。人、人、人。
アイリス ねぇ、おにいちゃん。ここからアイリスたちの帝劇はみえないのかなぁ?
大神 ハハハッ、さすがに銀座までは見えないよ。でもほら、あの煙がたくさん上がっている辺りが、
赤煉瓦の東京駅だろ。あの向こうが、銀座だよ。
アイリス ほんとだぁ、ずうっとむこうなんだね。つまんないの。
大神 帝鉄で来るとあっという間だからね。
ほら、アイリス。あっちが下谷だ。お金持ちのお屋敷がたくさんあるんだよ。
アイリス ふーん、アイリスのおうちみたいなおしろはないの?
大神 ハハハッ、帝都はフランスみたいに広くないからね。それからこっちが・・・。
解説者: 華の帝都を一望に収める。当時、浅草十二階からの眺めは絶景といわれておりました。
ただ、この十二階。残念ながら、実在の大正時代にはかの関東大震災で半分が壊れ、
後に陸軍工兵隊によって、爆破されたのであります。
浅草十二階こそ、まさに、古き良き帝都の象徴であったといえましょう。
エレベーターの駆動音
解説者: 大神とアイリスは、帝都の眺めを満喫したあと、浅草十二階をあとにしたのであります。
到着の鐘
扉の開く音
人々のざわめき
案内嬢: ハイ、有り難うございます。
アイリス とってもきれいだったね、おにいちゃん。
大神 そうだね。さ。さて、次はどこに行こうか。
アイリス あれ、ねぇねぇ、おにいちゃん。あそこのおねえちゃんたち、なにやってるの?
大神 え?あ・・・、あれは・・・、
アイリス みんなおけしょうして、とってもきれいだね。おじちゃんたちと、なにをおはなししているのかなぁ?
大神 あ、あれは・・・、その・・・、困ったな・・・。
解説者: さて、ここでご説明せねばなりますまい。大神少尉が説明に窮しましたのも道理。
この女性たちは、いわゆる娼婦。道道で春をひさぐ女たちであります。
余談ではありますが、当時「十二階下の女」と言えば、娼婦を表す言葉として有名であり、
いっときには、ここに立つ女たちの美人コンテストまで開かれていたそうで。
アイリス ねぇねぇ、おにいちゃん。おしえてよぉ。
大神 ま、まあいいじゃないか、アイリス。 そうだ!ほら、あっちに面白そうなお店があるよ・・・。買い物に行こう。
アイリス うん!アイリス、あそこの宝石を売っているお店に行きたーい!
大神 いいっ・・・!?ま、待ってくれアイリス!宝石なんて、買えないぞ!
アイリス いいから、はやくはやくー!
大神 あ、アイリス・・・、
振り回される大神を示すように音楽。
解説者: と、大変残念ではありますが、録音盤はここまでで終わりとなっております。
こののち、アイリス嬢と大神少尉がいかなる事件にあったかは、
ゲーム、サクラ大戦をご覧下さいますよう、お願いすることにいたしまして、
思い出の有楽町帝撃通信局。本日はこれにて。
 以下、要望の募集の言葉へ。


前の話へ。
次の話へ。


思い出の有楽町帝撃通信局、目次に戻る。
二階に戻る。
帝劇入り口に戻る。
夢織時代への扉に戻る。