太正十六年
「此岸にて十年」


 誕生日に活けた花はそろそろしおれようとしていた。

 何という名の花であるのかは知らない。
 花屋で買った物ではなく、毎年この時期に野から摘んでくる物だからだ。
 咲いているところも尋常なところではない上に、図鑑を見ても載っていなかったから、珍しい花なのかも知れない。
 かといって、わざわざ植物学の教授のところに持ち込んだら、彼らを秘境に案内しなければならなくなる。
 結局、名も知らないまま十年が過ぎた。

 細いが、すっと強く伸びた茎を何対かの繊細な葉が飾った先端には、青色をした五弁の花が咲いている。

 それを、今年は二十三本。

 十年以上前からこの研究所で花瓶として使い続けている色つきガラスの細長瓶に活けて、机の上に飾っている。
 野郎だらけの大学研究室には似つかわしくない繊細な花瓶だった。
 その先に咲いている花の表情もまたその瓶と同じくらい繊細で、似合わない趣味だと言われている。
 そうだろう。私の趣味ではないのだから。

 摘んだときはもっと深みのある明るい青だったのだが、花の命は短い。

 花の命は、短い。

 今年の春に見た帝国歌劇団花組の公演が、ふと思い出された。
 舞台以上に、アンコールで歌われた歌が忘れがたいものだった。

 花の命は短くて、か……。

 命短すぎた花を、私は知っている。
 年を取って、自分の名前さえ忘れてしまったとしても、そのことだけは決して忘れないだろう。
 忘れて冥土に行こうものなら、なんと言って叱責されるかわかったものではないし、そもそも会わす顔がない。

 私が帝国歌劇団の舞台を見に行くのは、その花を思い出させてくれるからだ。
 生きていれば、あの少女たち……そろそろ女性たちというべき年齢だ……とほぼ同い年。
 いや、それだけではない。
 彼女たちが舞台上で時折垣間見せる霊力もまた、思い出すよすがだった。
 匹敵すると言えるほどの霊力を持っているのは、おそらくアイリス嬢くらいだろうが、それでも常人ならざる力を持った彼女たちの姿を見ていると、ありえなかった現在を思い浮かべてしまう。

 あの光あふれる舞台に、もしかしたら立っていたかもしれない。
 ある銀幕の監督が、スタアにすべく探し求め続けているという話を聞いたことがある。
 顔の一部が長い髪と帽子の間に微かに覗いた写真一枚で、帝都一の美少女を探せと新聞騒ぎになったものだ。

 ひいき目もあるだろうが、今舞台上にいる少女たちに劣っているなどとは決して思わない。


 その彼女の座っていた椅子に座るようになって、十年。
 ここは、そのころから変わることのない帝大文学部史学科近代都史研究室の講師室だ。

 もっとも、いる人間は変わった。
 講師机のうちの一つには自分が座り、研究室を預かる身分になっている。
 変な話だ。
 元々私は、維新以来五十年で激変したこの帝都東京のありかたを巡って、師の考えを打ち砕こうとしてこの研究室に入った。

 風水都市江戸の姿を理想として、西洋化の流れを止めようとする師に、大学入学後最初の授業で噛みついたものだ。
 二年間反論し続けて、三年目に所属研究室を選ぶときに、迷わずここに入った。
 不肖の弟子と言われたものだし、自分でもそう思っていた。
 維新以来六十年……当時は五十年だったが……経ち、江戸から帝都東京へと変わった一連の変化を受け入れるべきだと叫び続けていた。

 結局、言い負かすことは出来なかった。
 あの降魔戦争の半ばで、師は大学から姿を消した。
 確信を持って言える。巻き込まれたのではない。
 しかし、帰らなかった。
 絶対に無敵だと、私も先輩たちも信じていたはずの師は、この帝都東京が発展していたために力衰えていたのだと、後で知った。

 その師を追って、彼女もまた姿を消した。
 そうなるだろうということはわかっていたのに。
 引き留めることの出来なかった自分をどれほど悔やんだことか。

 助教授と講師がいなくなり、そのとき大学院生だった私が、この研究室を預かることになった。
 指導教員の無いまま博士課程まで終えるという非常識な経歴から助手となり、
 気がつけば、消えたときの彼女と同じ役職についていた。
 そうなってからようやく、彼女の座っていたこの椅子に座ることが出来るようになった。
 もっとも、未だに師はおろか、彼女にすら追いつけたとは思っていない。

 振り返ってみて、どちらが勝ったのかと聞かれたら、私の負けだと答えよう。
 江戸と東京、大和、武蔵、それらのことを知った今ならば、師が言っていたことがわかる。
 今の帝都東京は着実に崩壊へと向かっている。
 同窓の先輩後輩同級生らの中には、もっと早くそれに気づいた者も多い。
 かの黒之巣会に荷担した者すらいる。

 だが、私は今あるこの帝都を否定したくなかった。
 この帝都だからこそ、私は師と彼女に会えたのだから。
 この帝都で、共に生きていたのだから。



 それらの思い出全てを抱いて、私はこの研究室にいる。
 この帝都の歴史を書き留め続け、この帝都の歴史を伝え続けよう。



 とはいえ、研究だけをやっているわけにはいかないのが大学という場所だ。
 この雑用の多さはなんとかならないものか。
 十年前、彼女が愚痴を言っていたことが思い出される。
 ことこれに関しては、西洋を見習った方がいいと。
 つまりは、日本の大学の制度など十年経っても大して変わっていない。
 慌てて西洋に追いつくために造ったものだから、維新から五十年経っても至る所に弊害が残っているのだ。

 同じ学会に属している他大学の研究室とのやりとりや、環境調査のための理学部とのやりとりはまだ研究に繋がるからいいとしよう。
 必然的に反政的な主張をすることになるから、政治家や企業からの圧力が来ることもある。
 教授会の主導権争いなどよそでやって欲しいものだが、助教授も教授もいない研究室では立ち回りに気を遣わなければならない。
 予算だってぶんどらなければならない。
 その他、水道管掃除の手配、備品購入の手配、試験問題の作成、授業用原稿の作成、学生の成績付け、等々。


 ああ面倒くさい。
 彼女もやっていた仕事だと思わなければとてもじゃないがやってられない。

 その中に、交流会議事録編集という仕事がある。

 大学の孤立化を避けるために、一般帝都市民と有識者、大学人をまぜこぜにした交流会だ。
 月山学前学長が始めたもので、ずいぶん歴史のある制度なのだが、ここ数年では帝都市民の不安と興味とを集める対象として、霊的事件や帝国歌劇団に関する話題が増えた。
 昨年からは、日本ブーム著しい巴里の話題もだ。

 それらの議事録は、K.Y.のあだ名で知られる速記官が書き残しているのだが、そのままでは後で参照するにも困るほどの膨大な文章量になっている。
 索引も作らなければならないし、次の交流会をよりよくするための問題点も洗い出しておかなければならない。
 余人に知られずに交流会が予想外な長期化を見せる場合もあり、そういった充実したやりとりは出来れば注目を集めるようにしておかなければならない。
 かくて、議事録のまとめ作業が必要になる。

 研究室回り持ちで、議事の数ヶ月後に行われるこの作業の俗称を、誰が呼んだものやら、


 過去旅行記という。


 なるほどと唸らされる粋な名前だ。
 しかしその粋さ、優雅さとは裏腹に、学会を主催することの次くらいに面倒な作業だといわれている。

 時間のないときに回ってくると絶叫する羽目になる。
 かといって後回しにはできない。
 商学部の流通小売業研究室が担当した際に、締め切りに間に合わなかったことがあるのだが、学内外を問わず文句が殺到して、研究室は相当な冷や飯を食わされたらしい。
 それほどまでに、待ちかねている閲覧希望者が多いということだ。

 そんなわけで。

「ふーーーー」

 今、花瓶の横に議事録が積んである。
 一回のまとめ量は約五十冊。
 多い。

 なんどもやってわかってはいるものの、さすがにげんなりしそうになる。
 そういえば、彼女もこの過去旅行記だけは苦手としていた。
 他のほとんどの仕事を、見とれるほどの手際で片づけていたというのに。

 十年、いや、十一年前か。

 その翌年にあんなことが起こるなど夢にも思わなかった……本当に何も知らなかった学生のころ。
 この机に座って、議事録を前に途方に暮れている彼女を見たことがある。

 あのときは、そう……








「こら、起きろ」

 あまりにも懐かしい声を耳にした直後、ゴン、と……決して、コン、ではない……いう音が後頭部から頭蓋骨を通して机に密着していた額までに響き渡った。
 いくらなんでも目が覚めようというものだ。
 後頭部にたんこぶが出来ていないかとさすりつつ、

「いてーな、もう……人がせっかくいい夢見ようとしているの……」

 顔を上げたところで、舌と、声と、思考が止まった。

 ヤカンを手にしているのは、つまり、それをこちらの頭の上に落としてくれたらしい。

 細く小さな身体を少しでも大きく見せるために、同時に、その細すぎる腰を隠すために着ているゆったりとした白い長袖のワイシャツはいつも通り。
 身長に比べると比較的長くて、すらりとした足は、裾を細めに絞った折り目正しい黒いズボンの上からでも十分想像することが出来る。
 洋装は好きじゃないとかいっておきながら、普通に着ているだけでここまで格好良くなるというのは、色々な意味で反則だと常々思う。
 実は洋服もちゃんと好きなのだと知ったのは、あの一件以来。

「な……」
「私の机の上で居眠りしたあげく、よだれまで垂らしてるって、いい度胸してるわね」

 呆れたような口調とは裏腹に、柔らかなまなざしで、彼女はそっと微笑んだ。
 記憶の最後にあるよりも、もうほんの少しだけ大人びていて、美しくて、
 でも、心の奥底を羽でくすぐられるような可愛さも、少しも損なわれることなく同居していた。

 必死になって、誰よりも必死になって、大人になろうと背伸びをし続けていた女の子の、年齢相応の笑顔だった。

「すまん、つい秋の風が気持ちよくて」

 他に何か言うことがあまりにもたくさんあるはずだったが、口をついて出たのは平凡極まる言い訳だった。
 それも説得力が皆無だ。
 本当は、懐かしさに浸っていたつもりだったが、なぜだか、懐かしい、と言ってしまうのが躊躇われたのだ。

 今は、そうだと納得しよう。
 彼女が言うのだから、自分はよだれまで垂らして船を漕いでいたのだろう。
 触ってみると、机の木目が湿っている。
 額が当たっていた箇所の近く。
 断じて……てなんかいない。

「本当に反省してる?」

 左手を腰に当てつつ、かすかに首を傾げているのは、尋ねていると言うよりも念を押しているのだろう。
 こちらの返事を待たずに、お仕置き用として手にしていたヤカンを、蒸気コンロの上にそっと戻して、
 あごに軽く右手を添えて、少しだけ逆の方向に首を傾げた。
 どうやら何かに気づいたらしい。

「……ねえ、これ、あのときのヤカン?」

 あのとき、と言われて、もちろん何のことかすぐに解った。
 そのことを忘れないからこそ、残しているのだから。

「そうだよ。
 だけど、なんで同じヤカンで二度もどつかれないといけないんだ、まったく」
「あのときは眠らせたけど、その分今度は起こしてあげたんだから、文句を言わない」

 確かにあのときは、念動力であのヤカンを頭に叩きつけられて昏倒させられたわけだが、

「おい、筋が通っているようで、実は無茶苦茶言ってるだろ」
「うん。少しは知恵がついたみたいね」

 ちょっとからかうようなこういう笑顔を、小悪魔的、と言うのだろう。

「おまえ、それ褒めてないだろ」
「このヤカンがまだ残ってるとは思ってなかったな」

 ついと話をそらす。
 その手に乗るかと言いたいところだが、逸らした方向がまた、つい乗りたくなる方向だった。
 未だにかなわない気がする。
 一生かなわない気もする。
 しかし、その想像は悪いものではなかった。

「一度壊れたけど直したんだよ。
 工学部からバーナー借りてな」
「文学部じゃないって、言われた?」
「もちろん」

 少しだけ胸を張って答える。
 その批評は、十年以上前からこの研究室に向けられ続けたものだ。
 死守したつもりである。

「ありがと」

 口先だけは素っ気なく聞こえるその言葉で、十年分の報酬としては十分だと思った。

「茶入れるから、それに水を入れて蒸コンに火つけてくれるか」
「私をあごで使うとは偉くなったわね」
「あのなあ、単にそっちがすぐ近くだから頼んだんだよ」
「はいはい、そういうことにしておくわ」

 こんにゃろ、と口の中であえて聞こえるように付け足してから、机の引きだしの一番下を開ける。
 割れたとき用である替えの安茶碗と、もう一つ、白い布に包まれたものがある。
 布をつまんで取り出したのは、少し小さめの、素焼きの茶碗だ。
 少し考えてから、洗い場へ持っていく。
 布で包んでいたとはいえ、一年に二度は洗っているとはいえ、久々に使う前には洗って置いた方がいいだろうと思った。

 ヤカンに水を入れる彼女のすぐ隣、肩が触れ合う寸前で、触れてしまうのが怖くて半歩離れる。
 機嫌を損ねるかもしれないと思ったが、彼女の目はその行動よりも、こちらが手にしている茶碗に向いてくれた。

「それも、残しておいてくれたんだ」
「口をつけたり、変なことはしていないから安心しろ」
「ん……そう」

 よかった、などと言うかと思ったが、何故か曖昧な表情で、口ごもった。
 まあ、変な妄想をするなと怒られなかっただけ良しとしよう。
 茶碗を洗うのはさすがに水道の水を使う。
 すぐ隣で彼女がヤカンに入れているのは、大学構内にある一番綺麗な井戸から毎日汲んできている汲み置きの水だ。
 味が全く違うのだと言われた十年前にはわからなかったが、今はその違いがよくわかる。
 自分の舌が鍛えられたということとともに、水道の水がそれだけ悪化しているのだ。
 ただ、一方で井戸の水も悪化してはいる。
 彼女は、匂いか気配かはわからないが、どうやらそれに気づいたようだ。
 さすがは水神の愛娘だけのことはある。

「水の記録はちゃんと残しているよね」

 蒸気コンロのスイッチを捻り、火にかけてから、案の定聞いてきた。

「やってるに決まっているだろ。
 そこの三段目の緑のファイル群だよ」

 帝都内の主要河川や井戸、それに東京湾の水質調査は、この十年欠かしたことがない。
 近代都史研究室として、都市発達の横から警鐘を鳴らし続けるためのものでもあるし、師の存在そものもに関わるものだったと、師がいなくなってから知った。
 そして、十年経った今では、河川浄化の法と呼ばれるものの存在も知っている。

 もっとも、調査方法は以前からずっと、欧州は独逸の分析化学であり、ここにも文学部じゃないと言われる要因がある。
 彼女が研究室講師の顔で眉を寄せつつファイルを読んでいる間に湯が沸いた。
 この蒸気コンロは、五年前に部品を取り替えたことで、かつての三分の二の時間で沸騰するようになっている。
 蒸気のありがたさを感じるが、帝都七大ボイラーには、配置と言い、大気や河川への影響といい、文句を言いたいことが多い。
 もっとも、ミカサボイラーよりはマシだと思うが。

 来客用の高級茶葉ではなく、あえて研究室で常用している茶葉でお茶を入れる。
 来客として迎えるつもりは無かった。
 しかし、濃さや温度には徹底的に気を遣う。
 どこをどうやったのか、かつて彼女が入れてくれたお茶の味は、未だに再現できない。
 それでも、できるだけのことはやる。

「はい、お茶」
「ご苦労」

 彼女が座っている長椅子……かつてはもう一つの講師机があったが、撤去した……の前の小机に茶碗を差し出す。
 本音を言えば手渡したかったが、渡すときに彼女の手に触れてみたいという気持ちとともに、触れてしまうのが怖いという思いに襲われて、結局机置きになってしまった。
 触れてしまったら、かぐや姫か、西洋にいうシンデレラのごとく、彼女との時間が終わってしまうような気がしたのだ。

 ちらりとこちらを見てから、ゆっくりと茶碗を傾ける。
 一口飲んでから、見えない物を見通すかのような目で茶碗の中の緑を見つめた。

「うん……、水質の割にはそこそこかな。五十五点」

 落第である。
 確かに、十年前の記憶にある、彼女の入れたお茶にはまるで届かないとは解っているが、さすがに落ち込む。
 もっとも、あのころは三十点とか言われていたのだから、ましにはなったと言えなくもない。
 などと、自分で自分を慰める。

「ひどいものね」

 と、これはお茶の味ではなく、ファイルの内容についての感想らしい。
 十年間この帝都に暮らしている自分でもひどいと思うのだから、彼女の目にはどれほどに映ったものやら。
 かつて隅田川に汚水を流していたボイラー施設を、彼女はその怒りで以て消し飛ばしたことすらあるのだ。

「でもね」

 ファイルを本棚に戻して、くるりと振り向いた顔は……笑顔だった。

「しっかり調査を続けてくれていたのは、安心した」

 我を忘れて見とれずにはいられない、かつては横顔で見ることがほとんどだった笑顔だ。
 いけない。
 へにゃあと惚けていては、この笑顔が叱責に変わってしまう。
 慌てて顔の筋肉を引き締めて答える。

「仕事はちゃんとやってるよ。これでもな」
「そうみたいね」

 笑顔を続けてくれたまま、彼女は机の上に目を向けた。
 五十冊の議事録でひっくり返っているところだ。

「まだやってたんだ。過去旅行記って」

 その声に懐かしさが込められているのがわかって、思わず泣き出しそうになる。
 それではあまりにも格好が悪いので、拳を握りしめてなんとかこらえた。
 それなのに、

「覚えてる?私を罠にはめてくれたときのこと」
「忘れるわけ……ないだろ。絶対に、忘れない……」

 こらえきれなくなるくらい嬉しい言葉を、まぶしい笑顔で言ってくれた。
 声も出せずにうつむいているのを咎めるでもなく、彼女は軽やかに身を翻して、十年前自分が座っていた椅子に腰を下ろした。

「久しぶりだから、手伝ってあげる。どうせあなたが書いた字じゃ他の人が読めないでしょ」
「言って……くれるよ、まったく……!」

 ぐっと目のあたりを拭って、なんとか笑うことができた。
 十年の年月を一息にさかのぼるように、でも、あのときとは少しだけ違う、過去旅行記を書き始めた。



***過去旅行記 第四二四頁***



第一冊 「(イラスト)光武F2グリシーヌ機」 議事進行役:誠レモン氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/rjoqkh/index.html

「公聴会の場は言葉によるやりとりが基本であり、絵画や写真を持ち込むことが出来ない。
 そのため、会場外に閲覧場所を用意してそこへの案内という形をとる……と」
「この制度は昔から変わっていないのね。
 直接持ち込みが可能だと、いかがわしい絵画を持ち込む輩が出かねないというのが、
 以前聞いた理由だったと思ったけど」
「……そうだったのか」
「ちょっと。ちゃんと仕事やってるの?」
「ま、まあ、それはさておき……どうも閲覧場所での絵の置き方がよろしく無いのが気に掛かるな。
 一覧を見るのにも時間がかかる」」
「閲覧場所も借りているとこうなることはあるわよ。
 でも、そのために一覧の絵がへしゃげているのは発表者にとっても不都合よね」
「それで見る気を無くすってこともあるからなあ。
 で、タイトル通りの絵の内容だけど……」
「言える立場?あなたよりはずっといいわよ」
「悪かったな」


第二冊 「SSマリアと大神が結婚したら」 議事進行役:スバル氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/wvxutu/index.html

「内容はタイトルから連想されるものとは違って、マリア嬢回想編といったところ。
 彼女の過去についての調査や元作品の読み込みは入念にされていていいんだけど、
 彼女の行動や人物関係に首をひねるところがあって、
 あまり感情移入できなかったのが惜しいかな。
 しかし、……どちらかというと、議事進行役はイカルス星人さんだな。」
「本来なら公聴会での長文発表というのは御法度だけど、慣例として認められているだけだものね。
 小説を発表するという行為をこんなもの、などと軽く見ているようでは、
 非難されても仕方ないわ。それに、誤字の多さも問題」
「うぐ」
「……まだ誤字癖は直ってないの?」
「少しはましになった……と、思う」


第三冊 「サクラな映像関係ではどんなものが(知らない人バレ)」 議事進行役:もへじろう氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/hhpkmh/index.html

「これは聞いていてとても楽しかったんだよなあ。
 帝劇関連の活動フィルムがまさかこれほどたくさん出ているとは」
「回答された皆さんがいい情報を持ち寄って、この議事録一つでほとんどのフィルムがわかるわね。
 かなり詳しい人でもなかなか知らない情報がうまく集まった好例ね」
「議事進行役のもへじろう氏の対応も好感が持てるし、
 いい公聴会でした、と」


第四冊 「【SS】ある日ある家の、ニャンニャンの受難」 議事進行役:お茶会氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/ocfpqh/index.html

「かっわいいっっ!!」
「あ、やっぱり陥落した。
 今年の春に帝劇で客員レビュウを行ったコクリコ嬢のマスコットキャラのぬいぐるみなんだけど、
 可愛いんだよなあ。
 これが子猫と戯れている姿というのは想像するだけでへにゃあとなってしまう。
 そんな実話の報告例」
「……、あの、これって……それ」
「ああ、これ?実は俺も一匹購入していたりするんだが」
「ふーん。研究室に何持ち込んでるのよ、没収〜〜〜〜♪」
「あーーーーーーーーーーーーーー!こら、返せ!!!」
「か〜〜〜〜〜〜わいい〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


第五冊 「THEJAPANDISCAWARD2003」 議事進行役:viper氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/wdpcts/index.html
 
「……しょうがないからしばらく一人でやろう。
 まあ、見てるだけで幸せだからいいんだけどさ。
 これは最近はやりの光録音盤のお話。
 先日帝劇の歌が賞をとった、その受賞の際の歌集が出たので
 これを買うべきか否かということなんだけど……
 どうも帝劇の歌だけ浮いているという感は否めない。
 はたして帝劇の歌のためだけにこの光録音盤を買うべきか否か、というのは
 もうこれは、財布と相談するしかないという華右京 葵さんのお言葉が総まとめだろうなあ」
「で、あなたは買ったの?」
「お、正気に戻ったな。
 買わなかった。元からこの授賞式の件はあまり好きになれないし、
 ライブのたびに同じ曲の光録音盤を買ってられない」


第六冊 「アクロスティックしてみませんか」 議事進行役:じょや222氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/mwjwsh/index.html

「在原業平のかきつばたみたいなものね」
「……すまん、その説明じゃさっぱりわからん」
「一応うちの研究室は文学部なんだからこれくらい覚えていなさい。
 かきつばた、を和歌の五七五七七の冒頭に持ってきて歌を詠んだという話があるの。
 からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ
 ……後から適当な歌を持ってきたという説もあるけど、言葉遊びの一種ね」
「なるほど。ここでは花じゃなくて人の名前になっているから、
 作る文章もその人に合わせて作るセンスが要求されてるなあ」
「議事録の文章量からもわかるけど、大盛況だったみたいね」
「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
「思い付きそうにないみたいね」
「……」


第七冊 「皆さんに大切なオリキャラはいますか!」 議事進行役:mitsu氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/jpxtje/index.html

「帝劇の……というよりは帝撃、と言った方がここでは適切だな。
 帝撃編纂の正史には数々の人物が収録されているけれど、
 正史に収録されていない人物の報告を求めたものだ。
 古今東西、まあ、色々な面子がいるものだが……」
「私も、正史には収録されていないはずだけど、言わなかったのね」
「……安売りするようで言いたくなかった。
 発表するときは、俺が調べた太正六年の戦い全てを編纂するときだよ」
「うん」


第八冊 「お久しぶりです」 議事進行役:ヴィルヘルム氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/jikibs/index.html

「しばらく離れていても、この公聴会にまた戻ってくる人って多いのよね。
 そんな帰還報告から始まる話だけど、この人の話の内容は至って真面目。
 巴里の霊力者たちの後日談が知りたいという話だけど……どうなったの?」
「ああ、つい先日の公聴会で報告があった。
 巴里編とかなんとか銘打って、近いうちに後日談が来るそうだ。
 ミステリー……謎解きめいた事件ということを聞いたぞ」
「対降魔部隊から始まった華撃団構想も、ずいぶん様変わりしたものね」


第九冊 「皆さんのお勧めDVDって何ですか?」 議事進行役:ルナティック氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/zlmslj/index.html

「お勧めの活動フィルムが何か、というこれもよくある議題だなあ。
 まあ、たまにこうして話題になると、その時々にいる人同士で話題になるからいいんだけど」
「でもこういうのはすごく人の好みが出るから、私は薦めにくいと思う。
 かといって、気に入らないからといって罵倒すると公聴会の雰囲気が悪くなるでしょう」
「ああ、そういうのは浪漫堂に行って店の端っこで言うことにしてる」
「こら」
「活動フィルムは帝劇側に偏重していることが多いから、
 霊力事件調査のあてにならないんだよなあ」
「その気持ちはよくわかるけど、多分それだとフィルムを作る費用が回収出来ないんでしょう」
「まあ、そういうことなんだが、もうちょっとなんとかならないかな」


第十冊 「父よ母よ義妹よ」 議事進行役:東方 光氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/lurqej/index.html

「……少年レッドの類の英雄譚かと思ったが、全然違った……」
「ようするに、華撃団の面々と家族つきあいしてみたいという願望の言い合いね」
「辛辣すぎるぞ、おい。まあ……見るたびにそう思うが」
「だってそうでしょう。
 芸能人とそういう関係になろうとしても、簡単になれるわけじゃないんだから、
 現実味が希薄なことを考えるよりも、どうやって芸能人と交友関係を築くかを考えた方が
 前向きで面白くなると思うんだけど」
「……妙に詳しいな。昔は芸能人といっても帝劇が出来る前だし……」
「何人かいたのよ、冴木ひなの熱烈な信奉者ってのが」
「ああ、なるほど」
「でもトラ子さんには大賛成ね。ニャンニャンと一緒に暮らすのってすごく素敵!」
「さっきと言ってることが正反対だぞ……ていうかそのニャンニャン返せーー!!」
「……うん、こういう想像ってやっぱり楽しいかな」


第十一冊 「サクラ大戦のお酒」 議事進行役:義朝氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/xuiudh/index.html

「じゃ、この話題」
「くらっ……」
「やっぱり、まだ全然お酒駄目なんだ」
「悪かったな……しかしこのお酒の話題はめちゃくちゃ盛り上がっていたな。
 公聴会の外でもこの話題を何度か聞いたぞ」
「ふーん、ちゃんとした水で割ると橙色から桜色に変わるお酒なんだ。
 成分分析用って名目で購入してみたら?」
「俺を殺す気か」
「少しは強くなること。
 このお酒のお話から、別の粋なお酒の話にも広がっていて、
 こういう公聴会はそのまま宴会に突入しちゃうのよね」
「待て未成年」


第十二冊 「【企画】ラジオ式サクラ大戦相談室「メイド長は見た! 湯煙美人三姉妹の巴里旅情」篇」 議事進行役:師匠氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/tceksb/index.html

「お台場放送局出張版企画ってところかな。
 帝劇の面々を招いてラジオを放送しようという、工学部電波研の協力企画。
 以前は割と多かったんだけど、司会者の力量によって面白さが全く変わるから淘汰された感がある」
「じゃあ、残っているのは割と面白いものというわけ?」
「開催された時は聞いていなかったんだが、これだけ盛り上がっているところを見ると
 かなり面白いんだろうなあ」
「……ねえ、巴里華撃団の面々って、本当に霊力者?」
「………………だと、聞いている。
 しかし、この議事録を見ていると爆笑集団にしか聞こえないのは何故だ」


第十三冊 「2週目の特典(ネタバレ)」 議事進行役:ふう氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/lkdrht/index.html

「何かと思ったら、二週目じゃなくて二周目のことか」
「人様の誤字をとやかく言える立場だっけ?」
「……えーっと、まあ、それはさておき……。
 太正十二年度の戦いで、大神一郎が究極必殺技を出すのが容易だったのではないかという調査報告。
 ただ、これについての感想は人それぞれらしい。
 太正十五年巴里の戦いの時の方が困難であったとも聞くが」
「あなたは知らないの?」
「太正十二年度末の戦いでは、写真機にヘンなものが写ったので捨てた」
「……あ、そう」


第十四冊 「修学旅行」 議事進行役:松竹梅氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/rtaoyt/index.html

「帝都に修学旅行に来るならどこがお勧めかという話題。
 修学旅行に限らず、帝都のお勧め場所を教え合うのはよくあるが、大体が盛り上がる。
 この公聴会も例外ではない、と」
「浅草、上野、銀座が回るとしたら定番かしらね。
 六破星降魔陣を回ろうという渋い意見もあるけど、修学旅行で全て回るのは大変かも」
「帝都から少し離れるけど、横浜開港記念館は帝劇に似た建物なのでお勧めとの意見がついている。
 これは結構知られていない情報らしいので、要注目、と」
「あ、真面目に書いている」


第十五冊 「【企画】5の市民キャラは!?(バレ)」 議事進行役:レイ・ミラビリス氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/eqkoff/index.html

「わかりやすい表題だなあ。
 とはいえ、紐育華撃団に絡む人物が誰かと予想するのはかなり難しいと思うが……」
「亜米利加から輸入した活動写真によく出てきそうな人間を推測するくらいしか出来ないと思うわ」
「あとは、賢人機関の本部があるから、市民というよりそっち関係だろうなあ」
「亜米利加には深きものって集団がいるって以前聞いたことがあるけど」
「それ、市民じゃない。断じて」


第十六冊 「アイゼンクライトの開発時期(血潮バレ)」 議事進行役:チャン太氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/iijorf/index.html

「わからん」
「あ、いきなり投げたわね」
「仕方ないだろ。
 最近になって報告された星組の資料を調べてみたら、矛盾だらけなんだから。
 アイゼンクライト自体は欧州大戦の後に作られたもので、欧州大戦中はその前身である
 アイゼンゾルダートが存在していただけなんだが、
 最近出た資料によると、欧州大戦時の星組がアイゼンクライトに乗っている」
「……捏造なんじゃないの?」
「それにしてもお粗末な捏造だ。どこかの映画会社が戯れに作っただけかもしれん」


第十七冊 「スペシャル壁紙更新!」 議事進行役:ユーリ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/bnoxfr/index.html

「……何、これ?」
「帝劇広報部のポスタアはいつ発表されるかわからないので、
 最近では見つけた有志の人が報告してくれるのが慣習になってるんだ。
 まあ、俺もここの報告を聞いてから取りに行っている人間なんだけど」
「ふーん」
「……なんだよ」
「ふーん、集めてるんだ」
「……なんだよぉ」
「ふーん、あ・つ・め・て・る・ん・だ」
「だーーーーっっ!もう!悪かったよ!!!」


第十八冊 「勝手にスパロボ参戦なり〜」 議事進行役:tusaさん
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/grxiwd/index.html

「……」
「うー……次やるぞ。
 これも消えては出る話題。
 未来の空想小説の中に華撃団が参戦したらどうなるか、という話なんだけど、
 大体よく聞く空想小説に出てくる人型蒸気ってどれもめちゃくちゃ大きいんだよな。
 人型蒸気も発達しているだろうし、
 何十年後の機体とぶつかったらさすがにつらいんじゃないかと思うんだけど」
「あ、そう」
「……。
 でもかなり詳しく考えている人もいるし、
 こういう想像はジュール・ベルヌの世界からえらく進んだ空想で面白いと思うな」
「あ、そう」
「…………」


第十九冊 「こんなアンケートはどうでしょう?」 議事進行役:トラ子さん
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/gmicrm/index.html

「えーっと」
「……」
「仮装してみるなら何が面白いか、というお祭りめいた企画。
 しかし、神崎すみれ嬢の冬服は、物理的にどうやっているのか本当に謎だ」
「……仮装?」
「あ、ああ。
 帝劇の舞台を見に行くときに、
 帝劇スタアの私服やら過去に演じた役やらの衣装を自分で作って着ていく人がいるんだよ」
「……シンデレラなら、やってみたいな」
「え?」
「なんでもない!」


第二十冊 「アスペクト〜熱き血潮に〜公式最終ガイド」 議事進行役:ぶる〜きんぐ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/hvqtjf/index.html

「うわ」
「……何かあったの?」
「その冷たい視線を頼むから勘弁してくれ……。
 これ、太正十二年度についての政府公式発表改訂版なんだが、
 ここで言われているように発売が遅れに遅れて、
 で、それだけじゃなくて、出てきたものが酷かったんだよ。えーと、これだ」
「……鈍器じゃない」
「って、こっち向けて振らないでくれ……っ。
 開けてみるともっとひどいぞ」
「…………何これ。
 普通に個人の行動を追おうと思ったら、何回もページめくらないといけないじゃない」
「ページを稼いだだけのお役所仕事ってのがよくわかるだろ。
 さすがにこれには辟易した」


第二十一冊 「e-karaにサクラシリーズでないかな?」 議事進行役:ミホリン氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/qqxbqv/index.html

「これは、自宅で歌を歌いたいということかしら?」
「多分な。はっきりとは知らないが、拡声器と蓄音機が一体化した
 歌唱機の宣伝を見たような気がする。これに帝劇の歌を収録して欲しいということだな」
「歌は人のいるところで歌うのが一番楽しいと思うわ。
 一人で歌ってもつまらなかった」
「無茶言うな。おまえくらいの歌唱力があるならともかく、
 素人が練習するときの歌は人に聴かれたくないって」
「そうかなあ……?」
「駄目だ、桁が違う……。
 ドリカラというのは帝劇と直接契約しているから帝劇の曲も多いはず、という意見が出て、
 まあこの話は一件落着しているな」


第二十二冊 「SS『影達を統べる者』」 議事進行役:まいどぉ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/wrfpqp/index.html

「公聴会の中には、こうして物語を上演する場合もある。
 お笑いだったり、ちょっとした恋愛劇だったり、あるいは、
 新聞にすら載らない、帝都の裏側の真実であったり……って、熱中してるな」
「……対降魔部隊四人のころと比べて、ずいぶん人員を集めたものね」
「政府公報の裏を探っても、精々花組と霊子甲冑のことしか出てこないが、
 情報探索を担当する月組というのは、まあ大体こういう集団なんだそうだ」
「太正十二年の段階ではまだ確立されていなかったの?」
「だと思う。帝探と呼ばれる人物が中心になって情報収集をしていたらしいが、
 実働部隊の花組が自ら偵察に出たこともあったと聞いているからな」
「よく調べてるわね」
「少しは、十年前のことを調べようとすれば、必然的にな」
「この様子じゃ、米田は、風魔も伊賀も甲賀も関係なく、
 現代に残った組織には軒並み声をかけてるみたいね」
「……」


第二十三冊 「何を買う?サクラな宝くじ!(例によって長文です) 議事進行役:てつごろう氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/miwktb/index.html

「宝くじが当たったら……当たったら……当たったら……」
「ちょ……ちょっと……、目が虚ろになってるわよ」
「はっっ!……あー、すまん。
 まあ、公聴会の最初の主旨からそうだったわけだけど、
 帝劇の公演に関する野望が色々聞けたなあ。
 ただ、市民に密着しているという帝劇の立場からすると、
 金を払ったから無茶な公演をやる、というのは難しいだろうな」
「大帝国劇場って銀座にあるのよね。
 ……どう考えても銀座の魔を抑える祭礼殿だと思うんだけど、
 知られていないの?」
「最近色々なところで完全に忘却されている気がする」


第二十四冊 「はじめまして!」 議事進行役:レンピ・スミス氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/thhwqm/index.html

「あ、なんだかすごく懐かしい気がする」
「公聴会に初参加する際には、俺もやったなあ……」
「で、早々に色々やらかしたのよね」
「あーもー、覚えてるよちゃんと!
 ……で、この人はちゃんと御返事もされていていい感じだったんだけど……」
「出席簿を見ると、最近は参加されていないみたいね。
 行く人去る人がいるのは常だけど、やっぱり去ってしまった人の初会議事を見るのは少し寂しいわね」


第二十五冊 「今頃ですが(4バレ)」 議事進行役:やっさん氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/yoivpw/index.html

「……ジャン?」
「麻雀の帝劇版……だと先輩に聞いたぞ。
 今年の春にしばらく流行したんだ。麻雀がわからなくても出来るのはいいが、
 麻雀をやりこんでいる人間には物足りなかったらしい」
「……まあ、彼ならそう言うでしょうね」
「で、それについての質問だな。
 この遊戯はやりこむと帝劇から表彰されて色々な特典を得ることが出来たんだ」
「表題が質問口調で無かったのにちゃんと回答されてるわね」
「ま、結果よしというところかな。
 君よ花よ、は確かにいい曲だなあ」
「……どんな曲?」




***小休止***




「気になるか?それじゃ聴いてみるか」

 丁度半分終わったところだ。
 この調子でいけばしっかり終わりそうだが、この時間がもう少し長びいて欲しかった。
 今にも壊れそうな硝子のような時間。
 触れれば消えて無くなりそうな、かげろうのような光景。
 だけど、せめて言葉を交わせるのなら、旋律を奏でても、壊れないでいてくれるだろうと思った。

「ちょっと待っててくれ」

 ただ、この部屋から出た途端にうつつに戻ってしまうのではないかという恐れがあった。
 隣の学生室へ繋がる扉に手をかけるとき、世界が壊れる気配を感じたらすぐにやめようと思った。
 幸い、わずかに赤みを帯びてきた日の光の中で、この時間はつづいてくれた。
 学生室の棚からレコード再生機を持ってきて、講師机のそばの蒸気コンセントに繋ぐ。

「ちょっと。どうして研究室にそんなものがあるわけ?」

 彼女の顔は怒っているというよりも呆れていて、微かに笑ってさえいた。
 夢だとすれば、自分の想像力の豊かさに感謝しよう。
 彼女がそんな顔を見せてくれたことは……いや、あった。
 忘れるはずがない。
 あの二年間で彼女が向けてくれた表情は、全て忘れられるわけがなかった。

「最近、レコードに講演や公演を録音するということが流行りだしてきたからな。
 都史記録の管理のために必要だ、という名目で予算計上した」
「それで、帝劇のレコードがどうして出てくるの?」

 今度の微笑みは、いたずらを一緒に楽しむようなものだった。

「今の帝都を帝劇抜きに語ることは難しいさ。
 帝都でレコード再生機を買う人間の八割は帝劇の歌が目的なんだぞ」
「40点。そんな論理でよく予算通せたわね」

 採点に容赦がない。
 もっとも、彼女が予算担当だったら通せたとは思えないのも確かだ。

「じゃあ、予算請求のときにこう言えってのか?
 現代的に旋律化した祝詞の複製による帝都の人心及び霊的安定化効果を直に測定するため、と」
「……60点。
 近代都史研究室の名前を何だと思ってるのか心配したけど、効果には気づいているんだ」

 研究室の評判を固めこそすれ、この研究室の名を貶めて彼女に顔向けできないような十年を送ってきたつもりはない。
 師や彼女に追いついたとは未だに思えない。
 それでも、師がなぜ大学になど潜り込んでこんなことをしていたのか、その訳くらいは知りたかった。
 だから、表裏問わず調べ続けた。
 調べ続けて十年。
 おかげで、帝国華撃団のことも、大和のことも、武蔵のことも、知り得るようになった。

「少し、安心した」

 少し、と言い加えるあたりが彼女らしいと思う。
 まだまだだと言っているのだ。
 でも、そんな微笑みで言われたら、絶賛されているような気になってしまうじゃないか。

「それじゃ、少し実験してみるか」

 うぬぼれそうになってしまったので、気をそらすために冗談めかしつつ、そっと針を置く。
 余剰蒸気を吐き出すかすかな音と共に、音を形にした円盤がくるくると回り出した。
 独特の前奏がゆったりと流れ始める。
 にぎやかなようで、切ない、時を刻むような音が繰り返し、繰り返し。

 旋律が気に入ったのか、彼女はちょこんと長椅子に座って、ニャンニャンを抱っこしつつ耳を傾けた。
 耳と共に首を傾けたために、さらさらとした長い黒髪がこぼれ落ちて、白いニャンニャンの上に水のように流れ落ちた。

 大人しくしている……というのはこの場合適当ではないかもしれない。
 そっと静かに旋律と歌を聴いているその表情には、大人と子供とが同居していた。
 10年のときを数えるならば、彼女とほとんど同い年となる少女たち……女性たちの声が代わる代わる流れていく。

「……!」

 いつのまにか、その歌声に彼女の声が加わっていた。
 一番を聴いて旋律を覚えたのだろう。
 歌詞はレコードを包む板紙の裏に書かれていた。
 さっきも少し話をして思い出したが、彼女の歌唱力は素人離れしている。
 そして、帝劇の少女たちと同様に霊力を持つ彼女の歌声は、大気だけではなく、そこにいる見えないものたちにすら届いているのだろう。
 まるで雲が、風が、レコードと彼女の声を誉め上げるように、合唱している……。

 気がつけば、私も声を合わせていた。
 もちろんこちらは完全なド素人だ。
 彼女にも、レコードの歌声にも、当然、遙かに及ぶべくもない。
 それでも、歌を歌わずにはいられなかった。
 歌声を合わせずにはいられなかった。

 こうして歌っていると、なんと切なく、十年前を思い出されることか。
 いい曲などと言ったのは言い訳に過ぎない。
 そうだ、私は、この歌を聴くたびに、彼女のことを思い出していた。
 かたときも忘れたことはなかったが、それでも聴くたびにより強く、強く、思い返して、思い出していた。

「君よ……、花よ……」

 歌い終わった。
 歌が、終わった。
 しばし、言葉が出てこなかったが、その間に漂う余韻は優しい静けさを抱いていた。

 彼女は、上手いとも下手だとも言わなかった。
 ただ、何かを悟ったように、そっと微笑んでから、

「さ、続きをしようか」

 と、何気なく言って、優しい余韻の中をこちらに歩いてきた。


*********



第二十六冊 「久しぶりに・・・」 議事進行役:犬坂さくら氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/zjkrlu/index.html

「しばらく公聴会から離れていて、また戻ってきた人というのはずいぶんな数にのぼるんだよな。
 再会、再来を告げること自体は、……まあ、悪いことじゃない」
「でも、どれくらい離れていたらこういう挨拶を入れるべきなのかというのは
 結構人それぞれかもしれないわね」
「年単位で公聴会に参加していると、
 数ヶ月見ない程度ならば別に挨拶しなくていいじゃないかとも思ってしまうなあ。
 挨拶の会は挨拶だけで終わってしまうことが多いからなおさら惜しい」
「久々に帰ってきたんだから、思いっきり考えた論文を発表するとかしたらいいのにね」
「無茶いうない」


第二十七冊 「お初にお目にかかります。」 議事進行役:白べこ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/mwjbtf/index.html

「うーーーーーん」
「うーーーーーーーーーーーん」
「せっかく挨拶に反応を貰っているのに、それが途中で切れてるなあ。
 公聴会への参加もこれっきりで終わっているし、空しすぎるよ」
「……そうでもないみたいよ。五月に一回ちょこっと参加して、
 あ、九月に入ってから、ガルム、って名前で再び参加してる」
「一ヶ月くらい傍聴を続けていたというから、ずっとその間も傍聴していたのかもしれないな。
 しかし、初見の挨拶に返事くらい返して欲しいなあ」


第二十八冊 「義朝さんへ、サクラ大戦のお酒の話題」 議事進行役:健氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/oullpp/index.html

「第十一冊……識別番号http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/xuiudh/index.htmlの続きね。
 義朝さんが議事進行をされた桜色に変わるお酒の話。
 ここまで盛り上がる公聴会というのもなかなか無いわよね。
 うん、すっごく楽しい」
「……おまえ、無理してないか?」
「え……そんなこと……」
「原因はこれか。切り絵絵師としても著名な義朝氏の絵画紹介。
 相変わらずというか、ますます素晴らしくなっていると思う。
 その、マリア嬢と……対降魔部隊の二人」
「…………」
「今はここに書かれた住所からは移転されているので、義朝氏のアトリエに直接向かうと見られる、と。
 名残惜しいが、しょうがない、次行くぞ」
「うん……」


第二十九冊 「>漫画版「サクラ大戦」第9回感想ツリー」 議事進行役:KURAGE氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/qloboj/index.html

「もはや毎月好例となった、漫画版太正十二年史の考察・感想会。
 これは議事進行役のKURAGE氏が編集部に連絡をとられ、
 法的にも配慮された素晴らしい会になっている。
 内容の報告も含めた対応の丁寧さも見習わなければならないところだ」
「ふーん。でも、最近参加してないのね」
「一時期参加してご迷惑をおかけしたことがあってなあ。
 冒頭の注意宣言の原因の一つになったんだよ。
 自省の意味もこめて参加は控えている」
「むしろ積極的に参加した方が、反省になると思うけど。
 作品としては、人型蒸気……じゃなくて霊子甲冑の戦闘が中心。
 霊力者の戦いも様変わりしたものね」


第三十冊 「今日は、ロベール・シャトーブリアン伯爵の誕生日です。」 議事進行役:さくらもち氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/iosxxy/index.html

「これも恒例と化した感がある、各国主要人物の誕生日祝賀会。
 議事進行はいつもどおりさくらもち氏」
「この誕生日祝賀会については、以前から反対意見が無かったっけ?」
「今でもあるよ。主要人物といっても随分増えてきたから、
 いちいち祝賀会を開いていては議事が無駄にならないかということだろ。
 だけど個人的には祝賀会に賛成する」
「どうしてかな?」
「その人の業績、行動などを評価しあう一つのきっかけになるから。
 こういう祝賀会でもないと、なかなか名前が出てこない人もいるからな。
 というのが建前」
「40点。本音は?」
「その人が生きていたということを忘れたくはない。
 思い出して、思い出に浸る、意味のある日が欲しい」
「……採点はしないでおくね」


第三十一冊 「すみれ様の引退についてです。」 議事進行役:レンピ・スミス氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/fsmcrg/index.html

「この話か……」
「どうしたの?暗い顔して」
「今年の春に帝劇花組の神崎すみれ嬢が引退したんだがね、
 これについては色々黒い噂があるのさ。
 表向きは以前のように演技できなくなる前に神崎重工に戻る、と言われている。
 裏の表向きには、霊子甲冑の開発から関わっていたため霊力が失われたと言われている。
 しかし、どうも本当の理由はそうじゃないらしい」
「もったいぶるわね」
「何者かの干渉による、というのが裏のうわさ話さ。
 そんなことで帝劇のトップスタアが止めざるを得ないというのは正直納得いかないからな。
 神崎すみれ嬢は引退などしておらず、必ず戻ってくると信じている人もかなりの数になるんだよ」
「何者かって?」
「赤のプリンス、と言われている」


第三十二冊「サクラ大戦1と熱き血潮に〜の両方をクリアした方にEDについて質問!(EDバレ)」 議事進行役:イオリアン氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/fzhidj/index.html

「太正十二年度の政府公式広報が変更になったが、どの程度変わったのか、という質問は多かったなあ」
「買ってみた方が早くない?」
「改正版の出来があんまりにもひどいので、わざわざ胃に穴を開けてまで読む必要があるのか、
 という笑えない状況が裏にあるんだよ。
 だから既に出た話だとはいってもこれは重要なんだ」
「議事進行のイオリアンさんは、新たにフィルムが撮り直されているのか気にかけていたみたいだけど、
 ……あ、このとき既に見始めているのね。
 どうされたのかしら」
「うーん、李紅蘭嬢については見ない方がいいし、
 撮り直されたフィルムも演出が間違えてるし、薦めるに薦められない」


第三十三冊 「全然(?)関係無いんですが。。。」 議事進行役:絹ごし氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/iwyyxp/index.html

「ふーん、帝撃や巴里華撃団の面々って、身近な宣伝にも参加しているのね」
「ここで面白いのは、コクリコの声でプリンの宣伝をしていたってところだな」
「……面白い?」
「巴里華撃団……シャノワールのエリカ嬢は無類のプリン好きなんだそうだ」
「面白いかしら?言い出したらきりがないと思うわ」


第三十四冊 「サクラに出てきそうな各話のタイトル&ミニゲームの題名の元ネタ予想」 議事進行役:RJANKA氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/frttft/index.html

「なによ、これ」
「うわ、やっぱり怒ったか」
「当たり前でしょう、こんなの参加者をバカにしてるわよ。
 予想と言っても単に理由もなしに並べただけで、
 明確な理由と共に予想を並べた人に対して、これで返事したつもりなのかしら」
「Aiさんも指摘していらっしゃるけど、反省の色が見えないし、
 言いたいことは同感なんだが、頼むから落ち着いてくれ、怖い」
「盛り上げる気がないなら企画なんて立てるべきじゃない、と」


第三十五冊「今日は西原久美子さんのお誕生日です。」 議事進行役:賽鍵氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/whvyrl/index.html

「……この人、誰?」
「アイリス嬢の後見人兼演技指導者。
 これもどこまで祝賀会を開くかは難しいところだが、帝劇やシャノワールスタアについては
 毎回開いても結構盛り上がっている気がする」
「でもこれは……ちょっと、特別じゃないかしら。
 議事進行役の賽鍵さんは、調査報告量は壮絶だし、さらに会の参加者への配慮も忘れていないもの」
「確かに、ここまでくると、はたしてここで語る話題かどうかという疑問を超えて、
 すごいとしか言い様がない」


第三十六冊 「はじめての書き込みです(サクラ3PC版について)」 議事進行役:toto氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/ztzler/index.html

「今新規公聴会はこれの話でもちきりなんだよなあ。
 いつ出るのかさっぱり解らなかったわりに、なんだかえらくあっさりと発売された気がする」
「それと、帝劇の公式ファン倶楽部についての質問で、紀州人さんが答えてらっしゃるわね」
「この方はその後しばらく熱心に参加してらっしゃたが、
 さて、発売された今はちゃんと入手されたのかな」
「あんまり書くことがないわね」
「ああ」


第三十七冊 「久々の書き込み」 議事進行役:ヨッチー氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/irkicj/index.html

「これも久々に参加された方の帰還報告だけど、話題があるから盛り上がってるわね」
「政府公報も安くなったなあ。
 しかも中古かと思ったら新品だというのは、嬉しいを通り越してちょっと悲しいぞ。
 こっちはその五倍の値段出して買ったんだから」
「これの一つ前で、太正十五年度の新広報の発売を待っていたtotoさんは、
 旧広報を普通に買われた方がよかったんじゃないの?」
「まったくだ。再生機さえあれば旧広報を買った方が動作もしやすいらしいしなあ」


第三十八冊 「初めまして」 議事進行役:つるがる氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/qxbzfj/index.html

「初見挨拶の見本のような公聴会ね」
「挨拶と共に色々な話題を振ってくれているから、反応しやすいし、
 人柄がかいま見える口調だというのも大きいなあ」
「だけど……ちょっと残念な結果になっているのよね」
「ん……ああ、この後の議事録でややこしいことになってるな」
「人柄が真面目で、ちゃんと返事しないといけないって思い詰められたのね。
 ……どこかの誰かとは大違い」
「今は仕事で御返事遅れてるんだよ!」
「課題を直前まで溜める癖、直すようにね」


第三十九冊 「ドラマCD(公式HPばれ)」 議事進行役:玄田あきら氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/opexur/index.html

「あれ?試聴会のお知らせって、
 決して悪い内容じゃないと思うんだけど、全然参加者がいないのね」
「うーん、確かにこれは、無視される内容じゃないと思うんだが、
 標題を見ただけでは、ドラマレコードに関する質問にしか見えなかったせいかな?」
「でも、ドラマの一部だけ聞いても仕方ないと思ったのかも……
 そういえば、あなたはどうして参加しなかったの?」
「……前編の出来が悪かったから聞く気しなかった」
「原因、それ」


第四十冊 「質問です!」 議事進行役:睡蓮
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/npbfbf/index.html

「氏なんてつけなくていいわ、こんな無礼者」
「質問するだけしておいて、放置って、最悪の例だな。
 年齢は……後の発言記録をみると……中等学校の一年だ?
 日本語になっていないのも道理だが、人にものを尋ねておいて礼も言わないとは、
 我が国の教育はどうなってるんだ、まったく」
「六月を最後に来なくなってるけど、二度と来なくていいわ」
「内容は紐育華撃団についての質問だが、今組織を作ってる最中なのでどうしようもない」


第四十一冊 「はじめまして」 議事進行役:大国 主命
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/vuhhpc/index.html

「ちょっと、びっくりしたわ」
「……名前?」
「うん。すごい名前を名乗るなあって」
「雅号なんて、帝劇やシャノワールの著名な人物や、政財界や歴史上の有名人物でなければ
 さほど問題ないとは思うが」
「歴史上の人物どころか、先生のお話ではまだ出雲にいらっしゃるわよ」
「え゛………………………………
 えーーーっと、その、まあ、なんだ。
 あまり他人として知られすぎた名前よりも、自分らしい名前を薦める。うん」
「結構政府公報を読み込んでいる人みたいだったけど、その後は数回来ただけみたいね。
 どうも定着率がよくないなわね」


第四十二冊 「DELETED」議事進行役:つるがる氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/ocjktg/index.html

「さっきのつるがるさんのお話の続きだったんでしょうね、この議事は」
「公聴会規約によれば、30回発言があった後は新たに公聴会を開いてもよい、となっている。
 ただ、あまりにも細かく公聴会を開くと問題になるというので
 出来るだけその場で会を続けるのが暗黙の了解になっているんだな。
 ただ、来てすぐのつるがるさんがそんなことを知らないのは当然であって、
 この行動は別に責められるようなものじゃないんだが……」
「萎縮されてしまったのかしら……
 人の話を聞く耳は持っている方だから、惜しいと思うんだけどな」


第四十三冊 「最近思ったこと」 議事進行役:フィーバー氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/hmjnnc/index.html

「ちょっと標題の付け方がわかりにくいけど、内容は至極まともな呼びかけね。
 でも、内容はどういうこと?」
「帝劇花組のうち、ソレッタ・織姫とレニ・ミルヒシュトラーセの二人は、
 元々は星組と呼ばれる実験集団のメンバーで、
 帝劇への参加は太正十四年になってからなんだ。
 今では花組の隊員として定着しているが、何故かこの二人が未だに冷遇されることがある」
「帝劇ってそんなに先輩後輩の序列があるの?」
「多分違う。どちらかというとマスコミがこの二人を別扱いしすぎなんだな」
「で、ファンが怒っているわけね」
「比べてみると、無理もないと思うのが現状だ」


第四十四冊 「イラスト『巴里華撃団』です」 議事進行役:紫秋氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/kjbckq/index.html

「わかりやすい題名の絵画紹介ね。
 内容は……、わ、これ上手い」
「今巷で流行りの絵描き掲示板絵師ということだけど、
 色を巴里華撃団の面々の個人色に統一して描かれているので、見ていてすっきりするなあ」
「独特の描写だけど、表情をよく見なさい。
 色の選択よりもそっちの方に技術が出ているわよ」
「はーっ」
「……絵。相変わらず下手なのね」
「うううううう」


第四十五冊 「5月イラスト描いてみました」議事進行役:富好 宏彌氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/ivdscc/index.html

「こちらも絵画紹介なんだけど……あら、アトリエが移転してるわね」
「って、えーっと、帝劇とかとは関係ない方向で、
 やや苦手なものがある人がいるかもしれないが、
 アトリエの部屋番号を直接指定はするなということなので書けない。
 イラスト置き場の中にあるとだけ書いておこう」
「私はここで紹介の絵よりも、他の水彩調の絵がいいなと思うな」
「紹介の絵は、表情が上手く的を射ていると思う。
 現支配人の大神氏が哀れだ」
「うん、どういう人たちかなんとなく表情でわかるわ」


第四十六冊 「SS「相応しい結末」(1・2バレ)」 議事進行役:ボ〜ズ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/rurpcj/index.html

「ちょっと、なんでこういう物語の上演に参加してないのよ」
「うわあああ、悪かったと思ってるよ!
 着眼点が渋くてすごくいいとは思ったんだけど、感想を纏めきれなかったんだ!」
「山崎真之介の名前を間違えているのが気になるけど、それはいいわ」
「いいのか……おい」
「いいの。反魂された者に着せる服に着目したところは絶賛に値すると思う」
「確かに、こういう物語の上演を盛り上げられなかったのは不覚だった……」
「反省しなさい。この物語の続きが見られないのはかなりの損失よ」


第四十七冊 「DELETED」議事進行役:つるがる氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/sengmn/index.html

「というわけで……残念な結果になってしまったつるがるさんの公聴会だ」
「助言してくれている方々もしっかりした内容なんだし、
 利用規約をしっかり読まれていなかったという面はありそうだけど、
 ……こうやって配慮や遠慮のわかる方には残っていて欲しかったね」
「うむ……って、まるで憎まれっ子世にはばかるとでも言いたそうだな」
「わかってるじゃない」
「少しはわかるようになれたか」


第四十八冊 「SSの最終話とPS2の最終話」議事進行役:つるがる氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/sstlzq/index.html

「これも同じ。元々は太正十三年の戦いに関する質問だったんだろうな」
「それがなんでこういうことになるのかしら」
「…………」
「………………」


第四十九冊 「DELETED」議事進行役:緒方ゆうむ氏、雁氏、オペラハウス氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/yklqsl/index.html

「こちらは、閉会場がうまく利用された例ね」
「一つ目の緒方ゆうむ氏の会合は、帝劇の舞台を見に行ったときにどの役者の名を呼ぶかというもの。
 なかなかファン意識のほとばしる熱い会合になってるなあ」
「二つ目は雁氏。公聴会も一つの社会であるってことを丁寧に解説されているわ」
「つるがる氏の行動を受けて書かれたものなんだろうけど、名文だと思う。
 これを読まれていたら、あるいは留まってくれたかもしれない……」
「三つ目はオペラハウス氏。太正十二年度の新政府公報についての感想なんだけど……
 大体どういうものか解ったわ。
 ほとんど壊滅的な内容なのね」
「……まあ、そういうことだ」

「あと、一冊か」


第五十冊 「オフ会『夜の部』開催のお知らせ」 議事進行役:ノヴァ氏
http://www2.sega.co.jp/bbs/article/s/sakura/424/yumrov/index.html

「お酒の匂いが漂ってきそうな企画ね」
「なんだよ、その楽しそうにこっちを見る目は」
「別に、なんでもないわよ」
「こんにゃろ」
「一気飲みは不許可、ということでしっかりとした会合になったみたいね。
 最後に報告が入ってるけど、また続きをされているのかな」
「五十冊の最後の議事録としては、すごくすっきりとしたいい議事だな。
 これで、終わり……か」




終幕




水地助教授室に戻る。
近代都史研究室入り口に戻る。
帝大正面玄関に戻る。
帝劇入り口に戻る。
夢織時代への扉に戻る。