戦慄の扉は開き
追憶其の五
終章 闇色の曙


第七章 終わらない夜が頬を撫で


 あと十年・・・、いや、五年あれば、君を魔の王に据えてこの帝都をたやすく崩壊させることも出来たろう・・・

 太正十三年、一月一日。

 新たなる年を告げる日が昇る。
 育て上げた上級降魔三体を従えて、彼は明冶神宮を見下ろしていた。
 平和を謳歌している人間どもがいる。
 彼が倒さねばならない者たちもいる。

 始まりにふさわしい。
 曙の時だ。

 帝都を守らんとする青年を前に、高らかに、彼は言い放った。

「来たれ!帝都の下層に息づく、抑圧されし、魔の者よ!
 我こそは魔の解放者なり・・・・!いでよ、降魔!」

 そして、帝都は確かに、闇色に染まる。






初出、SEGAサクラ大戦BBS平成十年十二月七日



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