葬礼の旋律・第三曲
死神

加山誕生日記念前日

物言わぬものが流れていく。
先ほどまで動いていたもの。
ここを踏みにじっていた。
許さない。
許さない。
死の大鎌を振るうは彼一人。
他の誰にもさせぬ。
同じ隊を冠する仲間にも、
ここの最奥にこもる、あいつの守るべきあの娘らにも。

死を下すのは我らの役目。
軍という名の死に神に就く、
我らの役目。

お前も想いは同じはず。
生身の人と戦うとき、
お前は最後を誰にも任さぬ。
血塗られた断末魔を、全て一人で受け止めようと、
穢れし血を纏う咎人の衣を、
あの娘らに着せぬために。

物言わぬものが流れていく。
先ほどまでは動いていた人。
彼と彼が守りしここを踏みにじっていた。
許されない。
許されない。

だがしかし、
お前の守りし清浄の宮。
汚したは、同じか。

彼の仲間がものを運び去り、
ここは静寂に包まれる。
深き、深き、死の静寂。

ここは、汚れてはならない。

死者よ。
許しは乞わぬ。
同情もせぬ。
恨んで出るなら己が選択と、
我を恨め。

ここは汚させぬ。

彼が取り出したは、愛用のギター。
奏でし旋律は魂を鎮めぬ。
ただ払う。
ここより払う。

もうじきあいつがここに来る。
外に立つあれを切り伏せて。
きっとお前はあの娘にはさせぬ。
お前がここに戻る前に、
出来る限りのことはしよう。

旋律が空へと流れゆく。
ここで去りし、魂を乗せて。



初出、SEGAサクラ大戦BBS 平成十年十一月十日


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