帝都怪盗浪漫銀仮面 あとがき |
銀仮面の正体、鹿沼草十と言うキャラを夢織が最初に知ったのはレッドカンパニーのページに掲載されている太正浪漫街道、由里の章を読んだときです。
由里のうわさ話にほんの少し出てくるのですが、そのときは、ほう、こんなキャラがいるのか、と思っていました。
その後で、ソフトバンクから発売された原画&設定資料集の人名辞典を読み、なるほどこういうキャラなのか、と思ったのですが、
引っかかりました。
お持ちの方は是非御覧になって下さい。
妙なことに気づきませんか。
死亡年が、????になっているのです。
それも、鹿沼子爵だけです。
読んでみると、文章も少し引っかかりました。
「太正十二年〜十三年にはまだ二十二歳の青年子爵である」
年齢はともかく、何故こんな限定した言い方になっているのだろう、という疑問がそのときからずっと心に残っていました。
翌年、CDドラマを買って、鹿沼子爵登場に大喜びしながら聞いておりました。
そして98年四月。
サクラ大戦2を買い、第三話の予告を見て、
やった、鹿沼が出てくるな。
とニヤリとしたのですが、出てきたのは全然知らない別のキャラ・・・巻菱親子でした。
まず一通り激怒してから、鹿沼子爵はどこに行ってしまったのか、という疑問がかつて読んだ文面と共に蘇ってきました。
夢織はすみれさんクリアはしていませんが、半年間サクラ大戦BBSに出入りして、一度たりとも鹿沼の名前を聞かなかったので、これは本当に出てこないと判断しました。
1で設定が出て、2でしっかり登場したキャラというのは多いのですが、2で存在を完全に無視されたキャラというのはほとんどいません。
夢織が知っているのは、鈴野十浪、茜、そして鹿沼子爵の三人だけです。
鈴野先生は、まあ観客なので出てこなくても仕方ないか、という状態です。
茜ちゃんがスマイル娘に追い出された格好になったのは未だに納得していませんがそれはさておき。
なぜ、鹿沼はいなくなったのか。
3で出る可能性も薄く、おそらく、2の時点で鹿沼は死んでいるとしか考えられなかったのです。
しかし、死亡年が????です。
太正十三年三月の騒乱に巻き込まれて死んだだけなら、こんな表記にはならないでしょう。
よっぽどの何か事情があって、彼の死ははっきりしないのではないか。
そう思ったのが、銀仮面のはじまりでした。
空白の一年間を埋めるSSを、丁度ミュラー大将閣下が欧州を中心に書いていらっしゃいましたので、それでは、大神のいない帝都での物語ということになりました。
彼がいたことを知って欲しい。
彼が生きていた証を残したい。
あのキャラのどこにこれほどの魅力があったのかは夢織にもわかりません。
彼が死ぬ運命にあるのなら、その前に、彼が精一杯生きた姿を探そう。
そう思いました。
「見よ、そして忘るるなかれ」
この台詞は、夢織からみなさんへの提言です。
CDドラマではひたすら格好悪いだけの存在で、帝撃グラフの記述でも、すみれの方では鹿沼が誘うのはあくまで神崎家の娘だから、と思っている、などと書かれていますが、
本当にそうでしょうか。
華族としての立場は、男爵の神崎家より、子爵の鹿沼家の方が、形式的にとはいえ上です。
しかも、家を継げるかどうかわからないのではなく、実際に鹿沼草十は子爵位を得ています。
地位目的というのでは納得できません。
経済的な問題を考えても、既に鹿沼財閥を抱えており、極上のダイヤやルビーといったものをしょっちゅうすみれに贈っていたことを考えると、神崎家の財産目的というのも納得できません。
彼は、純粋にすみれのことを想っていた。
それが、夢織の結論です。
その想いの方向が正しかったのかどうかの判断は、読んで下さった方一人一人違うでしょうが、
少なくとも夢織は、書いていて彼に憧れました。
そして、彼は幸せだったと思っています。
鹿沼草十、そして、銀仮面と言う男が、みなさんの思い出に残れば幸いです。
最後になりましたが、この物語はたくさんの方にレスをいただきました。
毎回当然のように下さった方もいらっしゃって、本当にありがとうございました。
その他にも某所でネタに使っていただいたりと、読んで下さっている方が想像以上に多かったことがわかって、夢織は嬉しかったです。
また感想とは別に、スタッフロールに勝手に名前を入れさせていただいたお二人には本当にお世話になりました。
みなさん、本当に、本当に、ありがとうございました!
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