ダイの大冒険は、集英社週刊少年ジャンプにおいて七年間にわたって連載された漫画です。
原作は三条陸先生。漫画は稲田浩司先生。監修としてドラゴンクエストの原作者である堀井雄二先生が携わっています。
その世界は、ファミコンゲームドラゴンクエスト(連載開始は4の発売前です)の世界観をほぼ踏襲した独自世界です。
魔法やモンスターの存在、文明レベルなどは、ほぼ同じです。
まず、魔王亡きあとの世界で怪物たちが平和に暮らしているデルムリン島の唯一の人間である、少年ダイの最初の活躍が「デルパ!イルイル!」という前後編読み切りです。
この読み切りは、勇者を騙る悪党四人組(ニセ勇者一行)を、モンスター達を味方にしたダイが倒すという、ドラクエの世界観に壮絶な一石を投じた作品です。
この時に出てきたニセ勇者一行は、本編開始後も忘れた頃に(笑)登場し、最後の最後では世界崩壊を止める最後の一手を打つなど、実に楽しいキャラたちです。
また、このときにダイが王様からもらったアイテムは、本編の中盤以降に大いに関わってきます。
本編のキーパーソンにしてダイの恋人(?)、パプニカ王女レオナが初登場するのが三編構成の「ダイ爆発!」です。
この作品はダイの正体に関わる謎「竜の紋章」が初めて発動し、本編につながっていきます。
この時点で既に連載の構想があったのでしょう。
これら二作品は、プロローグとしてコミックス第一巻に収録されています。
魔王復活!
魔王が出現する、というドラクエのパターンとはひと味違う始まり方をする本編は、前大戦が十五年前という設定ならではです。
魔王復活で邪悪な衝動にとらわれたモンスター達で大混乱となったデルムリン島にやって来て、その混乱を静めたのは、勇者の家庭教師アバンと、その弟子ポップ。
一日も早く立派な勇者になるため、ダイはアバンに弟子入りし、次々と修行をこなしていく。
しかし、そこへ復活した魔王ハドラーが来襲。アバンこそ、十五年前に魔王を倒した勇者だった。
しかも、復活したハドラーは実は、魔界の神と呼ばれる大魔王バーンに命を救われ、全権を任された魔軍司令となっていた。
強大化したハドラーの前にアバンは命を落とし、ダイの怒りが爆発!辛くもハドラーを撃退する。
ここまでが事実上のプロローグです。
これから、様々な謎を含みながら、ダイはポップと共に大冒険に出るのです。
待ち受けるのは魔王軍の六大団長。
この中には、いずれ素晴らしい仲間となる二人や、幾度もダイたちを苦しめた難敵、ダイの出生に関わる重要人物、そして、大魔王バーンの秘密を握る謎の存在がいて、
物語はどんどん膨らんでいきます。
特に、ダイの大冒険が普通のドラクエと違うのは、何度もダイに破れながら、自分を高めていく魔軍司令ハドラーの存在です。
彼はまさしくダイに対するもう一人の勇者とも言うべき存在となっていきで、勇者としてのダイの強さは、彼との戦いを抜きにしては語れません。
もう一つ、大きな違いを挙げるなら、彼の存在がいつしか悲壮なものになっていくことです。
ゲームのドラクエは、何かの子孫とかでも、特に人々から疎外されることはありません。
しかし、勇者ダイの存在はかなり微妙です。
本編では要所要所でこの問題が語られています。
それを指摘する大魔王バーンに対して、十二歳の少年である彼の答えはあまりにも悲劇的です。
あとは、是非ともご自分で読んで下さい。
ダイの大冒険目次に戻る。
DRAGON QUESTの世界に戻る。
夢織時代の扉に戻る。