RE604の各種同等管他

 

Two versions of the RE604(TELEFUNKEN) and KL71403(KLANGFILM)

RE604-1  左からTELEFUNKENのRE604旧型管、新型管とKLANGFILMのKL71403旧型管と新型管です。
 一番左のRE604旧型管は、最初期の頃(1920年代後半)の製品で丸みをおびたプレートが特徴です。 フィラメントは、米国の2A3旧1枚プレート管のように細目の線材を何回も往復させる方法を取っています。 同じ旧ナス管でも後期のものは、プレートが角張った物となり、内部構造も同社のAD1に似た物に変わります。
 次は同じくRE604の新型管で、TELEFUNKENらしいST形状をしています。 写真では分かりにくいかもしれませんが、同じST管でもフィラメントが2本吊り(M型)と3本吊りのタイプが有ります。 この写真では、TELEFUNKENの物を後者、KLANGFILMの物(一番右)を前者の例として示して有ります。
 KLANGFILMのKL71403ですが、同社はWE社と違って真空管製造部門を持っていませんでしたので、真空管に関しては、他社からのOEM品を自社のアンプに使用していました。 KL71403は、TELEFUNKENのRE604相当管です。 同社は当時、TELEFUNKENの他、同じくドイツのTEKADEやSIEMENSからも真空管の供給を受けていました。 他の例としては、 KL70411=Ba(SIEMENS),KL72406=AD1(TELEFUNKEN),KL76303=RGN2504(TELEFUNKEN)等々、全て7で始まる5桁の数字を使用していましたが、現在残っている物は、数が少ないようです。 


 

Left to Right RE614(TELEFUNKEN),YO104(USSR),LK460(VALVO) and LK4110(VALVO)

RE604-2  左から、RE614(TELEFUNKEN),YO104(USSR),LK460(VALVO),LK4110(VALVO)です。
 RE614の内部構造、ベース部分それにガラス形状は、同時代のPHILIPS社の真空管を連想させますが、TELEFUNKEN製です。 また、当時としては珍しく4本のピアノ線でプレートを支える構造になっています。 ちょっと不思議な球です。
 YO104は、あまり知られていないと思いますが、旧ソ連版のRE604です。 TELEFUNKENの物をプレートとガラス形状とも少し大きくした感じです。(1930年代中頃の製品) 当時、旧ソ連でも西ヨーロッパの同規格品や独自の規格の真空管を多種製造しており、一度使ってみたい物が少なく有りませんが、現在では入手が非常に困難のようです。
 LK460は、VALVO版RE604で比較的良く知られた球です。 LK460は、次に出てきますPHILIPSのD404と構造等似た部分が多いようです。 VALVOは古くからのドイツのメーカーで、オランダPHILIPSの資本下に入ることになるのですが、この頃から何か関係が合ったように思われます。
 LK4110も同社製ですが、完全にPHILIPSのグループ下に入った頃の製品です。 VALVO独特のST形状が印象的な球ですが、内部構造からはフランスPHILIPSの流れを汲んでいるようにも見えます。 


Left to Right D404(PHILIPS),K435/10(TRIOTRON),E406(PHILIPS),E406N(RT) and U4H(MP)

RE604-3  左から、D404(PHILIPS),K435/10(TRIOTRON),E406(PHILIPS),E406N(RT),U4H(MP PEDERSEN)です。
 D404は、本家オランダPHILIPS版 RE604と言えます。 プレートは、米国の有名な45のプレートをそのまま縦に1.5倍した様な感じです。 典型的なPHILIPSのナス管形状をした綺麗な真空管です。
 次のK435/10 は、オーストリアのTRIOTRON社の物で、同社は1926年頃から真空管製造を行っていましたが、この球に関してはPHILIPS からのOEM品と思われます。
 E406は、次のE406Nの旧型管で、写真では分かりにくいですが、少し大きめのニッケルプレートが収まっています。 また、プレートの片側に逆U字型のガラス棒を固定しその上端にフィラメント吊り金具を固定するという、ちょっと変わった構造をしています。
 E406Nは比較的有名な球で、E406の後継品ですが、下のデーター欄にも有りますように少し規格が変更されています。 内部抵抗が少し大きくなり、プレート電圧500Vまで可となっています。 なお、写真の真空管はフランスの有力メーカー RT社製ですが、同社は1931年頃PHILIPS傘下に入った後、フランスでPHILIPS規格の真空管を製造するようになったものです。
 最後の U4Hは、デンマークのMP PEDERSEN社の製品で、頭が扁平気味のおもしろいST形状をしています。 なお、最近一部出回っている同社のU4Hは、何故か外観も特性的にもかなりオリジナルと異なっていますので、注意が必要です。



Left to Right 601(F.MAZDA),DW302(F.MAZDA),AC084(MULLARD) and P4(FERRANTI)

RE604-4  左から、601(F.MAZDA),DW302(F.MAZDA),AC084(MULLARD),P4(FERRANTI)です。
 601は、フランスMAZDA製でフランス版 RE604といえます。 上のPHILIPS D404のプレートを横に広げたような形状で、バランスの良い綺麗な形のナス管です。
 DW302も同じくフランスMAZDAの球です。 601を規格と外観とも一回り小さくした真空管ですで、厳密にはRE604系とは言えないかもしれませんが、一応ここで紹介しています。 プレート周辺は、少し前の時代の構造をしており、いかにも職人さんの手仕事の後が感じ取れる真空管です。
 残り2本はいずれも英国製で、AC084はMULLARDの製品です。 この球は、後により規格の大きい同社のACO44等に取って代わられたため、あまり製造期間は長くなかったようです。 よく見るとニッケル製のプレートの内側にメッシュ状の金網が張り付けられています。 エミッションの向上をはかった物でしょうか。 この様な例は、他には2,3例しか見かけたことが有りません。
 最後は、FERRANTIのP4です。 同社については、PX4系(別項)でも紹介していますが、このP4は同社のオリジナル品です。 カーボンスートの為、中はよく見えませんが、LP4クラスの大きさのプレートが収まっています。(1930年頃の製品)


Two versions of the P460(TUNGSRAM) and O15/400(TUNGSRAM)

RE604-5  左からTUNGSRAMのP460旧型管、新型管と同じくTUNGSRAMのO15/400旧型管と新型管です。
 なお、TUNGSRAM社は元々ハンガリーの有力真空管製造会社でしたが、1929年頃イギリスにBritish TUNGSRAM Radio Works と言う会社を設立し、真空管の生産を始めました。これは第二次大戦が始まるまで続けられたようです。
 P460とO15/400もこの時代の製品です。
 P460旧型管は、ガラスステム下部でプレート支持金具を固定する旧タイプの方式です。 また、プレート側面の1本のガラス棒から上下方向にピアノ線を伸ばし、その先端部でフィラメント吊る方法は、この時代の同社の真空管の特徴です。
 次のP460は、プレート支持金具を直接ガラスステムで固定していますので、時代が後の製品である事が分かります。
 O15/400旧型管は、写真では分かりませんが、TELEFUNKENのRE604旧型管同様、極細のフィラメントを何回も往復させる方式で、細部もRE604に大変良く似ています。 写真の球はどういう訳か米国のUXピン(2A3等)で、ソケット側面にガイドピンも有ります。 もちろんB4タイプも製造していました。
 O15/400新型管は、ST管時代の物で、二重マイカの採用等大変堅牢な構造と頭部が扁平気味のST形状が特徴の真空管です。(1930年代後半の製品)

TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
RE604	4 	0.65	250 	-45	40	1400	2.5	3.4	3500	1.7	10	
RE614	4	1.0	250	-15	48	1900	4.0	7.6	---	2.6	12	
YO104	4	0.7	250	-35	40	1400	3.0	5.0	---	1.5	12
LK460	4	0.65	250	-40	40	1300	2.7	3.5	3500	1.7	10
LK4110=RE614
D404=RE604
K435/10=RE604
E406	4	1.0	250	-24	48	1500	4.0	6.0	2800	1.5	12
E406N	4	1.0	500	-68	24	2000	3.0	6.0	11500	5.3	12
U4H	4	0.9	400	-30	26	4000	2.0	8.0	6000	2.5	12
601=RE604
DW302	4	0.3	250	-32	20	2600	2.0	5.0	5200	1.1	--
ACO84	4	1.0	400	-34	20	7300	1.1	8.0	---	---	--
P4	4	0.5	250	-21	30	---	2.8	7.0	---	1.0	--
P460	4	0.65	200	-30	50	1150	3.5	4.0	---	---	12
O15/400	4	1.0	400	-38	40	1800	4.5	8.0	---	---	15	Vamax500V

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