PX4の各種同等管

 

Left to right PX4 earliest type(OSRAM),PX4 later model(MARCONI),
PP3/250(MAZDA),PA20(MAZDA) 

PX4-1  左からPX4旧型(OSRAM),PX4(MARCONI),PP3/250(MAZDA),PA20(MAZDA)です。
 写真のPX4旧型管(1929年)は、ゲッタの為内部がよく見えませんが、内部の空間を100%利用して斜めに大型のニッケル製プレートが収まっています。 初期の真空管では、このようにプレートを斜めにしたり、水平にした例が多く見られます。
 次のPX4も旧型の部類に入る物で、プレートの固定方法が、大型の送信管の方法(プレートを支える2本ないし4本の支柱をガラスステム下部に金属板で固定)を踏襲している様子が良く分かります。 この時代(1930年頃)の大型の出力管は、概ねこの方式を採用していました。
 PP3/250は、MAZDAのPX4同等管です。 OSRAM等の物と比較してガラスの頂部が、少し扁平気味になっていますが、これがMAZDA社のナス管の特徴です。 なお、下に規格表を示しましたが、旧型ナス管のプレート電圧はMAX250Vとなっております。 以前同ナス管に正味300Vをかけている製作記事を 見かけましたが、新型管の規格をそのまま使用した様です。 すぐにこわれることは無いでしょうが、寿命は著しく短くなるでしょう。 数少なくなった貴重な真空管ですので、その規格を正確に理解して、大切に使いたいものです。
 同じくPA20は、PP3/250のフィラメント電圧2V版です。 PX4以前は、当時のバッテリーの電圧から2Vの真空管も多数生産されましたので、そのなごりとして2V管も製造されたものです。 以後は、急速にフィラメント電圧4Vに統一されました。



 

Four versions of PX4 later model(MOV)

PX4-2  左からいわゆるドーム型のPX4新型管の2種とSTタイプのPX4新型管2種です。 それぞれプレートに放熱用のフィンが付いたタイプも紹介しています。
 OSRAMとMARCONIのカラフルなオリジナルシールが印象的です。 STタイプの方は、1937年頃プレート電圧を最大300Vまで改良した物です。 ドームタイプは、もう少し後の製品と思われます。
 なお、OSRAMとMARCONIは、別々の会社と思っておられる方も多いかもしれませんが、これは全くの誤りです。 詳しくは、別途項目を設けて説明したいと思いますが、 どちらもMOVと言う会社のブランド名(GECブランドも同様です)で、同じ工場で製作されておりますので、区別して考えるのは、意味がありません。 この他にも輸出用のブランドを2,3使用しています。 このことは、上の旧型管の時代も同様です。
 一番右のPX4ですが、写真では見にくいかもしれませんが、MULLARDのロゴとACO44という型番が書かれています。 これは、明らかにMOV社がMULLARD社にOEM(自社製品を相手先ブランド名で製造納入)したものです。 この他の例として,MADZAからMOVにPP5/400を OSRAMまたは、MARCONIブランドのPX25としてOEMされた例(この全く逆のケースも有ります)等々、当時盛んにOEMによる供給が行われていました。
 購入される際は、この辺も確認された方がいいかもしれません。



 

Left to right LP4 earliest type(FERRANTI),ACO44(MULLARD),
S30C(EVER-READY),4XP(COSSOR),P12/250(TUNGSRAM) 

PX4-3  左からLP4(FERRANTI),ACO44(MULLARD),S30C(EVER−READY),4XP(COSSOR),P12/250(TUNGSRAM)です。
 このLP4は、英国のFERRANTI社製旧タイプ品です。 同社の真空管製造は、比較的新しく1930年頃で、LP4もこの時代の物です。 ただ、同社はその後他社からのOEMに切り替えましたので、オリジナルの球はあまり残っておりません。 LP4も、その後MOV社からのOEM品(PX4新型管)に切り替わりました。
 ACO44は、MULLARD社オリジナル品です。 同社は、英国を代表する真空管製造メーカーの一つです。 カーボンスートの為、中はよく見えませんが、右のS30Cとよく似たプレートが収まっています。 なお、PA20と同じくACO44にも2V管があり、ACO42(=S30D)が有りますが、外観は同様ですので省略します。
 S30Cは、EVER−READY社から発売されましたが、実は当時同社は真空管の製造は行っていませんでした。 主にMULLARDからOEM供給を受けていました。S30Cも同社製です。
 PX4の逆さ読みのネーミングの4XPは、COSSORらしい綺麗な造りの真空管です。 同社は、早くから(1916年)真空管製造をしていましたので、4XPの旧型管も存在すると思います。 一度見てみたいものです。
 最後がP12/250です。この種のTUNGSRAMのネーミングは、前と後ろの数字が各々プレート損失と最大プレート電圧を表しているのが普通ですが、この球の規格は、プレート電圧300Vの標準動作例が示されており、プレート損失も12Wより大きいと思われます。
   


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
PX4	4 	1.0	250 	-34	48	830	6.0	5	3000	2.5	12	旧型管
PX4	4	1.0	300	-42	50	830	6.0	5	4000	3.5	15	新型管
PP3/250	4	1.0	250	-30	40	1200	5.0	6	2300	---	12	旧型管
PP3/250	4	1.0	300	-37	48	1000	6.5	6.5	3000	4.2	15	新型管
LP4	4	1.0	250	-36	48	1000	5.5	4.7	2500	2.5	12	旧型管
AC044	4	1.0	300	-38	50	1200	5.0	6.0	2300	3.5	15	新型管
S30C	=AC044
4XP	4	1.0	250	-28.5	48	900	7.0	6.3	3000	3.0	--	新型管
P12/250	4	1.0	300	-42	50	850	6.0	5	4000	3.7	--

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