German Post tubes (Part 2)

 

SIEMENS & HALSKE Ca (front and back view) and Ce earliest type

Ca  左からSIEMENSの旧型 Ca (正面および背面)と同じく旧型 Ce です。
 Cシリーズは、A,Bシリーズと同じく1920年代終わり頃に発表された業務用管です。 米国のWE社の同じく業務用管104シリーズに相当するクラスの真空管です。
 左は、SIEMENSのCa で、発表当時のトップシール ナス管形状の物です。 内部の構造は、Aa、Ba 同様大変特色が有りますので、前後両面から撮影してみましたが写真では見にくいかもしれません。
 各電極の構造は、WE社の丸球の物に大変似ていますが(ガラスステム側面からガラス棒をJ字型に立ち上げ各電極を支持しています)、プレートやガラス形状などかなり大きい真空管です。
 フィラメントは、M字型の2本吊りでゲッタは使用していません。
 右は、SIEMENS Ce です。 Ca の改良型で基本的特性は同じですが、フィラメント電流を約半分にした省電力型です。 業務用真空管でよく見られる改良品種で、球の発熱を少なくし長寿命化を図ったタイプと言えます。 写真の球は、同じく発表当初のトップシールのタイプです。
 ガラス表面をシールドの為にメタルスプレーコーティングして有りますので、内部は見えませんが、恐らくCaと同様の構造をしていると思われます。 独特の趣を持った真空管です。
       



 

Two versions of the Ce (SIEMENS & HALSKE) and Cf

Ce  同じくSIEMENS Ce ですが、トップシールに代わってベース内に排気部分を収納したボトムシールになった頃の真空管です(1930年代)。
 ただ、不思議にこのタイプの球は、現在ほとんど見かけなくなりました。 恐らく製造数がそれほど多く無かったのかもしれません。 (前出のトップシールの旧型も1930年代引き続き製造されましたので、当時両者混在していました。)
 次の SIEMENS Ce は、1940年代に直管タイプに形を変えた物で、写真のCe は、戦後製造された真空管です。 内部の構造は、次のCf とほぼ同じと思います。
 ホルンのマークがご覧いただけると思いますが、これはGERMAN POST(郵政省)のトレードマークで、当時SIEMENSが納入する際プリントを施した物です。(このマークは、現在でも使用されています)
 Ce をさらに省電力化したのが、次のSIEMENS Cf です。 内部抵抗も約半分で、高感度化を追求した真空管です。(この様な進化は、WEの101シリーズでも同様にみられます。)
 ニッケルプレートの綺麗な真空管です。 なお、Cシリーズは、このCf が最終バージョンとなりました。
       



 

Left to right Ca (VALVO)、Cas (VALVO) and TS-14 (PHILIPS)

Cas  左からVALVO Ca、VALVO Cas、PHILIPS TS-14 です。
 ここでは、SIEMENS 以外のCシリーズを紹介します。
 左は、VALVO のCa です。 外観は、Part 1 で紹介しました VALVO のBa とほぼ同じですが、当然プレートは1.5倍ぐらい大きくなっています。
 次のCasは、Ca と電気的特性は全く同一ですが、Ce 同様シールドのためガラス表面にメタルスプレーコーティングされています。 
 なお、この様なコーティングは、欧州の戦前の真空管(米国でも一部例外的に存在します)ではよく行われていました。 ドイツでは、金色と銀色が多く使用されました。 因みに、欧州各国ではこの他に赤、灰色、緑なども有り、けっこうバリエーションに富んでいました。 アンプに使用するとなかなかいい味を出してくれます。
 PHILIPS TS-14は、名称は異なりますが、Cas と全く同じ真空管です。 本家オランダPHILIPS製で、欧州各国にも輸出されました。 PHILIPS社は、この他にAa,Ba,Ce,Da等々も製造しており、型番は全てTS- ○○となります。
 この他、日本ではあまり知られていませんが、北欧のスウェーデンでも GERMAN POST Tube を製造していました。
 Cシリーズには、この他に Cd が有りますが、フィラメント電流以外 Cf と同じ規格です。
   



 

Left to Right SIEMENS & HALSKE Da (front and back view)、SIEMENS Da tubular and Da (VALVO)

Da-1Da-2

 左からSIEMENSの旧型 Da (正面および背面)、新型 Da そして VALVO Da です。
 最後にDシリーズを紹介します。 と言ってもこのシリーズには、Daしか有りません。
 Da旧型管も内部が良くお分かりいただけるよう前後両サイドから撮って見ました。 Da は、WEの205シリーズに相当する真空管ですが、ガラス形状などは、はるかに大型の球です。 プレートは、WE205D の3倍は有りそうで、とてもプレート損失13Wの球とは思えない位です。 かなり余裕を待たせて設計されたように感じます。
 ガラス形状は、米国の250をスマートにしたような感じで、281(81のナス管)とほぼ同一のサイズです。 各電極の支持方法は、Ca 等と共通ですが、Da はガラス棒の先端がさらにT字型に加工されており、この部分を介して各電極を支持するようになっています。
 当時、この様な手の込んだ加工しにくい構造ながら(サンプルでなく)量産していたのですから、まったく頭の下がる思いです。 ドイツ人だから出来た”いい仕事”の銘球と言えるでしょう。
 (戦前、同じドイツのTELEFUNKEN社では、軍用や業務用真空管を専門に製造する Works が存在しました。 恐らくSIEMENS も当時同様の体制で製造していたと思われます。)
 次は、SIEMENS Da 新管で、戦後の製品です。 写真では、大きく見えますが旧型管と比べるとかなり小型になっています。 前出のCfとほぼ同じくらいのサイズで、プレートの大きさは Cf の5割増しぐらいです。 新管もSIEMENSらしいしっかりした造りをしていますが、旧型管と比較するととても規格が同じ球とは思えないぐらい異なります。
 なお、新旧の中間に通常のナス型管が存在したと思いますが、当ギャラリーには現物が有りません。 もし見つかれば、紹介したいと思います。
 最後は、VALVOの Da です。 プレートの大きさは、WE205F とほぼ同じぐらいといった感じです。 内部の造りをよく見ますとあまりドイツの真空管らしく有りません。 このDa は、1940年代前半頃の製品と思いますが、VALVO社はこの頃には PHILIPSの傘下に入っていました。 この時期のVALVOの製品には、PHILIPS とりわけフランスPHILIPS(ブランド名 DARIO他) の影響を受けている真空管が存在します。
 Da もそうした製品の一つのようです。 何となく優雅な印象を受ける真空管です。 

 


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)
Ca	3.65	1.1	220	-12	20	4.1K	1.7	6.8			10
Cas	= Ca
TS-14	= Cas
Ce	3.8	0.5	220	-12	20	4.1K	1.7	6.8	4K	0.2	5
Cf	3.8	0.25	130	-8	25	2K	3.0	6.0	2K	0.15	4
Da	5.8	1.1	220	-30	50	1.45K	2.5	3.6	1.5K	1.0	13

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