German Post tubes

 

Two versions of the BO(SIEMENS & HALSKE) and PTT-O(SIF)

BO  左からSIEMENSの旧型 BO,後期 BO,SIFの PTT-O です。
 SIEMENS BOは、見かけよりも新しく1926年頃の製品ですが、1910年代のドイツ真空管の構造や雰囲気を残しているガラス細工のような大変綺麗な真空管です。
 プレートは、横向きの円筒状(1910年代から20年代初期の真空管では、ごく普通の形態です)で、グリッドも7本のバー状の物が円筒状に並んだ構造をしており、 その中を1本のフィラメントが貫通しています。
 次のSIEMENS 後期型 B0 とフランスのSIF社のPTT-Oは、細部を除いて同じように見えます。 この球もプレートは水平向きで、WE101系の丸球のプレートを水平になるよう90度回転させたような感じです。 ただ、変わっているのはプレートとグリッドの軸が水平方向に90度ずれて交差している点です。 この様な構造は、初期のフランスの真空管にたまに見られるものですので、  SIFの方がオリジナルで、SIEMENS BO は、SIFからのOEM品かもしれません。 フィラメントは、平行に1往復しています。
 なお、BO は後に現れるAa 等に取って代われる事になります。        


 

Three versions of the Aa (SIEMENS & HALSKE)

Aa  1920年代末頃に Boなどの旧Bシリーズに代わって、A,B,C,D,Eの各シリーズがSIEMENSから新たに発表されました。 各シリーズは、発表順にa,b,c,を付加した名前がつけられています。 つまり、Aシリーズの最初の真空管がAaとなるわけです。
   左のSIEMENS Aa は、発表当初のタイプで、ガラス表面のメタルスプレーによるコーティングのため中は見えません。 機会が有れば、一度中を見てみたいものです。
 次のクリアーガラスタイプのAa は、'30年代のものです。 後から出てきます Ba、Ca、Da などと内部の基本構造はだいたい共通しています(外形は段々大きくなります)。 また、米国 W.E.社の101系等々とも基本構造が驚くほど似かよっています。 何れにしても、1本づつ手作りしていた時代だから出来た手の込んだ真空管です。
 フィラメントは、1本吊りの逆V字です。
 最後のAaは、戦後の直管タイプのもので、構造は一新されています。 なお、このAシリーズは、Aa しか発表されなかったようです。     


 

Left to right Ba earliest type(SIEMENS & HALSKE),Ba (SIF),Ba (SIEMENS)

Ba-1  左からSIEMENSの旧型 Ba,SIFの Ba,SIEMENS Ba です。
 左のSIEMENS Ba は、1920年代末頃の初期のタイプで、基本構造は、Aa とほぼ同一ですが、ガラス形状とプレートのサイズが少し短くなっています。 Aa 同様大変綺麗な真空管です。
 プレートとグリッドは、W.E.の101系等と同様ガラスステム側面からJ字型のガラス棒を立ち上げ、ピアノ線を介して支持されており、先端でフィラメントの吊り金具も固定して有ります。 フィラメントは、M字型の2本吊りとなっています。
 次は、Bo のところでも登場したフランスのSIF のBa です。 この球も細部を除いてSIEMENS の物と同一ですが、こちらはゲッタが有るタイプとなっています。
 上記の支持方法が分かるように側面から撮影してみましたが、解像度(余り重たくならないようにかなり圧縮して有ります)の関係で見にくいかもしれません。
 右のSIEMENS Baは、排気方法をトップシールからボトムシールに改良されたもので、1930年代後半頃の製品と思われます。   


 

Left to Right Ba (VALVO),three versions of the Ba (SIEMENS),Bh (SIEMENS),Bi (SIEMENS),Bi (VALVO) and Bi tubular(SIEMENS) ba-2bi
 左から Ba (VALVO),Ba (SIEMENS) 3種,Bh (SIEMENS),Bi (SIEMENS),Bi (VALVO),Bi (SIEMENS) です。
 VALVO のBa とSIEMENS Ba 新型管3種ともプレートはほぼ共通で、フィラメントも全て3本吊りとなっています。 VALVO社もSIEMENSと同様 POST Tube を製造していましたが、このBa が一番知られているかもしれません。
 真ん中のSIEMENS の2本は、電極とフィラメント吊り金具の固定のため白のセラミック板を採用していますが、ST管の方は、その3カ所で組み紐のような物を介して電極をガラス内壁に固定するようになっています。 この手法は、SIEMENS 独自の物で戦前の一時期の特徴です。
 最後のBa は、戦後の物ですが、戦前の構造を忠実に再現しています。
 続いてその他のBシリーズとしてBh とBi を紹介します。 どちらもBa の発展型と言えるでしょう。 
 Bh は、フィラメント電流を小さくした省電力タイプで、内部抵抗もかなり小さくなっています。 
 次のBi は、中ミュータイプの真空管でTELEFUNKEN のREN904 に近い特性をしています。 Bh 同様メタルスプレーコーティングのため内部は見えませんが、Bシリーズとしてはめずらしく縦型円筒プレートを採用しています。 また、このBi のみベースは、Ed 等と同じ POST 7ピン(BO からBh までは全て POST 5ピン)です。
 Bシリーズは、この他に Bb,Be,Bf が有りますが、Bb とBfは Ba 同等管、Be は Bh 相当管です。
 ここまで紹介しましたように POST Tubeは、ドイツ、フランスを中心に1920年代から戦後まで主に有線電話回線の増幅管として長く使用されましたが、他のヨーロッパ諸国でも同様に生産されておりました。 PHILIPSが各同等管をオランダはもちろんイタリア他に供給していましたし、オーストリアでは、SIEMENSが製造、供給していました。 英国では、もちろんSTC社が、WE 同規格品を製造販売しておりました。
 なお、Part 2 では、より大型のC、Dシリーズを紹介する予定です。
 


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)
BO	1.7	0.07	135	-2	1	40K	0.6	25	---	---	---
Aa	3.8	0.5	220	-2	3	30K	1.0	30	30K	0.01	2
Ba	3.5	0.5	220	-6	3	25K	0.6	15	25K	0.06	2
Bh	3.8	0.16	130	-4	8	5K	2.4	12	5K	0.06	3
			(250 MAX)
Bi	4	1.1	220	-3	10	11K	2.5	27.5	---	0.08	3

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