Edの各種同等管他

 

Two versions of the Ed(SIEMENS) and Ed(VALVO)

Ed-1  左からSIEMENSのEd 旧型管、新型管それにVALVOのEdです。
 ドイツの戦前の真空管に関しては、文献も少なくまた国土が直接戦渦に遭いましたので、現物もあまり現存しておりません。 Edもその最たる例かもしれません。 また、完全な業務用途管でしたので、生産数もあまり多く無く特に戦前は民間には出なかったようです。 ただ外観やその特性からAD1から派生した真空管と考えて良いと思います。
 SIEMENS Edと言えば、日本では真ん中の新型管と思われている方が多いと思いますが、こちらは戦後特定の用途のため作られた比較的新しい球で、旧型管に比してプレート損失20Wは少々つらいと言う印象を受けてしまいます。
 左の旧型管がオリジナルのEdと言えると思います。 プレート辺りの構造の緻密さとその出来映えは、さすがドイツの真空管と思わせるものです。 写真の球はベースが黒の鉄製の物ですが、時代により VALVOのEd のようにベークライト製や新型管のようなアルミ製のタイプも有りました。
 右の VALVO Edは、同じく同社のAD1を改良した物と思われます。 やはり業務用に使用されていた球です。 ちなみに写真の真空管は、オーストリアの国営放送局にストックされていた物です。      


 

Left ; Eb (SIEMENS). Right ; Ec (SIEMENS)

Ed-2
 左がEb(SIEMENS)、右が同じくEcです。
 Ebはその型番からEdより開発が古い事になりますが、詳しいことは不明です。 Ebに関しては、チューブマニュアルによって若干データー異なっており、SEIMENS社オリジナルのデーターが手元に有りませんので、一番信頼できそうな ドイツのマニュアルから引用します。 プレート損失は30W(Edは20W)で、旧型のEdと比較してもプレート本体は両者ほぼ同じですが、側面の放熱フィンの大きさは、Edの2倍強有り、プレート損失の向上を考えた設定が成されていたようです。
 なお、ここに紹介していますEd系の中でEbのみ ベースはB4(PX25等と同じ)で、他は全てGerman Post7ピンです。
 Ecは、ガラス表面がメタルスプレーのコーティングがされていますので、中は見えませんが、唯一傍熱タイプで、プレート損失は25Wです。
 写真の球は、比較的初期の物で、後期の物はコーティングが銀色、ベース部分の紙リボンが黄色となりますが、 ここでは省略しています。    


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
Ed	4 	1.0	250 	-49	65	650	6.0	3.9	2500	4.0	20	
Eb	4	1.5	250	-45	120	660	5.0	3.2	---	---	30
Ec	18	0.7	250	-23	90	680	10.5	6.9	1700	4.0	25

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