50の各種同等管

 

Left to right 450(DeForest),SX-250(SYLVANIA),UX-250(RCA)

50-1  左から450(DeForest),SX-250(SYLVANIA),UX-250(RCA)です。
 250は、劇場などのPA用大出力アンプの需要を満たすために、1928年頃 WESTINGHOUSE社が開発したもので、当時商社的存在のRCA(真空管は直接生産していませんでした)に供給していたようです。 この時期真空管の製造技術では欧州各国に大きく水をあけられていた米国としては、画期的な球の登場と言えます。
 450は、真空管の黎明期から米国各社をリードして来たDeForest社がRCAに吸収される直前(1929年頃)に発売した製品です。 同社の当時の技術レベルの高さを感じさせる1本です。
 次のSYLVANIA のSX-250は、メッシュタイプのプレートを採用した一例として紹介しています。 当時250にメッシュを採用していたのは、比較的中小のメーカーの場合が多く、SYLVANIAの様な大手ではめずらしい例と思います。 なお、同品番の場合メッシュプレートが通常の板プレートの物より古い物と考えておられる方が多いかもしれませんが、 一概には言えないようです。 同時期にSYLVANIAでも、通常プレートの250を出していました。
 最後は、一般的なRCAブランドの UX-250です。 上記のようにこの時代は自社製造品ではありませんでした。 GEなど他社からRCAに供給された物です。 なお、RCAではメッシュプレートは採用しなかったようです。
    


 

Left to right C-585(CARDON),C-586(CARDON),G-50(MAJESTIC)

50-2  左からC-585(CARDON),C-586(CARDON),G-50(MAJESTIC)です。
 CARDON(SPARTON)は、当時多数存在した独立系の会社の一つで、C-585,C-586の他にもユニークな真空管を製造していました。
 写真では分かりにくいかもしれませんが、C-585はメッシュプレートを採用した250同等管です。 型番を250としなかったのは、同社の特徴でもあり、RCAが独占していたライセンスとの関係も有ったのかもしれません。 プレートやグリッドの支持方法も独特で、プレートやガラス形状もRCAの250等よりも若干長くなっています。  これもライセンスを意識した結果かもしれません。
 C-586も250同等管で、こちらは通常の板プレートを採用しています。 その他の基本構造は、Cー585と同じですが、プレートは後に登場するST管の50の物に近い形状をしています。 なお、同社は後にライセンスを取得し SPARTONブランドで50(450)も販売しています。
 次も独立系の MAJESTIC社のG-50です。 この球の特徴は、プレート両側に大型の放熱板が有りその端部とプレートの端部の計4箇所でプレートをサポートしているところでしょうか。 また、UXベースの特徴であるガイドピンも無く、ガラス形状も同時代の欧州管を思わせる姿をしています。
 この様に米国でも独立系のメーカーでは、他社と若干異なる製品をいろいろ発売していましたが、1930年代半ば以降次第に各社特徴が無くなってしまう事となります。 (この辺は、米国民生市場を席巻したRCA社の功でもあり罪でもあった訳です。)
 なお、独立系の雄 RAYTHEON社の一連の製品に関しては、別途項目を設けて紹介していきたいと思います。
 


 

Left to right SX-250 later type(SYLVANIA),50(N.U.),50(RAYTHEON)

50-3  左からSX-250(SYLVANIA),50(N.U.),50(RAYTHEON)です。
 250の後期、ST管の50が発表される直前の例として、前出のSYLVANIA SX-250を再度挙げてみました。 プレートは、ST管の物とほぼ同じものに変わっており、ベースのガイドピンも無くなっています。 現在一般に使われている差し込むだけのUXソケットが、この頃有る程度普及していたようです。
 1933年に250の改良版である ST19サイズの50が登場してきます。 ここでは、NATIONAL UNION社の50を一例としてあげて有ります。 写真では分かりにくいかもしれませんが、輸出用品質テスト済みというシールが貼られて有ります。 50は、当時真空管先進国であった欧州各国にも確かに輸出されていましたし、  また欧州のメーカーでも50(250)の同等管を製造していました(いずれ改めて紹介したいと思います)。 この事からも50の当時の評価を伺い知ることが出来ると思います。
 なお、同じくST19サイズを採用したW.E.社の300Aが登場したのもこの年です。
 最後は、さらに小型化された ST16サイズの50です。 写真の物は、RAYTHEONの50で、陶製の絶縁材の採用等、信頼性の向上が図られて有ります。(構造は、各社共通です。)     


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
250(50)	7.5	1.25	350	-63	45	1900	2.0	3.8	4100	2.4	25
			400	-70	55	1800	2.1	3.8	3670	3.4
			450	-84	55	1800	2.1	3.8	4350	4.6		MAX

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