10の各種同等管

 

Left to right UV 202(RADIOTRON),UV 210(RADIOTRON)
PA210(PERRYMAN),210(SYLVANIA)    

10-1  左からUV202(RCA),UV210(RCA),PA210(PERRYMAN),210(SYLVANIA)です。
 1921年に発表のUV202は、WEの一連の業務用丸球シリーズを除けば、米国最初のオーディオ用出力管と言えると思います。 10系の真空管は、元は送信管として発表されましたが、早くから民間ではアンプの最終段に 利用されておりました。 RCAの旧ロゴがご覧になれると思いますが、製造はGEが行っていました。
 UV210は、その後(1924年)発表された物で、VT62(801)へと進化していくこのシリーズの原点になる真空管です。 ただ、翌年にUXピンのUX210に取って代わられましたので、製造期間も短く余り現存していないようです。
 PA210は、大型のガラス形状と大型のメッシュプレートを採用した例の一つとして紹介しています。 白タイトベースと相まって綺麗な真空管です。(1920年代後半の製品)
 次の210は、SYLVANIAが一時期出していたHYGRADEシリーズの一つです。 同シリーズは、いわゆるカーボンプレートの採用を売り物にしていたもので、この210も同様です。 非常に頑丈な造りで、後のVT62を連想させる 構造と独特の外形が大変印象的な真空管です。(1930年代前半の製品)



 

Left to Right 410(De Forest),510(De Forest),UX210(RCA),10(RCA),10(KEN-RAD),VT25A(HYTRON),
         VT25(W.E.),801(RCA),VT62(TAYLOR)

10-210-3
 410と510は、共にDeForestの製品で、1929年頃の物です。 同社は、RCA等の200番代(210等)の型番に対し400と500番代を使用していました。400番代は受信管、500番代は送信管と区分していたようです。  写真からも分かるように、410はガラスの直径を除いて後で出てくると思いますが450その物に見えます。フィラメントも450(250)と同じ酸化被膜タイプを使用(510も同様、他社の210は主にトリエーテッドタングステン(通称トリタン)を使用)しています。
 510は、送信管としての使用を意識してか、かなり頑丈な造りとなっています。(プレート両側面をU字型金具で補強し、ガラスステム下部で固定して有ります。) プレートは何故か250の後期型のような形状が採用されています。
 UX210は、1925年にUV210に代わって発表された球で、発売当初の物は、UVベースの様な背の高いベースを使用していましたが、すぐに写真のような標準の物となりました。 ガラス形状もプレートもUV210より少し大型化されています。
 次の10は、210の後期型で同じくナス管形状ですが、STタイプの10が発表されるまでの過渡期の製品です。 プレートは、ST管の時代の物が、この時期から採用されているのがよく分かると思います。
 STタイプの10として、KEN−RADの物を紹介しています。 ST管の時代になるとマイカ板を使用しガラス内部に密着、固定する構造となり耐震性等の高信頼化を計るようになります。(逆にこの為にST形状になったとも言えます。)
 次のVT25Aは、WEからの依頼でHYTRONが生産した球で、WEの要求するスペックを満たすため、通常のVT25Aのプレートを採用せずより大型のVT52の物を使用したタイプ(写真の物は1942年製)で,当時軍の小型無線機用に採用されていました。
 WEのVT25も主に軍の小型無線機用に1935年頃から納入された物です。 WE300Aの発表が1933年ですから、WEの真空管の中でも古い部類に入ると思います。 WEのいわゆるオールドタイプの構造を持つ大変綺麗な球の一つです。 なお、VTナンバーと言うのは、 各メーカーが軍に納入する真空管のみに使用した呼び方で、VT25,VT25Aは、それぞれ民生品の10,10Yに相当します。
 最後の2本は、10のシリーズ最終バージョンとも言うべき、高耐圧、高耐震版の801(VT62)です。 中でも、カーボングラファイトプレートを採用したRCAの801(旧型)は、大変すばらしい出来映えだと思います。 その後は、通常のプレートを持つ801Aとなります。
 TAYLORのVT62も送信管仕様の白タイトベースの物です。 各社とも当初はVT62には、同様のタイトベースを採用していましたが、次第に通常のベース代わりました。
 UV202から始まる一連のこのシリーズは、戦後も生産され、米国の民生用真空管を代表する大変息の長い製品となりました。
 

TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
UV202	7.5	2.35	350	---	45	---	---	8	4000	--	--
UV210	7.5	1.25	425	---	18	---	---	--	---	1.5	--
UX210	7.5	1.25	425	-39	18	5000	1.6	8	10200	1.6	12
10	=UX210											=VT25
801	7.5	1.25	600	-55	30	4300	1.84	8	7800	3.8	20	=VT62

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