National Union

 National Union (National Union Radio Corp.) は、Magnatron (Connewey Electric Laboratories), Marathon (Northern Manufacturing Co.), Sonatron (Sonatron Tube Co.), Televocal (Televocal Corp.) の異なる4社が連合して1929年に設立された会社です。
 1920年代米国では、ラジオ受信機の普及が始まるにつれ、民生用受信管を製造する会社が1925年前後から急激に増えていきました。 その大多数は、巨大消費地 New York とその近隣のNewark 周辺地域に設立されています。 この4社もそうした会社でした。
 当然のように過当競争による淘汰が始まり、1930年代にかけて多くの会社が消滅して行く事になります。 中小規模メーカーで有ったこの4社が生き残りをかけた National Union 設立にはこの様な時代背景が有ったようです。
 4社の内 Marathon と Sonatron の当時(合併前)のBOX を紹介します。
 Marathon は、その名前のとおりマラソンランナー?のデザインが印象的なBOXです。 次の Sonatron はシンプルなデザインですが、何となくレトロな感じです。 なお、BOXにも書かれて有りますが、Sonatron は、New York, Newark の他 Chicago, Detroit にも拠点を持っていたようです。
 (この様に北部地域(五大湖南岸)に設立されたメーカーも少なく有りませんでした。 また、少数派となりますが、西海岸にもいくつか設立されていました。)
 また、このSonatron は、一時 青ガラスや赤ガラスを使用した大変綺麗な真空管を出していた事でも知られています。 (青ガラスを使用したメーカーは、他にも何社か存在しましたが、赤ガラスの真空管は(戦前では)他にほとんど例が無いと思います。)
  

 この4社連合は、正しい判断であったようで National Union 社は1930年代に急速に発展し Sylvania,Raytheon,Tung-sol などと並ぶ独立系有力メーカーとなりました。
 同社に関して特徴的なのは、新しい規格や製品に真っ先に取り組むという姿勢でした。 例としては、後に米国の主要規格となった6.3V管やメタル管が上げられます。
 また、時々他社とはちょっと異なるユニークな製品を出したりしています。 勿論真面目なメーカーですが、時に思わず絶句するような物も出している貴重な会社と思います。
 その後、第二次大戦中(1943年)には、政府向けの送信管や工業用真空管の分野にも進出しています。 WE規格の真空管を製造したのもこの時代でした。
 下の左端が National Union 設立当初のBOXで、シンプルなデザインながら、配色の綺麗なBOXです。
 次の2本は1930年代半ば以降の物で、ゴールド(左)とシルバー(右)の2つのバージョンが有り、配色が少し異なります。 どの様に使い分けていたかは不明です(ゴールドの方が少し古い?)。
 右の2本は、日本でもお馴染みの物で、左が1940年代の代表的なBOX、右は最後(1950年代?)まで使用されたBOXです。
 



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