G線上のアリア

弦楽器の美しい響きのなかに深い感動を呼び起こす名曲です。

J.S.バッハ(1685-1750)は、序曲で始まり、その後4曲から6曲の舞曲が続くという構成の管弦楽組曲を4曲作曲しています。この中では第2番と第3番が有名です。特に1722年頃に書かれたといわれている第3番(BWV1068)の中の第2曲「エア(アリア)」は弦楽器だけで演奏されていて、その美しいメロディで親しまれています。

このJ.S.バッハの「管弦楽組曲第3番」第2曲「エア(アリア)」は、19世紀のドイツの大ヴァイオリニストであるウィルヘルミ(1845-1908)によって1871年にヴァイオリン独奏用に編曲され、G線1本で弾けるようになってから「G線上のアリア」として有名になったようです。G線とは、ヴァイオリンの4本の弦の中で一番低い音を受け持つ弦のことです。G線1本でこの曲を弾くその様子は名人芸のようだそうですが・・・

しかしこの「エア(アリア)」は多くの演奏ではG線のみで弾かれるヴァイオリンのソロではなく、オリジナルのほうの弦楽合奏のようです。ソロでの演奏ではとりわけムジカ・アンティクワ・ケルンのものが美しいそうですが、残念ながらもう廃盤となっているようです。私はまだ聴いたことがありません・・・ガーディナー盤(エラート)も名演奏だそうですが・・・

ともかくこの曲はとても多くの種類の演奏が世に出ています。上記の2種類の「エア(アリア)」以外にもゲイリー・カーによるコントラバスでの演奏、トランペットとオルガンのアンサンブル、ハンドベルでの演奏、オーケストラをバックにしたパンフルートの演奏、サクソフォーンの演奏、ブラスアンサンブルも・・・その他アレンジ版はたくさんあり、クリスタルガラスの音をサンプリングしてMIDI化された演奏、シンセサイザーでの演奏(私が持っているものでは、富田勲「バッハ・ファンタジー」、ウエンディ・カーロス「スイッチト・オン・バッハ」というCDにあります)、また沢井忠夫によって琴で演奏されたものまであるようです。

また、この「G線上のアリア」は多くのアーティストによってジャズにも編曲されています。私は、多くのJ.S.バッハの音楽をジャズに編曲したジャック・ルーシェ、スキャット唱法で一世を風靡したジャズ・ヴォーカルグループであるスウィングル・シンガーズのCDを持っています。他にもジャズにも編曲されているものはたくさんあると思いますが・・・

ピアノを習っていた私にとって初めはバッハといえば「ピアノ教本」で弾いていたものですがピアノ以外の作品も聴くようになって改めてバッハを好きになりました・・・
この「G線上のアリア」はその最も好きな作品のひとつです。

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