「ほのちゃんうまくできるかな」

下校する一人の女子高生。下を向いて何やらつぶやきながら歩いている。
「はぁ・・・みんな薄情よね・・・彼氏持ちは帰った帰った、って」
誘われた放課後のカラオケはいつのまにか合コンに化けていた。しかも、
女の子の方が一人多いということで友人たちに追い出されてしまった。
(その彼に逢えなくて寂しいから誘われたときOKしたのに・・・)
周りのことなど目に入らない様子で歩き続ける。そのとき、
「ほのか!」
聞き覚えのある、でもここにいるはずのない人の声。
ほのかは慌てて振り向く。
そこには、いつも胸の内から離れない彼の顔があった。

「もう、来るんなら連絡してくれればいいのに・・・」
ほのかの小言。しかし、内心は予想外の幸運な出会いに打ち震えていた。
「ゴメンゴメン、ちょっと予定外の休みが出来てさ。ほのかに逢えたら
 いいな、と思って出てきたんだ・・・逢えてよかったよ」
「・・・嬉しい・・・」
頬を染めてほのかは彼に寄り添う。
今日、両親は一緒に出かけている。だから、彼をうちに招待した。
部屋のベッドの上で仲睦まじく身を寄せる二人が、早々とそういう雰囲気に
なるのも無理はなかった。
「ほ、ほのか・・・胸が・・・その、当ってる」
「あ・・・ううん、いいの」
そう言いつつも、ほのかの眼は彼のGパンの膨らみに釘付けだった。
彼女には、まだ男の人の生理についての詳しい知識はない。
彼との睦み合いは常に受け身だった。無論、気持ちはいいのだが
最近、それだけではいけない、と友達に聞いた。
(「ほのか、たまには彼のことも愛してあげないと飽きられるわよ」)
彼はそんな人じゃない、とは思う。正直、男の人の・・・をどうこう
するというのは抵抗がないわけではない。でも興味はある。
彼女の葛藤は、彼の股間を見つめているうちに小さくなっていった。
「あ、あのね・・・これ、見せて貰っていい・・・かな」
なんとなく自信なさげにほのかが尋ねる。
「え・・・あ・・・うん、いいよ」
彼も、ちょっと驚きながらも期待しつつ、頷き返す。
そうして、ほのかの初めての経験はスタートする。

「んん・・・む・・・」
拙い動き。だが、彼にとっても、彼女にとっても初めてのこと。
ほのかの小さく柔らかな唇が、彼を暖かく包み込む。
徐々に硬度を増す脈動にほのかは思う。
(あ・・・私の中で・・・こんなに・・・)
初めて感じる想い。彼女の動作にも少しずつ力が入る。
やがて、限界が来る。
「あ、あ、ほのかっ、出るっ!」
(えっ?な、何?)
ひときわ大きな脈動に、驚いた彼女は濡れた唇を離す。
その瞬間。
「きゃ!?」
ほのかの火照った顔に、それを上回る熱い迸りが飛び散った。

「・・・こんなのが出るんだ・・・」
「ほ、ほのか?」
「いつもは付けてたから、中には出なかったんだ・・・」
「あのー、ほのかさん?」
「お馬さんとは量が違うんだ・・・」
「おいおい?」
馬と比べられて大弱りの彼をよそに、ほのかはまだ呆然とした面持ちで
つぶやくのだった。

SS作/らむねさん


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