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●まえおき

日米青年政治指導者交流プログラム」は、1973年以降継続的に行われている議会交流事業(この初代団長は故・小渕恵三氏)である。主催は、日本側が(財)日本国際交流センター(Japan Center For Internatinal Excange. 以下、JCIE)・国際交流基金日米センター(The Japan Foundation Center for Clobal Partnership. 以下、CGP。第16回より共催)、アメリカ側が米国青年政治指導者会議(The American Council of Young Political Leaders. 以下、ACYPL)である。JCIEとACYPLの共催プログラムは、日米議員交流、日米議会スタッフ交流など、議会交流プログラムを一環として行っている。

共催団体はいずれもNPOである。これらはいずれも、日米関係のみならず多国間においての人的交流に携わってきている。たとえば、1966年に設立されたACYPLは、ベトナム戦争のような「事実に基づかない政治決定」を二度と起こさないように、約80カ国と交流プログラムを組み、その半分の数ではあるものの、実際の政治を見聞する機会を提供してきている。その年間予算は150万ドルであり、半分以下を国務省、残りを企業・財団・個人(特に交流プログラムの同窓生)からの寄付によって賄われている。

第16回訪米プログラムは、参議院選挙が夏に行われることとなったため、例年の夏開催を今春に行うこととなった(2001年4月21日〜5月5日)。

山本正JCIE理事長は、本プログラムによって日米協力関係の向上に貢献すること、そのためにはそれぞれの国内における政治的・経済的・社会的な問題と政策決定過程についての相互理解が必要であることを主張する。これは、山本理事長によれば、「誰が国をまとめていくのか」というgovernance それ自体がひとつの大きな問題として存在しているからである。ガバナンスは、「官僚に頼らない政治」の到達点をどこに見いだせるのか、政治家と官僚は何をすべきなのか、政治指導者に必要な資質は何か、中央政府と地方政府との関係はどうあるべきか、等、日米両国において今なお議論される課題の基底にある問題である。視察と懇談においては、中央政府と地方自治のあり方(ブッシュ政権では教育問題と政教分離問題に顕著となるだろう)、権力の分散(自治体の行政がどのように効率性を発揮しているか)に視点をおいて臨むべきことをご教示頂いた。

ワシントンD.C.をまず最初に、オクラホマ州、カリフォルニア州オレンジ郡及びロス・アンジェルス郡へとアメリカ大陸を横断する。これにより、現在のアメリカ合衆国の政治・社会状況 -- 連邦と地方政府の役割分担の「現状」、党派に拘わらない協力関係、「有権者」との接触方法、多様な人種・文化を持つ社会の問題とその解決方法 -- を概観できたばかりか、連邦・州政府の議員、政府の各種政策に影響を与えるNPO指導者、ロビイストとの懇談とを重ね併せる機会をも得ることができた。その結果、日本政治が現在抱えている共通の問題だけでなく、将来的な問題についても、また、日米関係を含む今後の外交状況等についても、思いめぐらす際の指針のひとつを得ることができた。これらを今後、役立てることのできるように、研鑽を積んでいきたい。


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