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初出・ 26 May 2002

 

「寝子」の生命力

 

人間なんか及びもつかない・動物の「精神力」。

すっかりご無沙汰いたし、「日誌」どころか「年誌」。しかも2年ぶりという有様で申し訳ありません。途中、オミト・トシゾウはどうなったのでしょうか? というお問い合わせも頂きました(^_^;) 通院を欠かせない日々ではあるものの、息災です。

臣人はFIV(猫エイズウィルス)陽性。まったく無症状ではなく、自発的口内炎の炎症が起こっています(人間の口内炎もつまるところ何が原因で生じるのかわからないらしいですね)。尤も、幸いにして、免疫は残っている状態です(現在の主治医曰く)。体重は昨年からぐっと増え、現在は3.95kgになっています。カリカリも食べれるまでになりました。しかし、「人間だったら痛くてたまらなくて御飯も食べれませんよ」との先生のお言葉。口内炎の症状はなかなか消えてくれません。

歳三は好酸球性肉芽腫。肉体のあちこちの皮膚が剥けてくる症状がありました。一時は後ろ足の付け根とお腹の皮膚。これが治ったと思ったらしばらくして、両前足の肉球。そして口蓋内。痛みがまったくないのが幸いです。しかし見ていると、あまりにも痛々しいほどに、肉が削げていきます。現在は治療のお陰でいずれも、症状が収まり、残りは口蓋にちょっと跡が見受けられるのみです。

人間の私から見て不思議に思うのは、それぞれ原因が異なる症状に対して同じ薬品を使い、症状を抑えるところです。エイズにしても、好酸球性肉芽腫にしても、いずれも人間についても似たような病気があります。それぞれに対して使われる医薬品を試すという選択肢ももちろん先生からお伺いしていますが、現在はそれらは未使用。いずれも人間用の「ステロイド」の錠剤を利用しています。動物用の医薬品というものはそもそも開発されていない状態なので、猫に限らず動物の治療には(動物実験を経ているものばかりなので、深く考えると奇妙な感覚を覚えます)人間の医薬品を使うのが通常なのです。人間に対しては副作用がよく知られているのがこのステロイド。しかし、猫には副作用がほとんどないのだそうです。彼女たちはこのほか、抗生物質と腎臓の薬を内服しています。

猫たちがダイキライな抗生物質ももちろんあり(苦いらしい)、なかなか投薬が難しいこともあります。しかし、大抵において、我慢し、段々に慣れ、呑むようになっています。これから何年生きてゆくことができるのか。寿命を考えると僅かなのでしょうけれど、出来る限りの・無理のない治療を受け、苦しみの少ない生を送って欲しいと願う毎日です。彼女たちのタフな精神力。そして、治療という「手間」をかけているからかもしれないけれど、それに応えてくれている生命力。とりあえず、彼女たちの通院生活はまだ続いています。

 


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