YOU ARE HERE:kuruma   第9回ダイムラークライスラーシンポジウム < クルマにまつわる難しい言葉 < LOVING A4 < ちびねこ



 公開日 :2003年 4月 13日


2002年11月20日開催された
第9回ダイムラークライスラーシンポジウム「交通事故ゼロへの挑戦」(於・ラフォーレミュージアム六本木)でお聞きした話からのご報告&感想です。

 



Accident Free Driving
あくしでんとふりーどらいびんぐ


【英語そのまま】

交通事故の起こらない運転。


【言葉の意味】

ダイムラークライスラーの目指す「安全性」の究極。
現実の事故に関する調査を踏まえたうえで、自動車そのものを「事故が起こらない」ように設計する試み。

これまでは、事故が起こった場合の乗員に与える身体的傷害を軽減する装置の開発が段階的に行われてきた。たとえば、1960年代のシートベルト、1970年代のオフセット衝突実験、1980年代のエアバックなどなど。これらにより、どのような事故が起こっても、シートベルト装着の乗員を守ることのできるような車体構造。

ここからさらに安全性を高めるため、「そもそも事故が起こらない」ように車を設計することが試みられています。たとえば、衝突しそうになっているにもかかわらず、運転手がブレーキを踏まない場合、車がブレーキシステムを作動させ、衝突を未然に防ぐようにすることが、そのひとつです。運転中に思いがけず疾患が生じて運転手の意識がなくなることは、実際の事故例で知られています。このような場合には、非常に有効なシステムでしょう(いわゆる先進安全自動車(ASV)推進計画。1991年から国土交通省も加わりメーカー(13社)と共同して研究・開発を進めてきたプロジェクト→
詳細はこちら)。

更に、道路と車との間で情報をやりとりするなどして、危険を運転手に知らせ、事故を未然に防ぐシステムも考えられているようです(
国土交通省の予算事業の一つ「走行支援システム」ITS)の一環です)。

もっとも、道路にセンサーを埋め込むという研究事業は、道路や車にかける「税金」の配分先としては「本末転倒」であるように思います。確かに、カーブの先の見えない箇所に何があるかを運転者に知らせることは有益です。これらをメーカーが主導して開発を進めることは大いに賛成することができます。しかし、国が税金を使う「必然性」を理解することは、私にとっては困難です。国がなすべきことは、現在のシステムではすぐには利益が発生しないかもしれないけれども、国民の命と安全を守るために必要な新たな制度づくりではないでしょうか? 

人と車を完全に分離する道路設計や信号システムの推進・開発、地下奥深くに作られたため、上り下りに多大な労力を必要とするため地下鉄を使えない/利用しにくい人々のためのバス運営、バスが時間通り運行できるよう渋滞を減らすための交通システムの開発など、命を守るためになすべきにもかかわらずなされていないことにも目を向けて欲しい、と思いました(AVSやiTSなど、著名な事業なのかもしれませんけれど、講演をお聞きするまでまったく知らなかったので、技術開発には驚きつつ、、、の貴重な機会でした)。


【参照】
  • ロドルフォ・シェーネブルク氏(ダイムラー・クライスラー社 乗用車開発本部 安全・車両機能担当ディレクター)「現実の事故シナリオにもとづくメルセデス・ベンツの革新的安全技術」第9回ダイムラー・クライスラー・シンポジウム(2002年11月20日)プレゼンデーション1
  • ハンス・ゲオルク・メッツラー氏(同社 研究・技術部門担当ディレクター)「ダイムラー・クライスラーにおけるアクシデントフリーへ向けた展望」第9回ダイムラー・クライスラー・シンポジウム(2002年11月20日)プレゼンデーション2

【リンク】



backhomeEMAIL

BBS

(c)nagaoaki