YOU ARE HERE: 杉並区の" 動物との共生のルールづくり " について <動物の権利リンク<動物の権利<楼猫<ちびねこ


■公開日:2006年7月3日


杉並区の「動物との共生のルールづくり」についてのリンク集



■リンクをまとめるにあたって

東京都杉並区では、「(仮称)動物との共生に関する条例」の策定が検討されています
(「杉並区と動物との共生を考える懇談会報告」(平成17年12月)26頁参照。以下では特に断りのない場合は、頁数は報告書の該当頁を記載しています。報告書は下記リンクよりダウンロードできます)(※追記:2007年3月11日から14日間にわたり「(仮称)杉並区動物との共生プランへの提言(中間のまとめ)(案)」に対するパブリックコメントの募集が行われる予定だそうです。)

これまで、飼い犬については、法定伝染病である狂犬病の発生・蔓延を予防するため、狂犬病予防法に基づき、(1)飼い犬の登録(同法4条)、(2)狂犬病予防注射の接種(同法5条)が所有者に義務づけられており、(3)違反者に対する20万円以下の罰金(同法27条1号・2号)も導入されています(16頁)。

この点、杉並区では、登録された飼い犬(約17,000頭)と無登録犬(約15,000頭)との差は約2,000頭(2、28頁参照。合計約32,000頭)、予防注射接種率はおよそ70パーセントとなっています(34頁参照)。

他方、同区では、飼い猫・野良猫あわせて約34,000頭が居住していると推計しています(2頁)。そこで、報告書では、下記制度の導入を検討・提言しています。

(1) 飼い猫について登録制度の導入
(「平成19年度に任意登録制を実施し、その結果等を検証しながら、21年度の義務化を目標に検討を行う」18-19頁)、(2) 飼い猫以外の猫への餌やりに対する罰則の導入(「飼い主のいない猫に対して無責任に餌を与え続けるだけの場合については、罰則も含めて規制してゆく方向で考えざるを得ない」19頁)、(3) 法定外目的税としての"ペット新税" の検討(「意識啓発対策や飼育環境の整備など動物愛護施策の充実に新税を活用することも選択肢のひとつ」「新税の必要性・導入の是非をはじめ、犬の登録手数料との関係、課税客体、税率、目的財源の使途などについて、広く区民の意識調査や意見聴取などを行いながら、調査・研究を進めてゆくことを提言」22-23頁。引用は23頁)

確かに、登録制度には、災害時にペット数を把握し、迷子になったペットの飼い主を探し出すには有用な面があります(25-26頁参照)。他方、無登録者や野良猫に餌を与え続ける者に対する罰則の導入も検討されています(15、18、19頁参照)。

罰則は刑罰である以上、その導入には慎重さが必要となります(憲法13条、31条、第3章、第10章等参照)。そのため、飼い犬についての登録制度を範とするのであれば、狂犬病予防法と同等の条例目的がなければ、その導入の是非について議論が生じることは、容易に予想されるところです
(参照:「狂犬病」(源宣之氏(岐阜大学農学部 獣医公衆衛生学講座))。また、「飼い主のいない猫をふやさない」という目的に対して、罰則が必要不可欠な手段といえるか、という検討も必要となるでしょう。

このほかにも、動物愛護管理法との関係も検討すべきこととなるでしょう(参照:動物の愛護・管理について@環境省)。条例は、「法律の範囲内」(憲法94条)での制定でなければならないからです(地方自治法14条1項では、自治事務(2条2項)についての条例制定について、「法令に違反しない限りにおいて」とさらなる制限をなしています。法令とは、法律のほかに政令・省令等も含む概念です。同法15条1項では、首長の規則制定権についても「法令に違反しない限りにおいて」との制限をなしています)。そのため、当該条例が「法律の範囲内」/「法令に違反しない」か否かの具体的検討が必要となります。

これらの問題を考えるにあたって、杉並区の行政資料だけでなく、他の地方自治体の取り組み状況も大いに参考になると思います。すでに多くの方々がこの問題について触れられておられますが、これらの情報を一覧できるリンク集がなかったので、作ってみました(とりあえずの暫定版です。リンクが増えたり加筆訂正することもあります)。ご参照いただければと思います。





YOU ARE HERE: 杉並区の" 動物との共生のルールづくり " について <動物の権利リンク<動物の権利<楼猫<ちびねこ

メールはこちら
(c)nagaoaki,2006


since 2006.7.3