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last update 18 February 1999

奄美緊急カンパのお願い

奄美「自然の権利」弁護団事務局長・弁護士・籠橋隆明氏からのメール(1999.2.17)を転載いたします。
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奄美「自然の権利」訴訟検証実施のための資金援助をお願いいたします。

奄美「自然の権利」訴訟はアマミノクロウサギが原告となった裁判として、話題を集めました。「自然の権利」というのは人も同じ自然生態系の一部なのであるから、共同の家の家族として自然を尊重すべきではないかという考えを基本としています。自然には自然の価値がありそれを尊重することで、人の生命としての尊厳もまた守られていくと考えているわけです。人も含めて生物と非生物が相互に生み出してきた生態系を自然を尊重する形で守っていこうというのが「自然の権利」の最も重要な考え方です。

 現在、奄美「自然の権利」訴訟は鹿児島地方裁判所で審理が進められています。「自然の権利」が認められるか否かを原告適格論という形で争っています。その意味するところは、環境的利益、自然を観察し、研究し、愛して活動することは法的保護に値する利益であるか、自然のために裁判を進める資格があるかどうかが認められるかという争いです。「自然の権利」というのは自然に固有の価値を認め、それを代弁する権限を人に与えるという意味です。この代弁する権限というのが、環境的利益によって原告適格を認めるということに他なりません。

 この原告適格の判断、あるいは判決中に示された内容によって、日本の裁判の流れや、環境法制が大きく変わる可能性を占めています。私たちがモデルにしている米国ミネラルキング渓谷事件は判決こそ原告の主張を入れることはありませんでしたが、そこで示された論理はその後のアメリカ環境判例に大きな変化を起こしました。たった一つの裁判が環境政策の歴史的転換点となったのです。私たちの「自然の権利」訴訟もそれだけの価値があるものと私たちは信じています。

 もちろん、これまでの判例の流れから言って、それは非常に難しいところですが、この困難を切り開くためには、それにふさわしい理論的な水準の高さと、献身的な労力が求められます。社会的な支持無くしてこうしたタイプの判例が変わることはあり得ません。検証にて現場で裁判所にアピールする作業は私たちがこれまで「自然の権利」訴訟で払ってきた多大な蓄積を全て出し切るだけの価値ある機会となるでしょう。それは、法廷で私たちが展開してきた理論だけでなく、毎回の法廷で訴えてきた地元原告らの意思や、「自然の権利」訴訟を支えていただいている鹿児島や東京、全国の人々の意思、期待なども表現する場となります。裁判官に直接現場を見せるとは、そういうものなのです。

 奄美「自然の権利」訴訟は鹿児島地裁で継続しているのですが、当初弁護士一名分の往復の交通費のみで進めるということで始まりました。しかし、実際には大変大きな事件に発展し、現在6名の弁護士がだいたい平均して2名づつ裁判毎に鹿児島・大阪を往復しています。これまで、約3年ほど裁判が続いているのですが、2年ほど弁護士の一人分の交通費も出されていないのが現状です。加えて、資料の取り寄せ、調査のための出張、運動展開のための費用なども運動団体からは全く出ていません。現状は大変イレギュラーな状態となっており、裁判に必要な費用については弁護団がほとんど肩代わりしていると言っても過言ではありません。奄美の運動自体も遠く鹿児島地裁で展開しなければならない現状や、奄美の運動にとっても予想を超えた大きな事件になっていること、この事件の意義の大きさなどを考えるとやめてしまうわけにもいきません。

 というわけで、今回の検証ぐらいは、赤字にならないようにしたいといのが私の考えです。運動の現在の状態から言って、検証の赤字はそのまま弁護団の負担となってしまうと思われます。おそらく裁判官3名及び職員3名の鹿児島奄美の往復の交通費、宿泊費が必要となります。弁護団も6名全員が参加する予定ですので、そのための交通費、宿泊費が必要です。さらに検証する上で必要なバスの手配、海からの検証も予定しているので漁船のチャーター代金、現場は既に草が生い茂り、道を作らなければならないのですが、その費用が必要です。また、検証実施のために奄美大島に事前に行かなければならずそのための費用や、被告県側との交渉ために鹿児島に行かなければならないところからその費用も必要です。

 裁判官というのはほとんど法廷で仕事をし、現場に赴くことは多くありません。そのため現場にいくという検証は裁判所が事実と向かい合う上で重要な機会となります。また、当事者と直接接する上でも裁判所に与えるインパクトはきわめて大きいものがあります。私たちは今回の検証を裁判史上例を見ないような演出をはかり、奄美「自然の権利」訴訟に対する全国の期待を裁判所にアピールしたいと考えています。一人でも多くのみなさんがこの裁判の意義をご理解いただき、ご支援をしていただきますようお願いいたします。

 

(振込先) 郵便振替口座00890-6-126708

       口座名称 アマミノクロウサギ

                奄美「自然の権利」弁護団事務局長

                     弁護士  籠橋隆明

 

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